『露けさや 義母の泪の 一雫』
(つゆけさや ははのなみだの ひとしずく)
『野分けをば 迎えに西へ 戻るなり』
(のわけをば むかえににしへ もどるなり)
『月欠けて 風情増すらむ 月の雲』
(つきかけて ふぜいますらむ つきのくも)
『萩の露 風の通りの 表示灯』
(はぎのつゆ かぜのとおりの ひょうじとう)
『俤の 燃え立ち出ずる 曼珠沙華』
(おもかげの もえたちいずる まんじゅしゃげ)
『名月は 雨雲すらも 突き抜けん』
(めいげつは あまぐもすらも つきぬけん)
『新涼や 旅の疲れの 回復薬』
(しんりょうや たびのつかれの かいふくやく)
『台風と 秋雨前線 ランデブー』
(たいふうと しゅううぜんせん らんでぶー)
『女郎花 駅を出ずれば お出迎え』
(おみなえし えきをいずるずれば おでむかえ)
『薬指 光るものあり 秋の昼』
(くすりゆび ひかるものあり あきのひる)
『聴かんとし 耳傾ければ 秋の声』
(きかんとし みみかたむければ あきのこえ)
『コスモスや 風と戯れ 惑わせん』
(こすもすや かぜとたわむれ まどわせん)