うべプラネタリアン

プラネタリウム解説の活動を通じ、いろいろ感じたことをさまざまに語りたく....

全天88星座物語....(C104)

2010年03月29日 21時08分21秒 | 新・星座物語
昨日の思いつきが自分で気に入ったので、4月号のプラネタリウムガイドでも採り上げて
広く募ってみようと考えた。
どこのどの星座から始めてもいいのだけれど、まず春の星座紹介を兼ねているから
ひとつ一つ取り上げると....
かに座・しし座・こじし座・やまねこ座・おおぐま座・こぐま座・りゅう座・うしかい座・
りょうけん座・ほ座・らしんばん座・ケンタウルス座・おおかみ座・ポンプ座・うみへび座
ろくぶんぎ座・コップ座・からす座・かみのけ座・おとめ座・かんむり座。
ざっと21星座にのぼる。
どうせ88あるのだから、21という数に驚きはしないけれど、この題材の雑然ぶりは
どうしよう。おおごとだね。
ひとつには3年前に作った「老しし“レグルス”主役『春の船出』」が割とたくさん
星座がつながっているが、同じストーリーではつまんないし、春から夏に違和感なく
繋げてゆく必要もあるので、あまりのばかばかしさに気が遠くなりそうだ。
画像は、はるかのおとめ座。

おとめ座....(C103)

2010年03月28日 21時03分10秒 | 新・星座物語
おとめ座の乙女は若い娘さん。モデルは二人いる。
一人は農業と大地の女神デメテルの愛娘ペルセポーネ。一人は正義の女神アストラエア。
この時期プラでお話するには、ペルセポーネ一辺倒だ。
初夏、てんびん座が良く見える頃になると、正邪を測る天秤秤の持ち主アストラエアに切り替える。
だから4月から7月までおとめ座中心に物語が延々続くことになる。
今日のプラ解説は、何座でいこうかと、太一クン友也クンに聞いたら、
おとめ座との回答だったから、これからそのシーズンになって、おとめ座が続くなぁと
思いつつ、後からこんなことを思いついた。つまり....

冬はオリオン中心、春から初夏はおとめ座、夏はさそり座、秋はアンドロメダ。
まあ主役は一年そんなところだ。
しかし、88星座全部登場する一つの物語を作ったらどうだろうか。
雪舟の山水画のように、だあ~っと一年続く物語。
もちろん南北を凌駕し、何らかの形で全ての星座が登場する。
そんな大河ドラマの男優はオリオンだろうか、ヘルクレスだろうか、
ゼウスはさだめしディレクターだろう。女優は、だから、おとめ座となろうか。
天文同好会の中で、88星座物語作成委員会でも立ち上げて“この指たかれ”を
呼びかけてみよう。...わっしも変なことを考えるなぁ。

エリダヌス座....(C102)

2010年02月09日 23時07分51秒 | 新・星座物語
新星座物語再開の一段目は、上宇部中2年の村田直也君の作。

エリダヌス座

その川は釣りの名所。さまざまな魚がいました。多くの釣り人もやってきます。
ある時、釣り名人の老人と腕自慢のふたごの兄弟が、釣りの勝負をしようということになりました。
先に釣ったのはふたごの兄弟の方でしたが、頭が二つの魚だったので、
兄弟は互いに自分が釣ったのだとけんかになってしまい、その隙に老人が宝石魚を釣り上げて
勝ちを宣言してしまうと、獲物をめぐる兄弟げんかが老人と若者の争いに発展しました。
いさかいはやがて部族間の果てしない戦争に拡大してゆくのでした。
せっかく与えた恩恵も、ささいなことから、人間どもの争いの種になるのかと、
神の嘆きの涙はとめどなく川にあふれ、冬の星野を渡っています。
天上の大河は、さまざまな思いや悲しみをたたえて、今宵も北半球から南半球をまたいで
流れているのです。

ギリシア神話....(C86)

