三重県度会郡大紀町滝原
ここで掲載する神社では、異例の大きさの神社であり、今まで紹介した神社の中で、規模、知名度ともに一番だろう。
そんな神社であるから情報には事欠かないので、いつものように神社とは関係無いことを書かせていただこうと思う。
と、言うのも、滝原には思い出があるのだ。瀧原宮でなく、滝原の方である。
私が以前、三重県の名張市に住んでいたときのこと。
年末が押し迫ってものんびり構えていて、年賀ハガキを買いそびれた年があった。
慌てて家族の者が近所の郵便局へ行ったが売り切れ。電話帳を引っ張り出してきて、名張市内の郵便局に電話をかけまくるが、どこも売り切れ。しかも、今頃になって何言ってるんですか、という冷たい対応(だったらしい)。
ところが一箇所だけ、少し在庫があるという。聞けば滝原郵便局とのこと。
名張市に滝之原という地名はあるが、滝原は無い。どうやら家族の者は、滝原を名張の滝之原だと思って電話したようなのだ。市外局番も違うし、器用に勘違いしたものである。
それはともかく、どうすべきか。
同じ三重県といっても、決して近くは無い。だが、名張の郵便局には残っていないのだし、電話では買いに伺いますとも言ったようだ。
暫し話し合うが、結局、ドライブがてら滝原まで行くか、という結論に達した。
滝原郵便局で応対してくれたのは、まだ高校を卒業して間もないような若い局員。
残っていた年賀ハガキは十数枚で、欲しい枚数の半分ほどだった。
「私の家に年賀状が余ってますので、取ってきます」
彼が、あまりに簡単にそう言うので、こっちは戸惑ってしまった。
「え、いや、お仕事中ですし、そんなんいいですよ」
「いえ、すぐ近所ですので大丈夫です。ちょっと待っててください」
止める間もなく、彼は走っていく。
静かな集落の郵便局前で、ぽつんと待つ。
待ちながら、ああ、何だか嬉しいなぁ、と思う。
程なくして、若い局員が息を切らせながら走って帰ってくる。
何度もお辞儀すると、彼は照れながら郵便局の中に戻っていった。
そうやって買った年賀ハガキの中から一枚、滝原郵便局宛てに、礼状を兼ねた年賀状を送った。
後日、その若い局員から年賀状が届いた。
自分がしたことは当たり前のことです。でも、普段、先輩から叱られてばかりいるのに、今回、初めて褒めてもらいました、といった内容であった。
まだ幼さの残るその文字に、心が柔らかくなっていくようで、とても素敵な年始を迎えられたのである。
今から十数年も前のこと。きっと彼は、立派な局員になっていることと思う。
とまあ、こんな思い出があるので、滝原という土地自体が私にとっては大好きな場所なのだが、今回、初めて訪れた瀧原宮は、そんな思いをより豊かにしてくれる素敵な神社であった。
それに、大きな神社は敬遠する傾向にあるのだが、以前いただいたコメントで、瀧原宮を奨められたこともあって、今回の参拝に繋がった。
特に、名張在住で、「神社参拝記」を運営されているウージーさんから奨められたこと、また、そのホームページで瀧原宮を拝見したことで、強く惹かれ、何かしらの縁を感じたのである。感謝です。
神社前の「道の駅」に着いたのは、まだ薄暗い時間帯。国道からは、山裾に伸びた平坦地に、広大な鎮守の杜が横たわっているのが見えた。その杜から、ヒグラシが大合唱を始める。
一の鳥居は「道の駅」に隣接しているので割愛。これは二の鳥居である。
大きな神社の参道は、だだっ広いことが多いが、ここはひっそりと慎ましく、深くて清澄である。
まだ暗いので、感度を高めにして撮っているため、やや画質は落ちている。雰囲気が伝わるだろうか。
参道を横から見る。
参道中ほどに橋がある。橋の先には守衛屋、そこから右手に小径を降りると御手洗場がある。
季節のせいか、御手洗場の水は、予想以上に少ない。
だが、この空間の美しさには惚れ惚れしてしまう。水も、木々も、空気も、清浄な場所だ。
水が少ないのは季節のせいばかりではなく、背後の山の保水力が落ちているためでもあるのだろう。
この後、背後の山を越える道路を走ったが、杉、桧の単純林であった。
長い参道が終わりに近づくと、巨木が増えてくる。
向こうは社殿のある広い空間のようで、朝の光が洩れてくる。
静かに空気が広がっていく。
瀧原宮(奥)と瀧原竝宮。
私が一番乗りだと思ったのだが、先客がいらっしゃって、熱心にお祈りされている。
邪魔しては悪いと思い、10分ほど待つ。
その後も参拝の方が、ちょくちょく来られる。夏休みのせいもあろうが、時刻はまだ6時前である。
瀧原宮。
瀧原竝宮。
瀧原宮の右手にある若宮神社(左)と長由介神社。
更にその隣にある空間。立ち入り禁止のようだが、中央に巨木が聳え、とても神聖に感じられたがここは?
