お寺さんぽ Ver.03

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虚空蔵菩薩 (仏像・菩薩)

2009年08月02日 | 仏像
のんびり気軽にさんぽがてら。
今回は「虚空蔵菩薩(こくうぞう・ぼさつ)」さまなのです。
はい、”誰も知らない仏像シリーズ”ですね。
実は…たぶんそこそこ目にしている筈なんですが、あまり知られていない方だと思います。
なんというか、記憶してどうのって感じでもないんですよねー。
…失礼ながら。

さて、
”虚空のような広大無辺である、ことごとく無量の法宝をもって、広く衆生に利益を与える”
…という、「虚空蔵菩薩」さま。
うーん、そのままでは毎度のことながら分かり辛いですね。
簡単に書いてみると、
”やたらめったらに広い(無限?)知恵と慈悲によって、皆の願いを叶える”
という方なのです。
梵名「アーカーシャガルバ」には、インドにて虚空の母胎、そしてを意味しているそうです。
本体は宇宙?というくらいに巨大な宝庫のイメージなのでした。
(※その宝庫から皆になんらか差し上げる、という感じ)
凄いですね。
広大な福徳・知恵と慈悲で知られている方なのです。

日本では福智を授かるための信仰が盛んで、天平時代(729~749)という古くから信仰されていました。
特に「求聞持法(ぐもんじほう)」という行法の本尊として有名なの。

さて、こちらの「求聞持法」とは何なのか?
簡単には記憶力の増強術みたいなもの。
集中力が養われ、”見聞きしたこと”は無論のこと、”教法を忘れない力が授かる”という僧には大変ありがたい秘法なのでした。
「求聞」とは、見聞きしたことを忘れない知恵を意味しているそうなのです。
その条件は「虚空蔵菩薩」の真言「おん、ばさら、あらたんのうおん」を百日、あるいは五十日の間に百万回唱える~という難行を全うすること。
(※なお、詳細には色々と決まりがあるようですので注意)
百日で考えると、一日一万回の計算です。
…微妙にできそうですが、こりゃ飽きるだろうなぁ(笑)

なお、この行法は「大安寺」の僧「道慈(どうじ)」によって、奈良時代頃に唐より伝来したものでした。
若き日の「空海」も体得しており、彼の著作にて「求聞持法を得て目前に明星が出現した~」というようなことを書いているのでした。
(※その明星が「虚空蔵菩薩」の化身ではないか?ということね)
さらに平安時代末期の説話集「今昔物語」にも、次のようなエピソードが書かれています。

比叡山に学問のなかった僧がおりました。
その元に「虚空蔵菩薩」が女身に変じて学問を勧めたところ、後には山内第一の学僧になったのでした。
まぁ、だいたいそんなん。
ひでるさんには女の子の応援に発奮した…と読み取れるんですが、それはそれ。
ともかくもこのようにして宣伝され、貴族などの間で広まっていったのでした

なお、学問というと…皆さんは「文殊の知恵」でおなじみ「文殊菩薩」さまを想像するでしょう。
確かに似ている2人なんですが微妙に意味が異なっており、
”知恵の量、経験の深さからくる思考力”、考える力が増えるうんぬんというのが「文殊菩薩」
一方の「虚空蔵菩薩」は、知識の量に加えて”技能や芸術に関する才能が対象”になっているそうです。
…要するに、専門知識が広がるってーことですかね。
そんな訳で、特に職人・芸人から信仰されていったのでした。

さて待望の見分け方ですが、
満月中の蓮華上に半跏座。
左手に「如意宝珠」をのせた白蓮華、右手には五指を下げた「与願印」
頭に宝冠…というのが「求聞持法」での「虚空蔵菩薩」
これが「胎蔵曼荼羅」になると、右手が宝剣に変化しておりました。
(※虚空蔵院の主尊。釈迦院では後方ら配置)
ともかく、仏格化の元であるという「如意宝珠」がポイントになってくるようなんですが、持物はだいたい一定していないようです。
なかなか難しいですね。

奈良時代に建立されたという、京都・法輪寺は「虚空蔵菩薩」が本尊。
平安時代から「十三まいり」など霊場として有名です。
ほか、伊勢・金剛証寺、福島・円蔵寺と共に”三虚空蔵”とされているのでした。

なお、五名揃っている場合は知恵を五方に配したという「五大虚空蔵菩薩」となります。
「金剛界五仏」の変化した姿を現しているとのことでした。
こちらは京都・神護寺の多宝塔にある、平安時代の国宝が有名なのです。




[関連記事] 【観音・菩薩などいろいろ】
⇒ 仏像の種類 (お父さんのための仏像講座) [前編] [後編]
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