2008年08月06日 11時08分16秒 | 新・星座物語
星座を最初に整備したのは
ギリシア時代の天文学者プトレマイオス・クラディオスだ。
メソポタミア文明に端を発する星空の“絵”は、
オリエント各地を経巡り、プトレマイオスの大天文学書アルマゲストに
星図が記載された際、48の星座絵として登場する。AD150年ころだ。
それが現代の88星座の基本になっている。
プトレマイオスが星座絵を整備したとき、彼らの神話と重ねて物語を抱いて登場した。
ギリシャ神話である。
ギリシア神話は膨大なボリュームなので、星座には一部が重ね合わされているに過ぎないが、
星座神話には、その中のかなりすばらしいエッセンスが活かされて(採用されて)いるようだ。
神話だから主役は神々、そして数多くの人間(王様も人民も)が背景に存在する。
そして、神話の底流に流れるのは永遠のテーマ“愛”と“死”だ。
神々は“不死”である。神々の血を受けて生まれ、生きる子も不死である。
不死であるが故に多くの半神半人は苦しむ。
いて座のケイローン先生しかり、ふたご座の弟ポルックスしかり。
いずれの“人”も、大神ゼウスに不死の力を抜き取ってもらって、
無事死ぬことができるのだが、そこから見えてくることは、死の貴重さである。
限りある命の大切さである。限りある命だからこそ人は懸命に愛し合うのではないか。
そうしてみると、ギリシア神話の主役は、やはり人間なのだろう。
神々の気まぐれや英雄の大活躍がエピソードに彩りを添えるが、“愛”と“死”がテーマなら
やはり“人”が主役。大空の星々は、結局“人々の夢”なのである。

画像はNASA、ギリシアの遺跡に昇る満月。

新星座物語 発表会....(C85)

2008年02月29日 21時20分03秒 | 新・星座物語
3月23日(日)一般プラネタリウム投影会にあわせ、「新星座物語 発表会」を
開催する。時間は14:00~15:30で、一応投稿者には全員参加を呼びかけるつもり。
中心メンバーは杉山はるかさんであり、児林一輝くんだろう。
今日、会館内に8種のポスターを貼りだした。
これはいずれ、市役所など主だったところにも貼り、広く参加を募ろう。
ポスターの一部の背景の画はこれをNASAの画像から借用した。
どこか物語を感じるだろう。

天上の河....(C84)

2008年02月10日 22時23分41秒 | 新・星座物語
今日のプラ一般投影は、多くの人が来てくれた。うれしかった。
が、さらに嬉しかったのは、杉山はるかさんから手紙が会館の私宛に来ていて、
新しい物語が届けられたことだ。
たより本文の方は、新星座物語を本にしましょうよという提案で、こちらはもとよりその方針だ。
いずれ本にするにしても、現段階は作品集積に努めねばならない。
もう少し作品の充実度をアップしたい。
そこで、同封の、杉山はるかさんの作。ほとんど原文のまま。
ただし、タイトルは勝手に私が付けた。お許しあれ。
なお、杉山さんもこのブログ見てくれているようだから、遠慮なく積極的に
コメントを書き込んでくだされ。よろしく。

「天上の河」(オリオン座・ふたご座・おおいぬ座・こいぬ座・エリダヌス座)
 オリオンとそのふたごの子、カストルとポルックス、そして、ペットであり家族の一員、
おおいぬケルベロスとこいぬメランボス。
 5人は貧しいながらも、仲良く、毎日楽しく生活していました。
そして彼らの住む村のはずれには、エリダヌス河という美しい大きな河が流れていました。
 河のほとりにはいつも花が咲き、オリーブの実がたわわに実っていました。
 ある時、となりの国と戦争になりました。
 そのため、オリオンと弟ポルックスが、兵士として戦いに行かなくてはならなくなりました。
 兄のカストルは体が弱かったので、2匹の犬と共に村に残りました。
 日に日に戦いは激しくなり、おおいぬケルベロスとこいぬメランボスは、飢えと病気で死んでしまいました。
 そして、圧倒的に向こうの国が圧してきて、そろそろ戦争も終わる頃、カストルの元に、父オリオンと
弟ポルックスの死の知らせが届きました。
 カストルは、毎日毎日、今生きている気がしませんでした。
 いつも思い出の詰まったエリダヌス河のほとりに座っていました。
 ある時何気なく河をのぞきました。
 水面に、自分と、父オリオン、弟のポルックス、そしてケルベロスにメランボスが映った気がしました。
 「...父さん、ポルックス、ケルベロス、メランボス...」
 カストルの目から、一滴涙がこぼれ、水面に波紋を広げました。
 すると、カストルの体が光り輝いてきたのです。気がつくと、カストルは夜空にいました。
 すぐ近くには、父も弟も2匹の犬も...そして、さまざまな思い出をだきこんで流れるエリダヌス河も...
 みんないっしょに、冬の星座の主役として天空に輝いています。

