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国道307号線は年に数回通る道ですので、全く不慣れな地域ではないにも関わらず、通過するばかりでゆっくり訪れる機会はなかったと思います。
「甲賀市」といえば聖武天皇が造営した「紫香楽宮」、信楽町の「信楽焼(タヌキ)」、鎌倉から江戸にかけて暗躍した「甲賀忍者」、「土山宿」「水口宿」などの「東海道の宿場町」が有名でしょうか。
参拝した「玉桂寺」はタヌキの焼き物の街・信楽から国道を外れ、大戸川に沿った細い道を進むことになります。
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信楽高原鐵道の「玉桂寺前駅」から大戸川を挟んで玉桂寺側にかかる吊り橋の下を抜けると寺院はすぐに見えてきます。
玉桂寺には巨大な不動明王立像が境内に祀られており、寺院自体も想像以上に大きい寺院ですが、辺鄙な場所にあるため隠れ里のような雰囲気が漂います。
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玉桂寺は761年、飛鳥田内親王の御願による創建を伝えられる保良寺を前身とするとされています。
また、奈良時代に淳仁天皇(47代天皇)が滋賀の皇居を造られる間の仮御所として使われたのが始まりとするとの伝承があり、後には文徳天皇(55代天皇)と後花園天皇(102代天皇)の勅願寺として栄えたともされます。
弘法大師・空海が中国より帰国後に九州に留め置かれた時期に、空海がこの寺院を巡拝したと伝わっている伝承も伝わっており、その経緯から寺院は高野山真言宗の寺院となっているようです。
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山門から入山すると、まず「宝祈願股木杉」という2本の杉が根元で1本になっている巨木が目に入ってきます。
二股になっているところにベンチのようなものがありますが、そこで子宝を祈願するのでしょうか。
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まず手水で身を清めますが、水の豊富な信楽の手水らしく、流れる水にとても勢いがあり気持ちよく清めることができました。
ここから見る本堂への景観もとても気持ちよく感じます。
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玉桂寺には「高野槇」と呼ばれる高野山では霊木だとされる珍しい樹木が群生しており、本堂への石段の両端に約60本のコウヤマキが独特の形の群生となっています。
コウヤマキは空海が寺院を訪れた際に、廃帝のご冥福を祈り、植えられたという伝承が伝わるそうです。
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鐘楼がありましたのでいつも通り梵鐘を撞かせていただきました。
梵鐘には“昭和45年9月吉日 鋳匠 西沢吉太郎鋳造”の銘があります。
この方は五個荘町で代々梵鐘を鋳造されている方のことだと推定されます。
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堂宇は最初に阿弥陀堂からお参りしましたが、障子を開けて須弥壇の光景に驚きます。
建物は比較的新しい感じの御堂ではあるものの、須弥壇には3躰の坐像が安置されてあります。
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阿弥陀堂の前に立っていた表示板には「木造阿弥陀如来坐像(平安時代)」「木造五却思惟阿弥陀如来坐像(室町時代)」とあります。
「五却思惟阿弥陀如来坐像」は仏像自体珍しいものですが、異様に盛り上がった髪型に凄いものがあります。
大願を成就するため永遠・無限の永い間、剃髪することもなく思惟し続けたため、このような姿になった阿弥陀如来だとされます。
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次にお参りした護摩堂には護摩壇の奥に3躰の不動明王像が安置されています。
護摩壇の横には薪が準備されていましたから、近々護摩祈願を務められるのかもしれませんね。
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短い石段の先には朱色に塗られた毘沙門堂がありました。
須弥壇には近年に納められたと思われる毘沙門天像が10躰以上あり、中には弁財天や不動明王の姿も見えます。
玉桂寺には膨大な数のお地蔵さんや地下道にまで祀られている観音像が凄まじい数奉納されています。
数が数だけに、どういった方々が奉納されてきたのか気になるところです。
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最後にお参りしたのが本堂でした。
迂闊にも本堂の写真を撮り忘れてしまいましたので寺院のHPにあった写真をお借りしました。
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本堂は古い建物のようですが、よく手入れされていてこの寺院の檀家さんや奉納者の熱意が感じられます。
須弥壇も美しく輝き、厨子も立派なものに感じられます。
厨子の中には御本尊である弘法大師が祀られているそうですが、秘仏につき御開帳は50年に一度だけとのことです。
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御本尊の厨子の肥大には「愛染明王像」が安置された厨子があり、右の厨子には「不動明王像」が安置されています。
仏像の製作時代等は分かりませんが、厨子や台座が豪華なものになっています。
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脇陣にも仏像があり、左脇陣に聖観音?右脇陣に大黒天が祀られています。
後陣には金ピカの釈迦涅槃像まであり、地下通路には奉納された観音像が並んでいます。
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さて、この寺院のシンボルといえばやはり巨大な不動明王立像ということになります。
像高13mの一願成就大不動明王は寺院を守護するように外側に向けて立っておられます。
信楽の山里にこのような光景が広がっているのは驚きの世界ですね。
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ところで寺院のすぐ近くには「保良の宮橋」と名付けられた、信楽高原鐵道「玉桂寺駅」から大戸川・一般道を越えて玉桂寺の横へ渡れる吊り橋がありますので、せっかくなので渡ってみます。
道路から見るとさほど高い場所に掛けられている橋には見えませんが、渡ってみるとかなりの高さを感じます。
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吊り橋は1mの幅で100m以上の長さがあり、高さは水面から13mあり、なかなかスリルがあります。
しかも、歩いていると振動で吊り橋がユラユラと揺れるので、少し怖い感じさえして脚が竦んでしまいます。
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ちょうどいい具合に信楽高原鐵道が駅に入ってきたので写真を撮ってみます。
鉄道の線路は1本しかなく、電車も1両編成で駅は当然無人駅。
何とも長閑な風景ですが、元々はJRの路線だったものが廃線となり、1987年からは第三セクター鉄道として営業されているそうですね。
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実はこの時、吊り橋の当方とは反対方向でカメラを構えて電車を撮影されている方がおられたのですが、電車が駅を発車しかけると急にこちらへ向かってダ・ダ・ダと駆けつけて来られる。
歩いていても揺れてしまう吊り橋を走ってくるものだから吊り橋は大きくユラユラ揺れてしまい、立っているのも困難になり怖いやら、カメラの焦点が定まらないやらと凄いことになっていました。
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電車が見えなくなった頃に“揺らしてしまってすいませんね。”と言っておられましたので“いいえ、どういたしまして。”と答えておきましたが、実はかなり怖かった。
とりあえず電車は撮れていましたので、この一件は記憶に残る想い出深い出来事になりましたよ。
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