三重県尾鷲市九鬼町
九鬼に初めて訪れたのは高校生の時だったと思う。
今はもう走っていないけれど、新大阪を夜に発車して、早朝の新宮に到着する普通列車を利用した。
夜通し走り続ける普通列車というのは、ちょっと不思議な感覚で、車内は独特の雰囲気であったし、外の景色は見えなくとも、夜が明ければ日常から遠い風景が広がっていた。
当時の私は、珍しい植物を探すことに夢中になっており、天然記念物に指定されている久木神社樹叢を地図で見つけ、訪ねてみたのであるが、結局、私がいちばん見つけたかった植物には出逢えなかった。
それでも、漁港に泳ぐコバルトブルーの小魚、濃密な緑を描く暖地性の木々が印象に残った。
私は南紀が大好きだと何度か書いているけれど、思えば、初めて南紀の魅力に触れたのが、この九鬼であった。
目を見張るような風景があるわけでは無く、どこにでもありそうな漁港の風景なのだが、それ以降、私は何度か九鬼に訪れている。
今回は、五度目の九鬼だ。
久木神社前には漁港の駐車場があって、確か以前は参拝者用の駐車場所が一台分確保されていたのだが、今回は見当たらない。
仕方がないので集落の入り口付近まで戻って道の広くなっているところに駐車する。
海を覗き込めば変わらずにコバルトブルーの魚が群れているし、のんびり歩くのは楽しくある。
楽しくはある。が、暑い。
暑いが、夏だ! と思える青と緑。
駆け出しはしないけれど、内心では童心に返る。
つい右側の海ばかり見てしまうが、左を見れば趣のある路地があって心躍る。
アジの干物が製作中。
いつも思うが、海辺に育ったわけでもないのに、こういう風景を見て懐かしいような気持ちになるのは何故だろう?
人けは無いが、水揚げされる早朝には賑わうのだろうか。
久木神社の鳥居が見えてきた。
南紀の神社らしい雰囲気。
海が近くても緑は深い。
初めて訪れたときは、見慣れない樹相に心ときめいたが、大人になってからは若狭などの海辺の神社で、これと近い杜を見ているので、ああ、海辺の杜だ、と思う。
気象庁のアメダスの気温を見ていても判るが、日本海側であろうと太平洋側であろうと、暖流の影響は大きく、植生に強く反映されるのが見て取れる。
二の鳥居と、潜り抜ける形態の社務所らしき建物。
そこから拝殿を見る。
コントラストが強くて写真にはしにくいが、緑深くていい神社だと思う。
拝殿は比較的新しい。
初めて訪れたときの拝殿も、いつ新しくなったのかも思い出せないが、それほど違和感は無い。
本殿を囲う瑞垣は、丁寧な造りだ。
境内は海辺の割には苔生している。
これは、何だろう?
漁港と神社を堪能したが、九鬼ではもう一ヶ所、寄りたいところがある。
漁港から背後の山の方を見ると、やや高みにそれはある。
そこを目指して路地に入る。
階段を上りきると、明治7年に開校し、平成10年に廃校となった九鬼小学校の入り口だ。
いつだったか、漁港にいるとき、学校の方から子供達の声を聞いた気がするが、それが20年以上も前のこととは信じ難い思いだ。
車道が通じていない稀有な学校でもあった。
校舎内は立ち入り禁止だが、校庭は開放されているようである。
木造校舎はペンキが塗られているし、窓枠はアルミサッシなので、やや趣に欠けるけれど、とても素敵なところだ。
校舎入り口の横には創立百周年の石碑が立っている。
校舎右の斜面には桜の木が幾つかあって、春にはさぞ美しいだろうと思う。
校庭から漁港方面を見る。
大海原が望めるわけではないが、愛おしくなる風景だ。
撮影日時 180809 12時30分~13時20分
地図
懐かしいですね、本当に。
みなべの家は平地にあったのですが、路地の先に海が見えているのは懐かしいです。
神戸でも、実家がある垂水では同じ様な風景がありました。
今はホテルやアウトレットモールで見えませんが。
南国の植生は好きです。と言うか、植物はああ言うものだと思って育ちましたから。
今住んでいる多可と神戸でも植生が違います。神戸では当たり前に生えていた木が内陸部では生えていない。
南紀に生えている木や草が神戸にはない。
緑豊かな神社は本当に良いです。
廃校もあのまま残っていると良いですね。
朽ちて欲しくないです。
それにしても神社の丸い石のぼんぼり、何でしょうね?
