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社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

電子辞書について一考:その3

2006年11月26日 | 研究生活
 電子辞書について、最近私が、敢えて使うのを避けている理由の話を続けたい。

 さて、実際に問題なのは、この電子辞書の検索速度が速すぎることである。電子辞書を使い始めてかなり経つのだが、母語を操る彼女のほどではないにしても、私程度でも数秒で当該の単語を「見つけ出せてしまう」のだ(ちなみに、以前測った時は、電子辞書だと平均で1ワード5秒ほど、紙の辞書だと20~25秒ぐらい──と、どうでも良いことを測っているが 苦笑:ただし、例文の検索は除く[例文を見つけ出す時間を考えると、紙の辞典の方が電子辞書よりも速くなる気がするが……])。

 単語を覚える、あるいは、言語を習得する際には、語と語の連語関係や一つの単語の中で用いられている意味素の組み合わせなど(ideo-logy等といった具合に)を感じ取る感覚を身につける必要があると、私は考えているのだが(そしてそうして得られる感覚は、当該言語で自分の考えを表現する際には、とりわけ重要になると思われる)、そうした連語関係に関して、あるいは意味素に分解してその後を理解するといった思考作業をする前に、電子辞書だと意味が見つかってしまうのだ。

 確かに二秒で語が調べられるのであれば、自分の記憶や感覚をたどって意味を推察するよりも、電子辞書に手を伸ばしてキーを押した方が簡単であるのは明らかである。ただしそれは、あくまで文章を読む場合の話。辞書無しで、会話や議論をせねばならなくなった時には、語に対する「感覚」のようなものの方を磨いておく方が役立つように思われる。

 というわけで、私は、今のところは電子辞書は使わないでおくように、努めている。まあ、ここまで長々と論じてしまったが、これはあくまで私自身が、「感じていること」なので、他の方には他の方の意見があるだろうと思う。また、電子辞書が便利であることを、私は否定するつもりはない(便利すぎることが問題とは言えるかもしれないが)。

 ということを、電子辞書に関して、私自身は、最近考えているのだが、皆さんはどうお考えであろうか?


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