再び妻と「芝居」なるものを見に行った。前回「しばいのチカラ」編で紹介して以来だから、4か月ぶりくらいとなる。前回は初心者の私にとっては中々難しいテーマを扱ったものだったが、今回はいわゆる「エンターティメント」に近いものだ。某有名人気グループのメンバが主役となり、若手の俳優やベテラン勢など個性豊かな面々が取り囲んでいる。舞台俳優とされる人はあまり存じ上げないのだが、何と最新の「ウルトラマンX」の防衛チームの橘副隊長が僧玄奘として登場する、つまりは「西遊記」である。公演は19回予定されていて、我々は最後から2番目だった。ものすごい人気で中々チケットが取れないらしく、妻は19回の公演全てにエントリーして1回だけ当たったという。公演は代々木公園の中の特設劇場で行われる。
学生時代はよく足を運んだ渋谷駅だがやたらに再開発されており、東急線で地下に入ってしまうとどこに何があるのかさっぱり分からない。109を横目に山手線沿いに歩くと坂の上にNHKホールが見えてきた。その横が代々木公園のようである。紅白歌合戦のNHKホールだが、ものすごく前に一度だけ訪れたことがある。日比谷公園の近くに勤務していた頃だ。若手のU田クンが先輩のO内さんにNHKホールの場所を訪ねていた。「よくNHKは渋谷区神南秘書箱何とか号とかいうから、渋谷から歩けるんじゃない?」O内さんもかなり怪しい。。。「君らは情けねえなあ。NHKホールの場所も知らんのか?」「磯辺さんは行ったことあるんですか?」「当たり前だろ」「オーケストラか何かですか?」「いや、堺正章とコロッケショーだけど・・・」隣りで聞いていたKギ女史がイスから笑い転げた。。。(どこに笑うところがあるのか、未だに分からぬ)
さて劇場の入口まで歩くと、年齢層はそれなりに広いが圧倒的に女性が多いことが分かる。記念グッズなどを一通り物色し、エントランスを入って行くと前回よりもたくさんの観客が詰め込んでいた。特設なので、シートなどは若干安っぽいものだが、ウルトラマンステージのようちゃちな舞台ではなく、本格セットでかなりの奥行をもっていた。座ったシートは何と最前列ど真ん中!今まで色んなステージやコンサート会場に足を運んだが、最前列というのは生まれて初めてだ。ライブビューや映画と異なり、生身の役者がそれこそ手を伸ばせば触れる距離で演じるというのはすごいことなんだろう。正月に甘辛と行ったウルトラマンステージは前から4列目だったが、横にせり出した細い舞台の真横だったので、ウルトラ戦士と怪獣がドタンバタン戦う時の振動や埃などもやってきた。(下手すりゃ怪獣の尻尾にも触れるくらいだった)
開演時刻となり劇場内が真っ暗になって、独特のBGMが孫悟空が生まれるところから物語が始まった。「西遊記」と言えば我々の世代は堺正章さん演じる孫悟空に岸辺シローさん、西田敏行さん、そして惜しくも亡くなった女優夏目雅子さんの三蔵法師だったが、残念ながら私はこちらの方はほとんど見ていなかった。どちらかというとドリフの人形劇の方ばかり見ていた。三蔵法師一行は4名なので、確かカトちゃんは酔っ払いハゲで出ていたと思う。シーンが切り替わるところでピンクレディーのちょい歌があったり、時の首相の人形が出てきたり中々社会を風刺したものだと思うが、やはりドリフものはPTAから目の敵にされていた。また正月の「新春かくし芸大会」ではドリフが中国語で西遊記を演じていたように思う。私よりも息子甘辛が「西遊記」が大好きだった。香取信吾さんが孫悟空でうっちゃん、チビノリダーが共演、三蔵法師は深津絵里さんだったが、子供たちの間でものすごい人気があった。小学生だった甘辛は「西遊記」にハマり込み、これがきかっけで「封神演義」などの中国の物語を読みまくり、今や私よりもはるかに詳しくなっている。
