お寺さんぽ Ver.03

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十一面観世音菩薩 (仏像・菩薩)

2007年12月22日 | 仏像
のんびり気軽にさんぽがてら。
本日は結構あちこち、高確率で見かける、いかにも菩薩っぽいこちらのお方「十一面観世音菩薩」です。

ややこしく、一見さんを拒絶するような仏像世界。
そんな仏像界でも見分け方が一、二を競うほどに容易く、名前がそのまま外観に繋がるという、いたって直球なお方です。
大して詳しくなくとも、名前をずばり言い当てれることでしょう(笑)

さて、あちこち様々なバリエーションがある観音さまの中で、最も早く考案された変化観音がこちらの「十一面観世音菩薩」です。
六観音の一つで、梵名「エーカーダシャムカ」
元々はヒンズー教の十一荒神が仏教に取り入れられたもの、とか言われています。
人々の全ての憂いと悩み、病苦障害、悪心を除くことを誓願としている菩薩さまでして、多くの苦難に対応するため、あらゆる方向へ顔を向けているんだって。

インドでは七世紀あたりから、中央アジアから中国にも作例があります。
日本には最古のもので奈良時代からはじまり、平安時代以降には民間信仰と結びついたことで観音信仰の主流を占め、「観音と言えば十一面」と考えられるほどになりました。
だいたい武士が台頭してくる頃合でして、六道のうち”終始戦い・争う、苦しみや怒りが絶えない”という「修羅道」へ堕ちたものを救済する菩薩こそが十一面さま。
社会情勢的に、そんなん合致したことが流行の原因だったようですね。

見分け方は前述したような感じですが、もう少し細かく。
頭部に小さな十から十一の面相がつけられているのが最大の特徴。
頭上前三面が穏やかな慈悲の「菩薩面」、左三面が恐ろしい怒りの「瞋怒面(しんぬめん)」、右三面は菩薩面と似ていますが、上方へ狗歯をむき出している「狗牙上出面(くげじょうしゅつめん)」、後ろ一面が大笑いをしている「大笑面(だいしょうめん)」、頭上にもう一面(如来相)で十一とする場合と、本面と合わせて十一となるケースがあります。
小さい頭の配列は様々でして、一段でずらりと並べるほか、二段、三段と積みあがるのもあります。
また、各面には阿弥陀仏の化仏をつけた宝冠があり、左手には水瓶、右手は施無畏印(せむいいん)の二臂像が基本構成。
他、異形像では四臂や八臂というのもあります。
ちなみに、日本最古の「十一面観音」は奈良「法隆寺」金堂の壁画、彫刻では奈良「聖林寺」・京都「観音寺」の乾漆像(かんしつぞう)などがあります。

おん、ろけいじんばら、きりくそわか
この真言で現世の利益だけでなく、死後の成仏が約束されるとかなんとか。
ちなみに、十一面さまの像を様々な香木を入れた水で洗ったのち、その水に浴すれば障害が取り除かれるんだって。
バスクリンみたいなもんですね。
…どうよ、信じてみます?


[関連記事] 【観音・菩薩・天部などいろいろ】
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