超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

GW釣り事情

2015-05-13 19:53:31 | ホビー
GWはほぼ全て天候に恵まれ、お出かけ日和だったが、我が家の過ごし方は編成以来ほとんど変わっていない。大きなお出かけをするでもなく、散歩またはサイクリングで江ノ島辺りをうろつくくらいである。午後ともなると連日、海岸線は江ノ島入口から我が家の前をはるかに自動車の列が西につながってしまう。息子甘辛が小学生くらいの時はお友達家族と一緒に磯遊びなどを楽しんだものだが、もう子供がそういう年齢ではなくなってしまった。GW前半最初に甘辛は部活最後のインター杯予選があって、ゲームキャプテンに少し前に亡くなった元コーチへの喪章、背番号10をつけてクジ運が悪いとしか言えない強敵相手に、これまでにない見事なプレーをしたそうだが、残念ながらPK戦で負けてしまったようだ。(私は現住所で初の「町内会打合せ」で見に行けなかった)会場校の手伝いとちょっとしたトレーニングを終えると後半はオフになったようだが、我々と行動は共にせず今春晴れて大学生となった兄のようなSちゃんと「中野」に繰り出していった。。。

課題研究のパーツを買いに「秋葉原」なら何度か足を運んでいたが、「中野」とはまたコアなワールドに踏み込んだものだ。彼らが向かったのは恐らく「中野ブロードウェイ」、研究所勤務時代に通り道だったから、何度か訪れたことがあるが秋葉原をはるかに超える「ディープ」な回廊である。「しょこたん」の店をはじめ(これ聞いただけでもマニアックだろう)、ミニカー、トレカ、コスプレ、掘出し物、古コミックなど何でもありで、有名な「まんだらけ」と名の付く店舗が20もあるから驚きである。以前に窃盗犯に対し「盗んだ鉄人28号を返さなければ防犯カメラの顔写真を公開する」とネット上で宣告し世間を沸かせた店舗もこのうちの一つである。むろん違法といえる品や著しくいかがわしいものはないが、映画「輪廻」に出てきそうな人形や、いかにも胡散臭い縁起物、意味不明なアイテムなどがずらりと並び、秋葉原と「深さ」で例えると田沢湖とバイカル湖くらいの違いがある。「すげえところだったー!」と半ば呆れていたが、無事この世界に戻ってきたようだ。

さて例年のように特に遠出する予定もないので「江ノ島でも行くか」と話していたが、珍しく妻が「釣りでもしようか」と言い出した。島内を歩き回るだけで1日十分に遊べるのだが、あまりに人混みがすごそうで気が進まないらしい。弁当とビールを持って、湘南港の広い岸壁でのんびり釣り糸を垂らす風景を目に浮かべたらしい。普段あまり「釣り」に関して理解を示さない妻を引き込むいいチャンスである。私は前半の休日、波が無いのであまり混雑していないサーフビレッジを早目に引き上げ、チャリで江ノ島周辺の「偵察」に走った。陽気やシチュエーションもよいが、「釣り」に興味を持たせるためには後で語れる「成功体験」が必要だからである。海岸のサイクリングロードを走り新江ノ島水族館を越して片瀬新港へ。港湾入口の先端は「釣りゾーン」になっていて、ファミリーフィッシングで賑わっている。足元の底釣りでギンポやメバルも交じっていたが、投げ釣りが主流のこのエリアでは「ヒイラギ」しか釣れていない。「富士山に向かって投げる」絶好のポジションだが、釣果とはほど遠いのがこのエリアである。

弁天橋歩道は人で溢れているので、チャリを車道に持って行って東側奥の本命、湘南港灯台まで走らせた。思ったよりも人が少なく、午後だというのにこれから道具を持ってきても十分に釣り座を広げる余裕があるようだ。家族連れやカップル、常連などが入り混じっているが、どこも大して釣れていない。ちょっと目を引いたのがアオリイカ1杯、カワハギ1枚くらいで他は細いクチボソのような小さな魚が数匹バケツに入っているくらいだった。実はこの魚、「稚鮎」でこの時期に捕獲は禁じられているのである。南側の海面から高い方の釣りゾーンに行ってみると、海一面に薄く赤い広がりが・・・・なるほど赤潮で魚がイマイチいなくなってしまったのか?!磯場は数人の地元フィッシャーがいたようだが、足場が水を被っていて釣果は確認できず。戻って一応オリンピック公園側も偵察したが、ここは釣れているのを見たことがない。公園で芝生もベンチもあり、片瀬東浜海岸に浮かぶウインドサーフィンや小型ヨットなどを眺めて寛ぐには良い場所なのだが、やはり釣果には縁の薄い場所なのである。