帰り際、鳥居前で出会った、紀勢町出身で大阪在住の方、尾鷲出身で名古屋在住の方と楽しくお話できた。里帰りの時期で人が多いのも、悪いことばかりではない。
2万5千分1地形図 伊勢佐原
撮影日時 080813 5時10分~7時半
駐車場 あり
地図
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静謐にして実に神聖なる空間を
こうしてhiro1jzさんの写真で
拝見いや参拝することができて
幸せな気分です
ujiさんの「神社参拝記」も素晴らしく
時間をかけてお訪ねしなければ
ならないなぁと思いました
自分が知らないところをこうして
たくさんの方々の実に
丹念で整った形で見せていただけるのは
なんともありがたいことです
ああ
滝原
やはり自分の足で
いつか踏みしめてみたいものです
私は今、古民家を守ることで
ある行政機関と応対する
機会が増えているのですが
下の職員さんは親切丁寧に
応対してくださりますが、
上の方の応対の悪さに
あきれたばかりでした。
言葉使いと一生懸命さは
芯から伝わってきますよね。
この神社がその局員さんが
おられた清々しい
神社なのですね。
伝わってくるような
気がしました。
私もいつも感動させて
もらってばかりです。
「参道を横から見る。」のお写真。
この位置から撮られるとは・・・
また、勉強させて頂きました。
「向こうは社殿のある広い空間のようで、朝の光が洩れてくる。」のお写真。
一番のお気に入りです。
木の重なり具合、木々の色の変化が良いです。
清瀧宮の魅力は、あの参道に負うところ大と思います。
10年前初めて参拝しましたが、私には参道と色分けされた玉砂利の印象が強く残りました。。
hiro1jzさんがアップされているお写真全般に言えることなんですけど、
奥行き、広がりを強く感じます。
「広角レンズを使えばよい」という単純な話で無いことはたしかですね。
幽黙さん
>ujiさんの「神社参拝記」も素晴らしく
とんでもございません。
ただ、最近hiro1jzさんから刺激を受けまして、写真には力を入れるようになってきました。
htmファイルを50ほど作っても、こんなんで良いのだろうかと、なかなかアップする勇気がなかったのに、一旦アップしたら楽しくて3年がすぎてしまいました。私の場合、実力以上のことをしようとすると、HPづくりが楽しく出来ない気がします。背伸びせず、自然体で参ります。
参拝している気分になっていただけるなら
とても嬉しいことです。
朝の雰囲気を捉えたかったのですが、
シャッタースピード4秒とかザラで、
ちょっと苦労しました(笑
神社といえど、どうしても自分の好みとかがあって、
客観的にいい神社もあれば、個人的に好きな神社もあるわけですが、
瀧原はどちらの意味でもいい神社です。
是非、訪ねてみてください。
最近、続けざまに「奈良紀行」と「滋賀紀行」をアップされましたから、
そのまま「三重紀行」も行っちゃいましょう!(笑
>たんばの人さん
行政機関の対応の悪さ、お察しします。
「古民家を守る」ということ、
それは、そこの自治体の魅力を高める
ことでもあると思うのですが。
若い力が育ってくれればいいのですが、
古い公務員体質に染まってしまうんでしょうか。
単純に経済的な発展が望める時代ではないですし、
丹波という地域性を考慮した取り組みが必要ですよね。
下の方から、じわじわと、
大きなうねりへと変わっていくことを願っています。
たんばの人さんのブログは、
そういった変化へ導く一つの力だと思います。
私のブログも、神社の魅力を伝える小さな力になれば
いいと思っていますが・・・。
>uziさん
以前に紹介した内尾神社で、
参道を真横から撮った似たような写真がありまして、
そのとき、あ、こういうのも悪くないな、と思ったものですから(笑
uziさんに気に入って頂ける写真があって嬉しいです。
たぶん、あの場所であの構図は皆さん撮られると思うのですが、
やっぱり朝の光のお陰で雰囲気が出てくれました。
私も、あの参道には惚れ惚れです。
それに、やっぱり清流がある神社は良いですね。
玉砂利は、南紀の殆どの神社でみかけますが、
こちらでは滅多にありません。
あれは、とても清浄な空間を印象付けられますね。
常に、奥行きを出したい、とは考えてますので、
とても嬉しいです。
でも、実は、もうちょっと広角側のレンズが欲しかったりします。
社殿が入りきらないことがよくあるので・・・。
あと、最近はフェルメールの光の描き方に惹かれています。
ああいう表現が理想かも知れません。
特に祓川が素晴らしいですね。水量が少ないのが
残念ですが神々しさが再現されていますね。
郵便局の話もナイスですね。今時聞けない話です。
油日が二社・・・知りませんでした。甲賀は再挑戦
しますんで確認してみたいです。大きい方の油日
の神主さんに聞いてみようかな?
