超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

ファイナルな出来事

2016-11-09 22:30:26 | 出来事
前回のタイトルは「オクト・オーバー150」にすべきだった。最後の追い込みには翌日とともに多少の話題があったのだが、字数が多すぎたので2分割したのだ。このため時間軸には多少の重なりがあるがスルーしてほしい。話は妻が代理RUNしてくれるというので、骨休めに近所の川に釣りに出かけるところに戻る。天気は良かったので上州屋に行って、アオイソメ「オレンジゴールド」といういかにも釣れそうな気のするゴージャスなエサと「ボウズ逃れ」という「(このネーミングやめてほしい)」という仕掛けを買い込んだ。だいぶ陽が傾きかけていたが、夕間詰め時はよく魚が釣れるという。3本針のボウズ逃れにゴールドイソメを付けてちょいと投げるといきなり15cmくらいのハゼが食ってきた。暇つぶしのつもりだったが、中々幸先のよいことだった。

その後10分ごとにポツポツ釣れていたが、30分ほどたって「ガツンっ」というアタリと共にすごい引きで竿が大きくしなりこんだのである。「ちょっ、ちょっ・・・こりゃー、もしかして。。。」エサを川底に完全に沈めない仕掛けだったからちょっと嫌な予感がしたのだが、この重さはどう考えても・・・25cmくらいのセイゴ(小さいスズキ)は何度も釣れたことがあるから、「スズキ」であることを期待したのだが、残念ながら最初の予感通り大きな「ボラ」だった。。。食えないわけではないが、この辺のボラは泥臭く釣り人には嫌われ者である。周辺の見物客に見られると「あーあ」と驚嘆と憐みの混じった溜息をつかれるてしまう。片手で持てないほど丸々太っている60cmくらいあるボラでナマズのような大きな口がかなりグロテスクだった。ハリを外すのに暴れて一苦労したが、仕掛けごと巻きついていたのをようやく外したらドボンと川に落ちてしまった。2,3回水面から飛び跳ねたと思ったら,、すぐそこに白い腹を見せてひっくり返り漂流状態になってしまった。「まずいな。陸上で長く暴れたから力尽きちゃったのかな」心配してのぞいているとしばらくして、復活して川底の方に泳いで姿を消して行った。

5匹ほどハゼが釣れたところで、だいぶ薄暗くなってきたがそろそろ走っているはずの妻の姿はまだ見えない。「もう1匹釣れれば一人2匹ずつおかずになるな」だんだん糸とハリが見えにくくなってきたのを堪えて竿を出していたら、びびっとあまり大きくないアタリがきた。「よしっ」すばやく合わせてリールで道糸を巻きあげると黒い姿をした魚が水面から上がってきた。「これで6匹目と・・・って、うわぁっ」魚を掴んでハリを外そうとした私は慌てて手を引っ込めた。黒っぽい魚はハゼに見えたのだが「ゴンズイ」だったのである。この魚は背中に毒のあるトゲがあり、刺されると猛烈に痛む海辺ではかなり危険な魚である。仕方なく魚に触らないように口のすぐそばでハリスを切って逃がしてやった。(ハリがついたままで可哀そうだったが)「晩御飯のおかずにもう1匹釣れねえかな」もうかなり暗くなっても粘っていると、たて続けに2、3回アタリがきたのだが、今度はどれもフグだった。

上の方から自転車のおじさんが声をかけてきた。「ハゼですか?釣れてますか?」「うーん、5匹ばかりですねえ」「そりゃ、すごい!ボクさっきまで向こうの河口近くで釣ってたんですが、フグばっかだったんですよ」「その群れ、こっちに来てるかもしれませんよ。急にフグのオンパレードになっちゃいまして、帰ろうかと思ってたところなんです」もう手元でエサを付けられなくなるくらい暗くなってからようやく妻がやってきた。走り切ってから交代に来るように言ったのに、これから海辺を江ノ島まで走ると言う。確かに行って帰ってくれば距離にして約5km、私は「やれやれ、あと30分ほど続けるか・・・」と竿と道具を3メートルほどの高さのある護岸壁から引き揚げ、街頭の灯りのある道路側から仕掛けを投げ入れた。何度かエサを新しく付け替えて投げ入れたが、しばらくはピクリとも反応がしなくなってしまった。「この川はホント、色んな魚が釣れるなあ」完全に日が落ちた後、この川沿いのコースは予想外にジョギングランナーが多いことに気が付いた。皆、走りながらハゼの泳いでいる私のバケツをのぞいていく。

そろそろ妻が走り出して30分過ぎるので、ストレッチを始めていると久々に竿先が「びびびーっ」としなっている。慌ててアワせてリールを巻き始めると結構重いしさっきのボラとも違う引きである。「(夜だから今度こそセイゴかな)」と思って慎重に巻き上げると、一度は見たことのある「長—い生き物」だった。「うっそぉ、マジか?!」大きさも太さも前とほぼ同じ、まさしく「ウナ吉2世」である。置き竿にしていたからハリを飲み込んでしまい、引き上げるときに護岸のコンクリの角にぶつけたのかヌルヌルの身体が血にまみれてしまっていた。それでもすごい勢いで暴れ、手からもスルスルと滑り抜け、「わわわーっ」と悪戦苦闘しているところに妻が帰ってきた。「それ、もしかしてウナギ?」「うん、ハリ飲み込んじゃったんだけど、飼えるかな」「ダメだよ、また出てきちゃったら大変でしょ?」初代ウナ吉が水槽の網をすり抜けて外で干乾びた世にも哀れな姿を見た妻は即座に却下した。「ハリ飲んじゃったから長く生きられないかなー。持って帰って食べるか」そのままバトンタッチして走り始めるつもりだったのだが、バケツに魚を入れたまま家まで歩いて一旦帰ることにした。