画像は、月、虹の入江(NASA)。私の最も好きな月の地形の景色。

春の船出....(C83)

2008年01月29日 21時39分32秒 | 新・星座物語
橋本冴夏さん、楠本夏菜・莉菜さんによる春の星座総出演の物語。
これを元に、イラストとシナリオができあがってゆく。

レオン船長は、若いころ、ヘルクレスと闘って敗れ、それ以来、心にわだかまりを持っていました。
いまや娘のこじしもでき、穏やかに暮らしていればいいのに、春になると、自分は十分闘っただろうか、
もっと何かやりかたがあったのではないか、焦りに似た気持ちが胸にわき、おちつかないのです。
ある春の宵、おぼろ月を見ていて、「そうだ、海に出よう」と独り言を言いました。
海に出て、もう一度ヘルクレスのいる島に行こう、行ったらなにかが変わるかもしれぬ、と思ったのです。
しかし、しばらく船を出していないので、船はぼろぼろ、船員もいないし、道具もありません。
そこで、レオン船長は、昔やはりヘルクレスと闘って閉じこめられたうみへびヒドラに声をかけました。
「おう、ヒドラ君、元気か。けがは治ったか、糖尿病や血圧は大丈夫か?
実はな、このたび船を出して、ヘルクレスにリベンジの闘いを挑みに行こうと思うが、協力してくれぬか、
だいたい、それぞれ単独で闘ったから負けたんだ。タッグを組んだら、なぁに、今度は勝てる。
ヘルクレスの奴も年を取ったでな」と一人でしゃべって、うみへびヒドラを強引に誘い込み、船員に仕立ました。
「船長、二人じゃまだ危ない。蟹のキャンサーを仲間に入れよう、もともとあいつは、私の兄弟分だで...」
「私はいやですよ、お客さんで船に乗るのならいいけど、お手伝いだの一緒に闘うだのまっぴらごめん」と、
キャンサーは、はなから腰が引けています。
「まあ、いいから、ともかく来てくれ」というわけで、3人は船出の準備を始めました。
そこへ、どこで伝え聞いたか、地獄耳のからすが飛んできて「わたしも連れてって」と言いました。
「いいとも。それでは、仲間を集めてくれ」
「承知しました。まず、やまねこヨサクに声をかけましょう。
ヨサクさん、一緒に出かけてヘルクレスに仕返しをしましょう」
「やだよ、おれ。ヘルクレスに恩も恨みもないもの。
一緒には行かないけど、折角だから、航海に役立つ最新式のらしんばんをあげよう」と
やまねこはプレゼントをくれました。
「それでは、おおぐまのカリストさん、こぐまのアルカスさん、あなた方はいかがですか」
「おや、見当違いなお誘いですね、私たち親子はもともと神の一族ですからね、
ヘルクレスさんと争うわけにはゆきません。
それに、私たちは動けないのです。いつも北の方角を守る仕事がありますからね。
でも、航海の無事を祈って、北を測るろくぶんぎをさしあげましょう」
「2頭のりょうけんさん達、ぜひぜひご一緒に...」
「わっちら、そんなの、かんけーねぇー。
私ら、ご主人のうしかい、ボォーテス様の許可がないと何もできないんでね。
代わりに、船出の祝盃をささげよう、よろしく伝えてくれ」
「レオン船長、行ってきましたが、誰も協力してくれまへん」と、からすは報告をしましたが、
贈り物のことは一言もいわず、全部自分で取り込んでしまいました。
からすは、らしんばんやろくぶんぎや盃を入れた袋を抱えたまま飛んだので、
フラついて、船出の準備をしていた帆にぶち当たってしまいました。
老朽船の帆はそのひょうしにバッサリ破れてしまいました。
おまけに、からすも羽を折ってさんざんな目にあい、ついてゆけなくなりました。
「なぁんてこった。結局この3人か...しかも、帆は破れ、オールで漕がねばならぬとは....
ええぃ、嘆いてもしかたがない、さぁ、船出だ!キャンサー殿、ご乗船を。ヒドラ君、碇を上げよ!」
「せんちょぅ~ 私の体が、鎖とからんでもつれましたぁ~」とうみへびが情けない声をあげました。
「私のはさみで切りましょうか」と かにの申し出に、「だめっ!あなたはドヂだから、
私の体を切っちゃう...」とうみへびの悲鳴に、一同納得。
「あれぇっ、オールが流された...キャンサー殿、足を貸してくだされ、8本もお持ちなのだから、
2本くらい いいでしょう...」
「だめです! 船長、私は客ですよ、とんでもない。だいいち、8本だろうが1本だろうが、
手足の数の問題じゃないでしょう」かにの怒りに、一同納得。
「仕方がない、手で漕ぐか。とりあえず船出の祝杯だ、酒だ、酒だ」
「なんだ、結局、飲みたいだけか...」
「せんちょー、盃、ありません、コップでいいすか、それに、飲酒運転いけませんですよぉ~だ」
「むぅ、ならば、祝ジュースで、しかたがない、それにしても苦難の船出じゃのぉ..どういうわけじゃ」
「それはね、私の...ちから...」
「なんだ、だれだ、その美しい女性の声は....」
「私は、おとめ座アストラエア。
あなたがたのつまらぬ企みをちょっとからかったの、ごめんなさい。
船長レオン、復讐なんて本当は考えてないんでしょ、
うみへびヒドラ、とぐろを巻く力も自慢の毒液も出なくなったんじゃない?
かにのキャンサー、もういい加減にしなさい。
春の船旅を楽しむなら、すべて元通りにしてあげますよ、いかが」
「はぁ~ 疲れましたぁ..眠い..よろしくおねが..zzzz....」
一同、春の船出の夢枕。睡眠に沈没。