飯道神社は近江の式内社ラストになるかもなぁ。
たしか二社ありますもんね。減量。
瀧樹の祭神と油日の祭神は。。。まぁ火と水で火水
〔かみ〕ですかねぇ?
油日の油は菜種油だそうです。瀧樹の地主神は事
代主と稲荷さんで、後に秋津彦・秋津姫を合祀だ
そうです。
このエリアは信楽なんかとセットで考えると謎が
多くて面白いですよね。
伊賀は来年ですか!自分も行きたい場所ばかりで
すよ。自分は越前・竹野は来年です。
次回は何鹿郡を中心に丹波に行くことになりまし
たよ。兵庫側の丹波行きたかったんですけどね。
そうそう伊賀はハズレ少ないエリアでいいですね。
良い風景を撮ってきてください。
uziさん
夏の伊賀参拝はuziさんのサイトがスゴク参考に
なりました。この場を借りて感謝です。
伊賀はドライブだけでも楽しい場所でした。また
来年あたり行きたい場所ですよ。
祓川の水量の少なさは残念でした。
やはり、昔よりだいぶ減っているんでしょうね。
あの様子だと、上流部に滝があったとしても、
チョロチョロ状態でしょう。
もう一つの油日は祭神が違うようです。
読みも「ゆひ」らしく、果たして繋がりがあるのか・・・。
飯道神社、湖南市にある方は、
今週、御上神社へ行くときに寄るつもりです。
たぶん、こちらの方が私の好みだと。
なるほど火水ですか。
神社名が対照的という意味では繋がりがあるような・・・。
でも、宿場町として発展した地域にある瀧樹と、
水利の悪い高地にあって、農耕、そして油や火薬などを通じて
甲賀忍者と繋がりの深かった油日、
やっぱりピンときませんねぇ・・・。
ほう、何鹿郡ですか。
式内で言えば河牟奈備神社しか行っていませんが、
阿湏々伎神社はいずれ行こうかと。
ホント、行きたいところが多すぎて困ります・・・。
うね。このような聖地はトータルで保存を考えて
欲しいですよね。
瀧原の名前が泣くような水不足は勘弁ですね。
油日で「ゆひ」ですか!こちらは菜種油ではない
でしょうね。ぜひぜひ調べてきてください。
それと飯道の一社に行きますか。ここも山登りで
すか?う~行かなきゃ行けないけど・・・
hiro1jzさんの写真見て判断しますよ。
油日と瀧樹は地域的にも近所とは言いにくいんで
すよね。これは不思議。
瀧樹神社は、本来瀧神社だったらしいですね。それ
とは別に川田神社だったそうです。ここは式内社
の川田の論社ではないんですけどね。
面白いエリアです。
河牟奈備神社がメインの目的地です。ここの祭神は
埼玉の式内社の秩父神社に関係深いんですよ。
それと、あの雰囲気はタマラナイです。。。
あれhiro1jzさん河牟奈備神社は掲載してないです
よね?見てみたいなぁ。
阿湏々伎神社も行く予定です。
ホント仕事してる場合じゃないですよ。
トータルでの保存、広い視野が必要ですよね。
ゆひ神社に行くのは、ちょっといつになるか判りませんし、
eraさんのように、神主さんと会うわけでもないので、
地元の人に出会えば聞くといった程度になるかと・・・。
湖南市の飯道神社は山に登る必要は無いですよ。
甲西駅から1キロ未満の山裾にあって、
50メートルほどの参道があるので、
たぶん私の好みではないかと・・・。
川田といえば、瀧樹神社のそば、頓宮に論社の川田神社がありますよね。
そちらとは繋がりがないんですか?
少なくとも、過去には繋がりがありそうですが。
河牟奈備神社がメインですか。
確かに雰囲気は良かったんですが、
風景的には絵にしにくかったもので掲載はしてませんが・・・。
それに、神社の前の道は、結構よく利用するので、
またいつでも撮り直せる、ということでそのままになってます。
たぶん、次に若狭に行った帰りにでも寄ると思いますが。