      

「大丈夫かい?ウナギなんか捌けるのか?」妻はアナゴを下したことがあるので大丈夫だそうで、キッチンの片づけ準備があるから、取りあえず走ってこいと言う。「玄関の洗面器にいるからな」私は取り敢えず腰に巻いたスマホのアプリを起動して走り始めたのだった。「それにしてもオレンジゴールド(アオイソメの一種)恐るべし!こんなに多彩に釣れるとは!?」トドメがウナ吉2世だったが、一方で何やら気がかりでしょうがなかった。確かウナギを捌く時は千枚通しのようなモノで「ドンっ」と頭をまな板に刺し貫いて固定し、真横に「ばばばーっ」と開くのをテレビ番組で見たことがある。我が家にそんなものは無いし、暴れて怪我でもされたら大変だ。午前中10km走っているので身体はかなりガタガタだったのだが、走っているうちにだんだん心配になってきてスピードが上がり、ゴールした時はこれまでの最速記録となっていた。玄関を開けてキッチンに行くと、今まさに魚を下そうとしている時だった。どの魚もまだ元気に泳いでおり「動き回って魚の頭、落としにくいのよね」と言うからまずハゼの頭を全部落としてやった。ウナギは手で持てないので、キッチンはさみでそーっと頭に近づき、「バチンっ」と刃を入れたら頭が半分落ちて動かなくなった。安心してゆっくり風呂に入って、酎ハイ缶を片手にリビングに座ると、ちょうどハゼの天ぷらとウナギのシロ焼が出てくるところだった。だいぶ小さくなってしまっているが、見事にウナギのシロ焼に見える。ウナギの生命力というのは大したもので、頭を落とした後も身体はずーっとグネグネと巻きついて暴れ回り、背開きにして骨を取ってしまってもまだ動いていたという。しかしウナギを捌いて焼くとは妻の腕も大したものだと思う。

      

「おーっ、こりゃまさしくウナギじゃねえか」未明まで遊んでおり、半日近く昼寝していた甘辛も感心していた。無事オクトーバーランは目標を大きく上回る150kmをクリア、クーポンを3枚GETした。「走り過ぎて疲れたが、これで精をつけろというオチか・・・」翌日のオクトーバーファイナルデーは言わずと知れた「ハロウィーン」、土日からして街中はおどろおどろしいメークをした若者が巷に溢れかえっている。私は杜の都で若手の発表会を聴く予定だったが、前述のように懇親会では「何か用意せよ」と言っておいた。乾杯してしばらく歓談するといそいそと若手がハロウィンコスを取り出し、歌や踊りでおおいに場を盛り上げてくれた。おっさんばかりで「どうしたもんじゃろ?」と思っていたが、誰にでも変身願望というのはあるのだろうか、コスプレというのは心躍るものだ。気が付いたら一番大がかりなコスをむしり取って大騒ぎしている自分がいた。オクトーバーのファイナルを飾るお化け(真ん中は何のコスだったけかな)3人衆となったのである。

    


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2 コメント

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Unknown (小夏)
2016-11-12 10:19:28
スゴイッ「ウナ吉2世」
「心配になりゴールした時はこれまでの最速記録となっていた」って、これもアオイソメ「オレンジゴールド」がもたらした効果!?
クーポン3枚GETのみならず、天然鰻の白焼きなんて~~(昨今、養殖鰻でさえ高騰に眼を見張ります)まさにプライスレス、素晴らしい~
こんなに綺麗に調理されて、、本当に、奥様のやる気と腕には恐れ入ります。

ギャハハハー、「一番大がかりなコスをむしり取って大騒ぎしている自分がいた」ってこれは、、、遂にそちらのゾーン入り(天然鰻の効能、恐るべし)
一度一線越えやってしまうと「来年は」って思われませんでしょうか?ぐふふ、進化版楽しみです^^

「皆、走りながらハゼの泳いでいる私のバケツをのぞいていく」にへぇ~。いつも師匠がやっていらっしゃるの、やられているんですね、これ納得、面白いですね^^

師匠と奥さまの充実の秋に乾杯っ
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Unknown (磯辺太郎)
2016-11-12 12:09:18
小夏さま

まさにサイズもウナ吉に行き写し!すごいでしょ?
釣りあげた時にものすごく暴れたので、台所で包丁を持ったところでやられたら危ないだろうと本気で心配しました。
こんなのが釣れるなんでオレンジゴールド効果ですね。(これからは手放せませんね)
ホントのこと言うと、ウナ吉2世として飼いたかったんです。ちょっと弱っていましたが、すごい生命力!頭を落としてもまだ巻き付いたというのに、よく調理したものだと感心します。超小ぶりですが、天然鰻の白焼きと聞くと何となくゴージャスですね。

当然、コスプレ魂は天然鰻の効果でしょう。ずーっとハイテンションでした。むろん、来年の31日はオフィスの食堂を借り切ってコスプレパーティするよう指示しておきましたよ。一度入ると抜けられない世界です。

ふふふ。釣り人にとって、釣った魚をのぞかれる快感ってあるのですよ。
おかげさまで充実したオクト・オーバーなひと月でした。乾杯ありがとうございます。
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