さて、ど真ん中最前列で見るGOKUは圧巻という他なかったが、初めての経験で戸惑うことが少なくなかった。役者と目が合ってしまいやりどころに困るのである。特に橘副隊長(月船さららさん)の僧玄奘が「聞いてくれますか?」と悟空に悲しい身の上話を始めた時、うつむき加減にじーっと私の目を見つめるのである。役者が観客の目を見て演じるというのは聞いたことがあるが、どちらかというとまんべんなくアピールするんだと思っていた。しかし舞台の真ん中からじーっと見下ろされると「全く逃げ場がない」のである。思わず「オ、オレ?」と自分を指差してしまいそうになった。。。しばらく凍り付いてしまったが、休憩時間になって呪縛が解けたように周囲を見渡すと、最前列の男子は私一人だったのである。ちょっとドタバタしていたが、歌踊りあり、アクションあり、アドリブ満点の笑いあり・・・でも最後は泣かせるニクい演出だった。一人ひとりの役者の顔が紅潮していったり、ホントに涙を流したり。。。
話自体は西遊記のストーリーに比較的沿ったものだったが、迫力の最前列の余韻にひたって劇場を後にした。渋谷周辺など滅多なことで来ないので、食事は我が街周辺にはあまり見られないところにしようと「肉バル」というジャンルの店に入ってみることにした。美味しい肉を食べながらお酒を飲めるという趣向の店で、若者で賑わうエリアから反対側(五島プラネタリウムがあった方?)だから結構静かで雰囲気のよい店だった。自分で選んだ肉の部位やレバーペーストなどをつまみながら、舞台について語り合うのも一興だ。
「なんかさ、副隊長(私はついそう呼んでしまう)が、じーっとオレの目を見つめてるような気がしてビビったよ」隣に座っていた妻に言わせると、間違いなく私を見つめていたという。「一列目で男性はあなただけだったからねえ」やっぱりそうか・・・・
舞台は開演して1時間で1回休憩が入り、後半もほぼ1時間、あの動きで1日2回も公演するのは大変な体力だと思うが、正直チケットも安くはない。パンフレットも高級感溢れていたが、1冊は映画を見る代金とほぼ同じ・・・しかしファンというのはすごいもので、抱えきれないほどのグッズを買い込んでいる人が結構いた。甘辛が家を空けがちになり、親とあまり行動を共にしなくなる今年、数少ない共通の趣味として数回くらいは行ってみようと思う。何となくそう考えていたら、翌晩不可思議な夢を見た。渋谷駅から少し歩くと目の前に実家が現れたのである。(これはたぶん久々に周辺を歩いた影響だろう)実家は私が幼い時のスタイルで座敷の縁側が昔のように少し広いものだった。その縁側に亡き父がせっせと手作りで椅子やらテーブルやら舞台のセットのようなものを大工仕事で作っているのである。(これまた芝居の影響か?!)
正月以来墓参りに行っていないので、そろそろ「掃除しにこい」という意味だろうか?
学生時代はよく足を運んだ渋谷駅だがやたらに再開発されており、東急線で地下に入ってしまうとどこに何があるのかさっぱり分からない。109を横目に山手線沿いに歩くと坂の上にNHKホールが見えてきた。その横が代々木公園のようである。紅白歌合戦のNHKホールだが、ものすごく前に一度だけ訪れたことがある。日比谷公園の近くに勤務していた頃だ。若手のU田クンが先輩のO内さんにNHKホールの場所を訪ねていた。「よくNHKは渋谷区神南秘書箱何とか号とかいうから、渋谷から歩けるんじゃない?」O内さんもかなり怪しい。。。「君らは情けねえなあ。NHKホールの場所も知らんのか?」「磯辺さんは行ったことあるんですか?」「当たり前だろ」「オーケストラか何かですか?」「いや、堺正章とコロッケショーだけど・・・」隣りで聞いていたKギ女史がイスから笑い転げた。。。(どこに笑うところがあるのか、未だに分からぬ)
さて劇場の入口まで歩くと、年齢層はそれなりに広いが圧倒的に女性が多いことが分かる。記念グッズなどを一通り物色し、エントランスを入って行くと前回よりもたくさんの観客が詰め込んでいた。特設なので、シートなどは若干安っぽいものだが、ウルトラマンステージのようちゃちな舞台ではなく、本格セットでかなりの奥行をもっていた。座ったシートは何と最前列ど真ん中!今まで色んなステージやコンサート会場に足を運んだが、最前列というのは生まれて初めてだ。ライブビューや映画と異なり、生身の役者がそれこそ手を伸ばせば触れる距離で演じるというのはすごいことなんだろう。正月に甘辛と行ったウルトラマンステージは前から4列目だったが、横にせり出した細い舞台の真横だったので、ウルトラ戦士と怪獣がドタンバタン戦う時の振動や埃などもやってきた。(下手すりゃ怪獣の尻尾にも触れるくらいだった)
