a journal of sociology

社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

日本社会学会@立命館大学:その2

2006年11月02日 | 研究生活
 続き

 それから、学界全般について。労働部会が大盛況で、これは昨今の「ニート」問題や非正規雇用問題の影響を受けてのことだろうと、会った人・参加した人が口にしていた。
 ただ、さきほどエスタブレのComment peut-on ?tre fran?ais ? 90 ouvriers turcs racontentを何の気無しにパラパラめくっていたのだが、ある叙述が目に入ってきた。この著作、仏で労働の経験があるトルコ系の外国人労働者を出身国のトルコでインタビュー調査したものなのだが、仏における外国人労働者受け入れによって70年代以降、労働研究の分析枠組みも転換した・せざるをえなかったとの言及が。たしかに外国人労働者の労働環境は、仏人のそれとは別に考えねばならないのは事実だと思う。
 現在のニート問題、あるいは若年層の雇用問題だけでなく、人口減少社会をこれから迎える日本では外国人労働者の受け入れも考えてゆかざるを得ず、そうなるとさらに新しい分析枠組みが必要とされるだろう。ただし、私の知る限り、そうした視点はあまりないように思われるのだが。

 ちなみにこの本の著者エスタブレは、アルチュセールの弟子として、一緒に
資本論を読む〈下〉

筑摩書房

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を執筆しているのだが、この本以降あまり名前を見ないでいた。
 実際のところ彼は、アルチュセーリアンの中では最も社会学的な研究を続け、仏における学校問題などをずっと研究し続けていたことをわりと最近知った。ただ、内容が「もろに仏的」な為、なかなか仏以外の国では脚光を浴びなかったのだろうが。ブルデュー的な学校による階級の再生産などを展開しているのだが、何せ、仏の複雑な学校制度に沿って実証的な研究を展開しているため、仏の文脈に詳しい人間でないとなかなか興味がわかない内容。また、込み入った分析なため、語学力もそれなりに必要になってくる。

 ということは、彼の議論が目に入ってきたのは、私の語学力もここで向上したためだろうか?(苦笑)


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