鯨の腹から出てきた石だそうです。
発見した漁師の方が神社に奉納されたのだとか。
実は潮の香りがあんまりしなくて、物足りないなぁ、なんて思っていました(笑
でも、写真からそれが伝わったなら嬉しいです。
内陸で育った私が懐かしく感じるのですから、
海と縁のあった方なら尚更でしょうね。
植林を別にすると、山を歩いていれば落葉樹が多く、
新緑や紅葉といった、爽やかで鮮やかな風景に接することが多いわけですが、
そういった植生に心惹かれつつ、
ここのような暖地性の樹林にも、魅せられてしまいます。
綺麗と美しいの違いといいますか、上手く説明できませんけれど…。
夏の、じりじりと焼けつくような日差しが似合う廃校でした。
今まで幾つかの廃校に行きましたが、トップクラスに雰囲気が良かったです。
丸い石、熊野周辺ではよく見かけるんです。
石垣に使われていたり、地面に敷き詰められていたり。
でも、こんな形態は、他に記憶が無く…。
ただ、形態はどうあれ、大漁祈願、御礼などの意味は勿論、
このあたりの地域では、丸い石そのものに、何か神聖な意味があるのかも知れません。
Junさん宛にも書きましたが、熊野には玉石が置かれた神社はたくさんあるようです。
私が行ったことのある場所だけでも、
産田神社、神内神社、花の窟神社などなど。
そして、あの玉置神社は、名前からしてそうですね。
境内社に玉石社もありますし。
私が見た範囲では、瑞垣内に、白い玉石が敷き詰められているケースが多いです。
この久木神社のようなケースは他に記憶に無いですが、
熊野の玉石信仰の形態が変わったバージョン? なのかな、と。
また台風が来ますね。
私の職場は休まないと言うので、ズル休みでもしようかと考えています。歌人の職場は隣なのに休むのですって。
昨日は丹波へ葡萄を買いに行きました。山一つ超えただけなのに、もう稲刈りをしています。
田植えが早いから、刈るのも早いんです。
栗柄峠の県道が整備されてすっかり普通の道路になりました。
おかげで篠山に行きやすくなったのか、交通量が増えた気がします。
栗柄峠の下の谷間の葡萄園、先日開園したと新聞に載ったら、途端に週末たくさんのお客さん。葡萄狩りや栗拾いができるので大阪や京都からも来ていました。昨年見つけた時は静かで良い場所を発見したと思ったのに、ちょっとがっかりです(笑
観光客が増えたと言えば、氷上の山奥の内尾神社、トンネル開通や蛍見物情報などで参拝者が増えて、昨日帰宅途中に立ち寄ったら色々手を加えられて、明るくなっていました。神社や狛犬は変わらないのですが、社殿の後ろの森が整備されて、今まで見えなかった巨大な磐座が出現していました。薮から出て来た物の怪に見えます。
台風、本当に嫌です。
被害が出ませんように、皆さん無事にやり過ごせます様に!
もうウンザリ、というか怖いです。
勢力はかなりの強さですし、コースも最悪。
最接近のとき、950hPaくらいだと思いますが、
こんなに強いのは過去に経験が無いかもです。
この状況で休むのはズルではないでしょう。
そういえばあそこは工事してましたね。
葡萄園があるとは知りませんでした。
名張に住んでいるとき、近所に葡萄園がたくさんあったので、
葡萄狩りに行く人が沢山いるというのは不思議な感じがします。
うーん、内尾神社はあのままであってほしかった…。
地元の人からすると、余所者でも参拝者が増えるのは喜ばしいことなんでしょうかね?
同感です。
私はもともと火曜が休みなんですが、今から不安でいっぱいです。
職場の方が安全な気もしますし(笑
どうか何事もなく、無事でありますように。
彼岸花のシーズンになってしまいましたが、まだ蒸し暑いですね。
台風はいかがでしたか?
ご無事でしょうか?
台風の西側にいたおかげでこちらはほとんど何も被害がなかったのですが、東側は酷いことになりました。
何ごtもなかったことを願います。
こんにちは。
被害が無かったようで良かったです。
私のほうも被害は無かったのですが、人生で最も怖い台風でした。
何度も震度2くらいの揺れに襲われ、家が倒壊するのではと、生きた心地がしませんでした。
停電も16時間ほど復旧せず、これも人生で最長のものです。
風がやんだ夜、外を眺めると、街灯も家々の灯も無く、
静かで、不思議な感覚になりました。
晴れていたなら、こちらでは滅多に見られないような星空が見えたかも知れません。
今年は自然災害が多いですね。
平穏な日々が続くことを願います。