僕はびわ湖のカイツブリ

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“男のためのガーデニング”改め

『やまなみ工房-森田郷士-』展~長浜市「湖のスコーレ」~

2022-06-01 07:53:53 | アート・ライブ・読書
 「湖のスコーレ」は観光の街・長浜市の商店街の中心辺りにある複合型商業文化施設で、滋賀県に伝わる発酵の文化や垢ぬけた雑貨販売スペース、セレクトされた古書などが並ぶ書店などがあります。
オープン以来、楽しみにしているのは2階に設けられたギャラリーでの作品展示で、甲賀市にあるアートセンター&福祉施設「やまなみ工房」からの作品が出品されてきました。

今回の作品展は、森田郷士さんの絵画26点が展示。
動物のようなもの、人のようなものを抽象的に描かれていて、そのモチーフは無数の点と線で埋め尽くされている動的な印象を受ける作品群です。



「湖のスコーレ」の裏側の入口から入ると、まず4枚の絵が掛けられており、錆止め塗料だけが塗られた鉄肌剥き出しの階段を上がって2階へと進みます。
描かれたモチーフは、生命感に溢れているが、その姿は心の内側を描き出したような感情が見え隠れするデフォルメされた生命体のように見える。



絵のタイトルは全ての作品が「点と線」と付けられていて、森田さんの視点では描いたモチーフ云々ではなく、描き込まれた点と線が重要なのかと感じます。
絵は見る人によって印象が異なると思いますが、個人的には躍動する人あるいは猛る男の姿に見えます。



絵を拡大して見てみると、ランダムな区画に無数の線や塗りつぶされた部分が見てとれます。
それは細胞のようでもあり、都市の鳥観図のようでもあり。



「点と線」にはカラーの作品も見られます。
森田さんは、やまなみ工房で内職を中心とした班に属しておられるといい、創作活動に取り組む時間は2日。
そのうち半分は絵画の時間と決められており、残りの時間は刺繍作品を創られているのだという。

刺繍に使う素材は、他の創作に使われて余ってしまった残り糸や糸くずを使って刺繍をされているそうです。
一見、顔のように見えるこの絵の元は、刺繍作品のイメージを絵で描いたようにも感じてしまいます。





森田さんの描かれる人と思われるものの姿は、独特の構図をしているがどの姿にも躍動感が感じられます。
躍動する異形の人の中には緻密な線が描かれ、黒く塗りつぶされた部分が個性を際立させています。



最も印象深かった絵は、下の「点と線」でした。
黒バックに白の線で描かれ、所々に薄紫色で描かれた部分があります。
もはや何が描かれているのすら想像できないようなモチーフですが、密な陰影が美しいと思います。



動物をモチーフにしたらしい作品が何点か集められています。
象やトナカイや水牛のように見えますが、そうではなく「点と線」だと本人は言われるそうなのが何やら面白い。



人のようなものを描いた作品は、どれも異形の姿。
であるにも関わらず、独特の構図の絵は躍動感に満ちている。
ただ、その外郭がどうあれ、描きたいと思われるのは中の点と線なのかもしれませんね。



「やまなみ工房」が自己紹介している文章が添えられていましたので、“やまなみ工房が大切にしていること”を抜粋でご紹介します。

あるがままの自分が認められ一人一人の思いや価値観が大切にされる事。
お互いの信頼関係を大切に、一人一人の思いやペースに沿って、
伸びやかに、個性豊かに自分らしく生きる事を目的に
様々な表現活動に取り組んでいます。

最後の一行を自分を取り巻く世界に置き換えることがもし出来たとすれば、それは素晴らしい事だと思いませんか。



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