開演時刻となり劇場内が真っ暗になって、独特のBGMが孫悟空が生まれるところから物語が始まった。「西遊記」と言えば我々の世代は堺正章さん演じる孫悟空に岸辺シローさん、西田敏行さん、そして惜しくも亡くなった女優夏目雅子さんの三蔵法師だったが、残念ながら私はこちらの方はほとんど見ていなかった。どちらかというとドリフの人形劇の方ばかり見ていた。三蔵法師一行は4名なので、確かカトちゃんは酔っ払いハゲで出ていたと思う。シーンが切り替わるところでピンクレディーのちょい歌があったり、時の首相の人形が出てきたり中々社会を風刺したものだと思うが、やはりドリフものはPTAから目の敵にされていた。また正月の「新春かくし芸大会」ではドリフが中国語で西遊記を演じていたように思う。私よりも息子甘辛が「西遊記」が大好きだった。香取信吾さんが孫悟空でうっちゃん、チビノリダーが共演、三蔵法師は深津絵里さんだったが、子供たちの間でものすごい人気があった。小学生だった甘辛は「西遊記」にハマり込み、これがきかっけで「封神演義」などの中国の物語を読みまくり、今や私よりもはるかに詳しくなっている。
さて、ど真ん中最前列で見るGOKUは圧巻という他なかったが、初めての経験で戸惑うことが少なくなかった。役者と目が合ってしまいやりどころに困るのである。特に橘副隊長(月船さららさん)の僧玄奘が「聞いてくれますか?」と悟空に悲しい身の上話を始めた時、うつむき加減にじーっと私の目を見つめるのである。役者が観客の目を見て演じるというのは聞いたことがあるが、どちらかというとまんべんなくアピールするんだと思っていた。しかし舞台の真ん中からじーっと見下ろされると「全く逃げ場がない」のである。思わず「オ、オレ?」と自分を指差してしまいそうになった。。。しばらく凍り付いてしまったが、休憩時間になって呪縛が解けたように周囲を見渡すと、最前列の男子は私一人だったのである。ちょっとドタバタしていたが、歌踊りあり、アクションあり、アドリブ満点の笑いあり・・・でも最後は泣かせるニクい演出だった。一人ひとりの役者の顔が紅潮していったり、ホントに涙を流したり。。。
話自体は西遊記のストーリーに比較的沿ったものだったが、迫力の最前列の余韻にひたって劇場を後にした。渋谷周辺など滅多なことで来ないので、食事は我が街周辺にはあまり見られないところにしようと「肉バル」というジャンルの店に入ってみることにした。美味しい肉を食べながらお酒を飲めるという趣向の店で、若者で賑わうエリアから反対側(五島プラネタリウムがあった方?)だから結構静かで雰囲気のよい店だった。自分で選んだ肉の部位やレバーペーストなどをつまみながら、舞台について語り合うのも一興だ。
「なんかさ、副隊長(私はついそう呼んでしまう)が、じーっとオレの目を見つめてるような気がしてビビったよ」隣に座っていた妻に言わせると、間違いなく私を見つめていたという。「一列目で男性はあなただけだったからねえ」やっぱりそうか・・・・
舞台は開演して1時間で1回休憩が入り、後半もほぼ1時間、あの動きで1日2回も公演するのは大変な体力だと思うが、正直チケットも安くはない。パンフレットも高級感溢れていたが、1冊は映画を見る代金とほぼ同じ・・・しかしファンというのはすごいもので、抱えきれないほどのグッズを買い込んでいる人が結構いた。甘辛が家を空けがちになり、親とあまり行動を共にしなくなる今年、数少ない共通の趣味として数回くらいは行ってみようと思う。何となくそう考えていたら、翌晩不可思議な夢を見た。渋谷駅から少し歩くと目の前に実家が現れたのである。(これはたぶん久々に周辺を歩いた影響だろう)実家は私が幼い時のスタイルで座敷の縁側が昔のように少し広いものだった。その縁側に亡き父がせっせと手作りで椅子やらテーブルやら舞台のセットのようなものを大工仕事で作っているのである。(これまた芝居の影響か?!)
正月以来墓参りに行っていないので、そろそろ「掃除しにこい」という意味だろうか?