お寺さんぽ Ver.03

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十二神将 (仏像・天部)

2009年03月05日 | 仏像
のんびり気軽にさんぽがてら。
だんだん何をやっていて何をやっていなかったのか、訳分からなくなっている仏像シリーズ(笑)
本日は、結構あちこちで見かけるだろう「十二神将」です。

別名「十二薬叉大将」とか、「薬師十二神将」とも言います。
当然ですが、総勢十二名もいるこちらの方々。
その数の由来は「薬師如来」の”十二の大願”によってあらわされたもので、本尊の周囲にあってそれを守護している十二の夜叉なのでした。

ある日、「薬師如来」の本願と功徳について説法を行っていたお釈迦さま。
その熱い言葉(←ここはうそ)に感動したらしい夜叉の十二名が、それぞれ七千という眷属「薬叉(やくしゃ)」を従え、「薬師如来」のもとに集まったのですね。

「薬師本願経」には、「薬師如来」の名号を受持し、供養するものを守護し、苦しみを脱し、願いを満足させるもの…と説かれています。
薬師さまの関係者について、盛りだくさんな特典を与えてくれる方々なのでした。

数字を見て、ぴーんときた方は…いるかな?
あるいは、どちらかで実際に仏像を見ている方ならば、なんとなくご存じでしょう。

そう、彼ら「ねー、うし、とら…」でおなじみ、十二支との結びつきがあるのです。
その関係から昼夜十二時というそれぞれ時刻の守護を担当しているほか、十二の方位をも守護しているという、大変に忙しい方々だったのでした。
(※昔は時刻とか方位がそんなんでしたよね)

さて、肝心の見分け方ですが…はっきり言って、見分けられません(笑)
経典によって微妙に異なったりするほか、持持やポーズなどが曖昧で一定してないのでした。
いちおう、基本的に唐風な甲冑を着けた神将形。
平安時代末期ころからはある程度定型化しており、中世以降のものは頭上に十二支の冠があるのでどうにか区別できます。
それ以前のものは動物冠はなかったのです。
図像になると、直接動物に騎乗しているのもあるのだとか。
…ちょっと見たいですねー、それ。
メンバーは↓下記のような方々です。

■十二神将メンバー (※右が対応する十二支)

01) 宮毘羅(くびら):ね
02) 伐折羅(ばさら):うし
03) 迷企羅(めきら):とら
04) 安底羅(あんちら):う
05) 頞儞羅(あにら):たつ
06) 珊底羅(さんちら):み
07) 因達羅(いんだら):うま
08) 波夷羅(はいら):ひつじ
09) 摩虎羅(まごら):さる
10) 真達羅(しんだら):とり
11) 招杜羅(しょうとら):いぬ
12) 毘羯羅(びから):い

最も有名なのは、奈良は「新薬師寺」の塑造(※)十二神将像。
こちら、天平時代と推察される、日本最古のもの。
表情から動きなど派手で、大抵こちらが例として登場しています。
一体「波夷羅」以外の十一体が国宝です。
大変残念なことに、「波夷羅」だけ江戸時代の”安政の大地震”によって壊れちゃった、とのことでした。


※塑造(そぞう)
粘土などを用いて、盛り上げて造る技法のこと。
アジアでは適当な木材・石材が少なかったため、平安時代前には盛んだったようです。
簡単には…木で骨組をつくり、そこに縄を巻きつけ、粘土質の土を盛っていくのだとか。


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 映像はアップにしてくたりするのがいいですよね。