a journal of sociology

社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

『候補者ジェレミー・コービン』を読む

2020年05月12日 | 読書
  今日は、この本の紹介。

 昨年のイギリスの総選挙から今年のアメリカ大統領選挙について、よりラディカルな左派勢力が台頭していると注目していた。

 この本、翻訳は2019年初版なのだが、出版してそれほどたってない時期に、コービンが選挙で負けて労働党党首を降り、サンダースも大統領選挙撤退を表明したのは、残念な話ではある。

 ただし、この本、2015年の労働党党首選で、労働組合出身で党内最左派の立場を一貫してとっていたコービンが、なぜ党首選で勝利を収めたのかを描いていて、それに2017年でのメイ首相時の解散総選挙で、ニューレイバー路線からの転換をより前面に押し出したオールドレイバー政策が若者の支持を集めた第15章を加えている。

 そういう意味で、コービン支持派の(つまり、社会保障政策をより重視した勢力の)ライジングを描いた本であり、今後の日本を考えるのであれば、今こそ読むべき本だと思われる。

 現在のイギリスでは、フリーランスを労働者として認めて、労働者としての法的保護を認める等々の「見直し」が進められているのだが、現在の日本は、そうした労働者としての権利を、フリーランサーや非正規雇用に認める動きは、大きくないように思われる。そして、雇用の不安定化・労働者の孤立化を推し進める政策がさらに進められようとしている。そうした現在において、この本こそ読まれるべきだろう。

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