別府町をゆく(44) 写真集・別府町(11)
多木洋館(あかがね御殿・2)
あかがね御殿(加古川市別府町)の話の続きです。
御殿は、大正7年(1918)に着工、すべてが完成したのは昭和8年(1933)で、実に15年、贅をつくしての完成でした。
予算算定は不能だったといいます。
久米次郎は、明治41年から衆議院議員、昭和14年からは貴族院議員を務め、「あかがね御殿」は来客をもてなすために建てられたものでした。
建築家の藤森照信氏は「・・・(あかがね御殿)は、和洋折衷のインテリアを持つが、この折衷ぶりがなかなかの見もので、ヨーロッパ建築史上で一番派手なネオ・バロック様式と、日本史上で最もギンギラな安土桃山期の書院をミックスしてるい・・・」と指摘されています。
「あかがね御殿」は、まさに城のようです。多木久米次郎としても、このケバイ建物に住むのは大変であったようです。
日々の暮らしは、今は取り壊されていますが、敷地内で大きな和風建築の住宅で生活しました。
江戸時代、大名も天守閣の横に築いた庭つきの住宅で日常生活をしていました。
まさに、多木久米次郎は、別府城(あかがね御殿)の城主のようでした。
現在、あかがね御殿は、各種講習会、研修会などに利用されています。
*『建築探偵・近代日本の洋館をさぐる』(藤森照信)・『近代の歴史遺産をたずねて』(神戸新聞総合出版センター)参照
*写真:玄関からの階段と内部の部屋(一部)