お寺さんぽ Ver.03

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長谷寺・長谷観音 (神奈川県鎌倉市)

2011年05月15日 | お寺
のんびり気軽にさんぽがてら。
本日は神奈川県は鎌倉市の「長谷寺(はせでら)」です。

こないだ2度目の参拝をしてきました。
堂内にて度肝を抜くような大きさの、通称「長谷観音」で有名なコチラ。
付近には鎌倉大仏があり、どうしてもそっちが目立ってしまうんですが、お寺として楽しいのは断然「長谷寺」です
宝物館には仏像もあり、神奈川寺院の中でも特にオススメ。

正式には「海光山慈照院長谷寺(かいこうざん・じしょういん・はせでら)」です。
開創は天平八年(736)の奈良時代。
奈良は「唐招提寺」とだいたい同じくらいで、当時政権にあった「藤原(中臣)鎌足」の孫・藤原四兄弟が天然痘の流行によって相次いで病死しているような時代ね。
こちらの縁起が面白いので紹介します。


※頂上からの眺め。

「長谷寺」を代表する、「長谷観音」こと本尊「十一面観世音菩薩像」
もともとは、奈良で造られていました。
養老五年(721)
現在の奈良県、当時は大和国の「長谷寺」の開山である「徳道(とくどう)上人」
その本願に基づき、進み出た「稽文會(けいもんえ)」、「稽首勲(けいしゅくん)」と名乗る仏師二人。
巨大な楠の霊木から、わずか三日三晩にて二体の観音像を造り上げたのでした。

これは凄い!
しかも、二体もの観音像ですよ!!

とても人間業とはとは思えませんね。
…とか思ったら。
この仏師、実は「不空絹索観音」、「地蔵菩薩」の化身なのでした。
ああ、なるほど。
ともかく、そのうちの一体は大和「長谷寺」の本尊となり、もう一体は衆生救済の願いを込められ、開眼供養をした「行基上人」によって海中へと奉じられたのでした。

その後、天平八年(736)
像は横須賀市長井まで流れ着き、報告を受けた「藤原房前(ふじわらの・ふささき:藤原四兄弟の一人)」によって鎌倉へと送られるのです。
まあ、モロに流れ着いたんでしょうね。
伝承によると、仏像に付着した”かきがら”の導きによって鎌倉へたどり着いたとされ、境内には「かきがら稲荷」というのが祀られております。


本尊となった「十一面観世音菩薩像」は、九メートルを超える巨大な仏像(9.18m)
錫杖を右手に、岩座に立つ姿は独特で、”長谷寺式”と呼ばれているんだとか。
見上げる巨大な姿はモノ凄いですよ。


※弁天窟です

ともかく、こうして、東国を代表する観音霊場となった「長谷寺」
「聖武天皇」からは勅願所と定められ、栄えていったのでした。
境内には色々と見どころあり、「源頼朝」の厄災除去のため造立されたという「阿弥陀如来座像」
なにげにこちらも六尺という大きさで、鎌倉六阿弥陀の一体。
「弘法大師」が修業の際に訪れ、「弁才天」を感得したという「弁天窟」もちょっとしたダンジョンになっていて、なかなか面白いかと。
仏像好きな方には、やっぱり宝物館。
「観音三十三応現身」という、衆生救済のため観音菩薩さまが三十三の姿に変じたという仏像群があります。
ちらほら名前が分かる方もいるんですが、
名前の分からない方もいるので、あえて表示はしていません
…とのことでした。
一部破損しているのが残念ですが、基本的にはちゃんとした姿で残されています。
これらは室町時代の県指定文化財です。



[関連記事] 【観音・菩薩などいろいろ】
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※1家に1体な観音さま。
 先立つものと共に置く場所ないのが悔しいですよー。