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牟禮山 竜王観音禅寺~秘仏御本尊 特別大開張~

2023-03-03 19:55:55 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 滋賀県には聖徳太子ゆかりの寺院や神社が非常に多く、奈良県や大阪府を遥かに凌ぐ数の寺社に伝承が現存しています。
一説には比叡山延暦寺を本山とする天台宗が滋賀県では盛んに信仰され、最澄が聖徳太子の生まれ変わりとされた影響が大きいとされている。

特に東近江地域(東近江市・近江八幡市・日野町・竜王町)には聖徳太子の伝承が数多く残り、聖徳太子薨去1400年を迎えるにあたり、11の社寺で特別開帳が開催されています。
竜王町の「観音禅寺」では秘仏の聖徳太子一刀三礼御作「十一面観世音菩薩立像」の特別大開帳に合わせて、ミュージカルの寸劇やヨシ笛演奏奉納やライトアップなどが開催されるという。



「竜王 観音禅寺」は、三井アウトレットパーク滋賀竜王から近い場所にはあるものの、周辺には何もなく、鏡山のもっとも東の麓と祖父川の間にひっそりと祀られています。
とはいえ、駐車場には次々と車が入ってきて寺院へ向かわれる方は多く、法要への参加者以外にも「十一面観世音菩薩立像」を拝観したいと訪れる方が多かったようです。



石標のある祖父川も堤防から眺めると、大きな溜池の奥にある山麓に本堂が垣間見え、山麓の落ち着いた佇まいのある寺院の良さを感じます。
本堂の屋根には少し雪が見えますが、この雪は竜王町に入った辺りから見え始めましたので、この地域は雪が多い地域なのでしょう。



溜池の中央を横切るように参道は作られていて、道の両脇は松の木の間を歩いていると、人口の溜池の間の参道とはいえ、雰囲気のある参道です。
現在は夜間にライトアップをされていますので、各所にライトが設置されていますが、夜間に参拝するのはちょっと怖いかもしれませんね。



「牟禮山 観音禅寺」は、853年に法満寺を守護する別院として草創されたと伝わり、母体となる法満寺は701年に創建され、739年に良弁僧正により伽藍が整えられたといいます。
平安時代後期には僧房五十六宇を数える大伽藍を誇ったとされますが、戦国期に全山が兵火で焼尽。
江戸時代の元禄期に臨済宗の禅師により「観音禅寺」として再建されるが、明治期に無住の寺院となり、大正期に再興した後は小口集落の人々により護持運営されてきたといいます。



小雨がぱらつき足元の悪い中にも関わらず、山門から人がはみ出してしまっている状態でしたので、裏参道から境内へと入らせて頂きます。
山門前にも石仏が数躰祀られていましたが、裏山の竹林の辺りにも石仏はポツリポツリと祀られています。



本堂の横の石段の上には「白髭稲荷大明神」が祀られており、本堂では法要後の議員などの挨拶が続いておりましたので、先に稲荷大神へお参りします。
山を背にした高台には「白髭稲荷大明神」と「役行者 神変大菩薩」の2つの祠が祀られていました。



江戸期以降に臨済宗の「観音禅寺」となったこの寺院の歴史は、開基が金蕭菩薩・開山が良弁僧正とされ、戦国時代に信長に焼かれるまでは天台宗寺院だったという。
では、聖徳太子とどこでつながってくるかとなると、年代が合わないのでやはり天台宗時代に関連付けられたのではないかと思う。
山岳信仰から奈良仏教、天台宗に神道や修験道が混在してくるのは滋賀県の古寺のひとつの傾向のように思います。



達磨大師の霊石に手を合わせていた頃、本堂ではヨシ笛演奏奉納が始まったようでしたので本堂前の境内へ進みます。
実はこの日、仏像拝観ともうひとつ楽しみにしていたのは、本堂で演じられるミュージカル「日出づる国 厩戸皇子」の舞台でした。



ミュージカルは「東近江創作ミュージカル」というアートプロジェクトのメンバーにより演じられ、本来は2時間ほどのミュージカルのようですが、今回奉納されたのはその一幕です。
ストーリーは“歴史好きの少女ユリが石段から落ちた瞬間に少年・厩戸皇子と入れ替わり、厩戸皇子となったユリは激動の飛鳥時代を生きる人びとを導く”という話の一幕です。

完全版では“現代を生きる人々と交流する厩戸皇子”の姿も演じられるようで、厩戸皇子が現代社会でどのようにふるまったのか気になるところです。
まずは舞台回し役の方が巻物を読み、飛鳥時代の様子を伝えます。



主役となるのは、現代の少女ユリが入れ替わった厩戸皇子と皇子を助ける小野妹子になります。
歌って踊ってにはやや狭い本堂ですが、山岸涼子『日出処の天子』以来の厩戸皇子ファンの当方としては、充分に楽しめるステージでした。



迫力のある争いの主は、蘇我馬子と物部守屋。
崇仏派と排仏派の争いであり、権力闘争でもあったようですが、厩戸皇子は四天王の像を彫って戦いに参加したことに複雑な心境を抱いた一面も演じられる。



ミュージカルのエンディングは今日の出演者が全員揃ってのステージです。
一幕のみですので20分程度の舞台でしたが、寺院の本堂で演じられる飛鳥時代を舞台としたミュージカルという興味深いステージでした。



ステージが終わるといよいよ仏像拝観の時間です。
須弥壇のある内陣の横の部屋には「大日如来坐像」と「阿弥陀三尊」に雛人形が置かれており、金箔の光背や蓮台に黒々とした墨色の姿で座られる「大日如来坐像」の美しい姿に魅かれます。



須弥壇には「十一面観世音菩薩立像」が祀られ、古さは感じないが柔和でふくよかな表情をされている御本尊です。
光背や厨子も立派なものですので、観音禅寺を氏仏とされる方々の信仰の篤さを感じることになります。
須弥壇の左の部屋には、まさに所狭しと仏像がお祀りされており、仏像密集の部屋となっておりました。



法要から始まって、ご挨拶・ヨシ笛演奏奉納・ミュージカル「日出づる国 厩戸皇子」ときての仏像拝観にすっかり堪能して寺院を出ることになり、深く印象に残る寺となりました。
「観音禅寺」は別称「みくじ占いの寺」と呼ばれているといい、観音霊籖の秘法に基づき比叡山延暦寺の元三大師堂のおみくじのような内容でみくじ占いをされているそうです。



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