a journal of sociology

社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

ヨーロッパ、アラブ、ギリシャ

2010年02月26日 | 読書
 昨日は、大学の図書館へ行った話をしたが、帰りのバスの時間まですこし暇だったので、図書館の脇にある雑誌・新聞閲覧ラウンジで時間をつぶした。この大学、こうした「フリースペース」があって、そうしたところに英字新聞やその他の雑誌があり、暇がある時に情報収集ができて、非常に良い。

 で、これからする話は、昨日集めた情報ではないが、ルモンドの書評に関わる話。

 あまり日本では知られていないが(また、仏でも対して話題になっていないと思うが:つまり仏のアカデミーの世界でのみ話題になっているが)、ギリシャ哲学は西欧にどのように渡ったったのか? ということについて論争が起きている。

 私は専門家ではないが、これまでの通説では、キリスト教的世界観の中では、多神教的世界観であるギリシャ的な価値観は一度途切れ、アラブ経由で、キリスト教的世界に逆輸入されたということだったとおもう。これにたいして、中世のモンサンミッシェルは、ギリシャ哲学をラテン語に翻訳する中心であった。よって、アラブ世界がギリシャ文化の継承に果たした役割はマイナーなものに過ぎないという主張が持ち上がっている。

 この主張をしているのが、Aristote au mont Saint-Michel : Les racines grecques de l'Europe chrétienne

 この本は、仏語で、ルモンドの書評の翻訳、またリベラシオンによる反論の記事(邦訳)が、以下のリンクで読めます。

アリストテレスは誰が発見したのか? | OKWave

 ここまでは、通説に対する反論が出たという話。

 今度は先日、上の本に反論する形でこの本が出されました。Les Grecs, les Arabes et nous : Enquête sur l'islamophobie savante

 私はまだ、両者の本とも読んでいませんので、書評の紹介を。とおおもったら、このルモンドのリンクはすでに期限が切れていました。Comment l'islam a transmis des savoirs antiques à l'Occident - LeMonde.fr

 次のサイトで記事がそのまま張ってあります。ともにフランス語で申し訳ない。Les Grecs, les Arabes et nous. Enquête sur l'islamophobie savante" : comment l'islam a transmis des savoirs antiques à l'Occident

 時間があったら翻訳でも、と思うけれど、今までそうしたことをした試しがありません。

 ギリシャをめぐる起源論争って、やつですね。それに修正主義的な側面も入っていると言うべきか。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。