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“男のためのガーデニング”改め

「飯道山」を登る!2~修験道 忍の道「行場巡り」~

2023-04-26 19:08:38 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 飯道山は巨石・奇石が多く、古くからの山岳信仰に加えて山伏の山中修行の修験行場となり、修験者の一部が甲賀忍者の始まりとなったともされています。
山頂近くには熊野修験より勧請された「飯道神社」が祀られており、周囲には最盛期に20坊あったとされる寺院跡が点在して「甲賀三霊山」と称される信仰の山となっています。

この日は宮町登山口から「飯道神社」まで登って参拝し、次に「杖の権現」から飯道山の山頂まで登り、「木食応基上人入定窟」を経由して飯道神社まで戻って修験道 忍の道「行場巡り」をして下山しました。
忍の道「行場巡り」は山伏の修行場であるとともに、忍者の修行のようなスリリングなコースで、鎖とロープを頼りに進むしかない難路でした。



「行場巡り」は飯道神社への石段の横から入って行くことになり、「天狗の岩」「不動の押し分け岩」「平等岩」「蟻の塔渡り」「胎内くぐり」「岩上」と続きます。
途中の道も崖の横の細くて陥落しそうな道だったり、鎖やロープで岩場を登り降りする場所が続くので、気の抜けない難所が続き、途中からは引き返すことが出来なくなります。



ます最初に現れるのは「天狗の岩」という大岩です。
祠が祀られた大きな岩ですが、斜めになっても安定しているのは、岩の部分が見えない土の中にまで大岩はあるということでしょう。



天狗の岩はかなりの巨石なんですが、飯道山には巨石が幾つもあるので巨石に対する感覚がどんどん麻痺していきます。
天狗の岩には祠が祀られており、登ることは出来ませんので、無事走破と道中安全を祈って先を目指します。



道中には何ヶ所も鎖やロープが吊るされている場所がありますので、鎖やロープを頼りに登り降りすることになります。
まずは最初の岩下り。激坂ではありませんが、やはり鎖はもし滑った時の頼りになります。



岩の苔や落ち葉で滑りやすそうな坂ですが、ロープを頼りに下る。
ただしロープがしっかり結ばれているか確認してからです。
下りてからの道も崩落しそうな細い道ですので、下りたから安心とはいえないのが忍の道ということになります。



次の行場は「不動の押し分け岩」となり、巨石群の真ん中辺りまで登って、極細の入り組んだ岩の間をすり抜ける修行です。
荷物を出口近くに置いてから岩穴まで登って中に入りますが、ここには迂回コースもあります。



岩穴の内部は小柄でスリムな人なら通り抜けられそうですが、そこそこ体の大きい当方には通れそうにないので途中で引き返します。
曲がりくねった岩穴の向こうに光が見える角度がありましたが、奥まで行くと狭い岩の間に挟まって身動きできなくなりそうです。
ここに来る人は稀なようでしたので、ずっと挟まったまま放置状態になってしまったらと想像すると怖ろしくなってくる。



迂回して出口側から穴を見ると出口付近はますますの極細の道。
ほとんど洞窟探検隊みたいな空間ですので、どう考えても当方には通り抜けられそうにありませんでした。



「不動の押し分け岩」の次は「平等岩」登りの修行です。
本来は鎖とロープの下に足を掛ける用のブランコのようなものがあるのですが、既に破損していて足の掛けどころがない。
足の掛け代となる凹凸が少ないとはいえ、鎖を頼りに登れば何とかなりそうですが、下りてくる時に落下してしまいそうですので途中まで登って断念する。



修験者の方は、平等岩の上まで登り、岩に巻かれた鉄輪を持って一周されるのだそうですけど、それは修験者や忍者でなければ危険すぎて難易度が高すぎるとしか言い様がありません。
忍者や山伏を目指すには心・技・体の全てが不足しているのを実感して、迂回路から先へ進みます。



「平等岩」の次は難所「蟻の塔渡り」。「蟻の塔渡り」の前には安全に飯道神社に戻れる抜け道があるとのことで、体力や技術に不安を感じられた方は引き返して下さいとある。
ここまで来て戻る気持ちも抜け道を通る気持ちもさらさらないが、「蟻の塔渡り」を越えてしまえば、もう戻ることは出来ず、最後まで修行巡りをする覚悟が必要です。



蟻の塔渡りは岸壁の両方に張られたロープを頼りに、岩の間にあるギザギザと切り立った岩を渡っていく修行で、かなり緊張しながら歩を進めることになります。
両手でロープを握ってはいるが、とにかく安定した位置に足を置く事を確認しながら塔渡りをします。



渡り切って振り返って見た蟻の塔渡り。
難所を越えたのが分かった時に急に緊張が解けて、ずるっと滑って尻餅をついてしまったのがこの日唯一の失敗でした。
さぁこれでもう戻ることは出来なくなりました。次の修行場へ進みます。



次の修行は「胎内くぐり」となり、岩の隙間から岩穴へ下りていきます。
迂回路がないのでリュックを背負ったまま鎖を握って下りていくことになりますが、外から見ると内側は真っ暗なので少し不安になります。



「胎内くぐり」は、「不動の押し分け岩」のような極細の岩間を這いずり回るようなことはなく、狭い部分でリュックが岩で擦れる程度で通り抜けられる。
内部には広くなっている場所があり、後は鎖を掴んで下りていくだけです。



振り返って眺める胎内くぐりの大岩。
飯道山には巨石が多いので、巨石を見ても驚きの気持ちが麻痺してしまいますが、さきまでこの巨石群の内部にいたのかと思うと感慨深いものがある。



最後の難所は「岩上」で鎖を掴んで登りますが、既に忍びの道を一巡りしてきているので難なく登れます。
この先を進むと本殿の裏に出られるのですが、道がはっきりしておらず木に巻かれたテープを探しながら進むことになります。



本殿裏に着くまでにあるのは「東ののぞき」の巨石があり、天正9年に織田信長がここで国見をしたと伝えられています。
当時の信長は近江を平定して安土城を建築し、京に入って天下布武を成し遂げようとしていた頃で、翌年に本能寺の変で自害することになるとは露知らずだったことでしょう。



本殿が近づいてくると、地元の方が掃除されている声や草刈りをされる音が聞こえてきて、忍の道「行場巡り」が終わったことが分かります。
本殿裏にも巨石群があり、最後の最後まで巨石に囲まれた山登りだったことを実感します。





甲賀を含む湖南地方は山が多く、奈良から南山城を経由して湖南から甲賀まで至る道は、石の文化の道でもあります。
滋賀県は山を中心とする信仰が根付いていったと思われる節があり、山系によってそれぞれの信仰があったように感じられます。





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