さて、いくつの星座が登場したでしょうか。
サエカ、カナン、リナンいかがじゃ。

春の悪役3星座... (C82)

2008年01月19日 08時15分42秒 | 新・星座物語
春の悪役3星座といえば、かに座・しし座・うみへび座だ。
いずれも勇者ヘルクレスを苦しめる役どころで、物語がメインなら星座になるのが不思議なくらいだ。
つまり、うみへびはともかくカニもライオンも黄道12星座だから、ギリシャ時代以前のすこぶる古い星座で、
先に星座があって、後になって物語をさがしてくっつけたふしがある。
というわけで、しし座生まれのサエカと、かに座生まれのカナンが結託して、
悪玉の彼らを善玉に変える新しい物語を設定してやろうという不遜な企てをしている。
カニとライオンは自分たちの役、うみへびの役は私らしい。
そして、どういうわけか、こじし座も登場して、それはリナンの仕事らしい。
さらに、おとめ座が加わって、奴らを改心させるらしいのだが、まるで西遊記だ。
おとめ座は誰がやるのか知らないが、脚本を作って朗読劇のようなプラネタリウム解説を作るという。
その構想は二人でどこかに合宿して練ろう、と話はトントン拍子に進んでいるようだ。
どこかとは我が家らしいので、「おいおい」という感もするが、総合的にそんなズーズーしい考えは大好きだ。
おもしれぇ。この話、乗った。さぁ、来い。
画像は、M87 (NASA)。超巨大だ円銀河。
おとめ座銀河団(この銀河団に我が天の川銀河もとなりのアンドロメダ銀河も含まれる)のボス的存在。