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社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

日本社会学会@早稲田大学

2015年09月23日 | 研究生活
 前回の話の続きを書く前に、先日の日曜に学会で報告をしてきた時の話を。

 私自身の報告は、日本から世界に社会学を発信する際に、概念の相違をいかに考えるべきかを、仏語のsociété概念と、日本語の社会概念を比較検討することで、検討しようというもの。

 ただ、後者の日本における社会概念の系譜は、私自身の力では追いきれるものではないので、飯田泰三の『批判的精神の航跡』における吉野作造の思想の経過を、「社会の発見」という視覚から検討している研究に依拠させていただいた。

批判精神の航跡―近代日本精神史の一稜線
クリエーター情報なし
筑摩書房


 吉野作造は、1920年に、それ以前の国家観から、国家と社会を混同すべきではなく、人々の共同生活を考える上では、国家ではなく社会の方が適していると主張しはじめる。

 私自身はこれを、受け売りで言っていただけなのだが、同じ部会で発表をさせていただいた冨江先生が、ご自身の社会政策史の研究において、すでに、1920年代から社会概念が使われ始めることを主題としているという、話を聞いて、納得をした(と同時に、自分の不勉強を痛感した)。

 それから、宮島先生からも質問を頂き、コントについて、大変勉強になるご教示を頂いた。経済学のマンチェスター学派への批判的立場をコントは取っており、そこからコントのsociété概念を考えるべきではないか、という教示であった。

 ただ、最近の私は、コントを、やはりリベロー(liberaux)と考えていて、その辺は今後の課題だと思っている。

 また、他に一緒に報告をさせていただいた先生方もいたのだが、それについてはまた別の機会に話を。


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