残るは西側の岩場である。ここは仲良しのSちゃん一家とも何回かご一緒したことがあるところで、磯遊びもできるから釣果がいまいちでも楽しめる。手前の江のスパ階段から潮の関係で行けなかったから、弁財天仲見世通りを途中まで上ってから岩場に出るのだが、行く人帰る人で埋め尽くされており、「とびっちょ」前で一歩も進めなくなってしい、まさかの「引き返し」。。。自家用車が渋滞で進まないのなら分かるが、人の列が動かないとは・・・!?行楽日にあまり来たことがないから知らなかったが、なるほど妻が本島内にあまり行きたがらなかったのも理解できた。小一時間ほど偵察を行って再びサイクリングロードを走りながら、何やらふと思いついた。これって偵察そのものが立派な「行楽」なのではなかろうか?!ゆっくり景色を楽しんだり(いかにも見飽きているが)、飲んだり食べたり、買い物や名所巡りをしていないだけで、歩いているところはまさしく観光地である。「どこが具合がよいか?」混雑する他の本気観光の人たちに交じって「下見」をするというのもいかにも贅沢のようで、単なる地元のようでもあり、何だか妙な気分である。(そのまま遊んできた方がよかった気がする)

「江ノ島周辺は赤潮が出ていて、ダメらしいよ。どこもほとんど釣れてなかった」「そう言えば、そんな季節だものね」私は諦めずに茅ヶ崎港から出船するとある釣り船のサイトを眺めていた。昨年も今頃に妻とファミリーフィッシング船に乗ったことを思い出したのである。ゴールデンウィークはスポーツ紙の協賛もあり、「感謝デー」として女性や子供でも手軽に楽しめるイベントがある。私はいつか乗ったことがある「ハーフフキス船」に目を付け、後半のどれかコンディショニングのよい日に二人で乗り込むことにした。数はそこそこ釣れるだろうし、天ぷらにすればかなりの美味だから準備時間を考え、午前ハーフ船を申し込むことにしていた。そのことを一緒にスカッシュしたつぶやきさん一家にお話しし、試しに誘ってみたところ、何と家族お揃いで釣したいと言うのである。小学4年生のMお嬢ちゃんはむろん、釣りデビューである。
 
    

4人で30匹釣れたら、料理するだけでも結構大変だ。我が家の会場準備のために、妻は今回留守番ということになった。都内から電車で来られる一家のために、予約は午後ハーフ船に変更して辻堂駅まで赤いライオン号で迎えに行った。ただ残念なことに天気予報でよさそうな日を選んだつもりなのだが、あいにくその日は強風で時化ている時だったのだ。船長が「洋上はキツいかも・・・」と言われながらも、Mちゃんはパパにエサを付けてもらって果敢に仕掛けを放り込み、始めの30分・・・誰にもピクリとも当たりが来ない中、見事にトップバッターとして1匹目を釣り上げ船内を緊張させた。。。実は同じ船縁で釣れているのは見えたのだが、風と揺れに苦戦するあまり隣のパパが釣り上げたものだと思っていた。デビュー戦の彼女が記念すべき1匹目をゲットしたのなら、もっと拍手大喝采してあげればよかったと後悔し次に釣れたら大騒ぎしようと思っていた。

しかしその後、船は烏帽子岩周辺を何か所か周遊するも、ほとんど魚の姿は拝めなかった。私の隣のオヤジが良型のキスを1匹にイワシ1匹、反対側のつぶやきさんも良型1匹、しんさんはピンギスにイワシ1匹という惨状である。大体においてスタートは良くない私なのだが、後半に入って何とゼロ!3000円も払って「坊主」なんてありなのか?!「30匹釣れたら揚げるのは大変だぜ」と舐めたことを口にしたことを後悔した。風はますます強くなり、前方の父子連れはお子さんが早々とリタイア、お父さんは突然周辺全域の釣り船にも聞こえる大音量で胃腸内容物を大海に撒いていた。Mちゃんは途中少しお休みしたようだが、後半戦になっても絡まったり、引っ掛かったりして苦戦しながらも粘り強く仕掛けを投入し続けていた。このコンディションで子供なら嫌になってしまうのに、いい根性をしていて偉いと思った。反対の船縁の状況は分からなかったが、ほぼこちらと同様散々な釣果だろう。「(こりゃー、今日は潔くボウズだな。オレはそれでいいから、Mちゃんにもう1匹だけでも釣れてくれないかな。船中で大歓声上げてあげたいものだ)」

帰港時間も迫り、何となく天に祈っていたら自分の竿先に微妙なアタリがあった。「んっ?」揺れと風で分からないくらい小さな反応だったが、その日2回目の感触(1回目はバラしてしまった)に、「ついっ」とアワせるとぐわーっと竿先が重くなり、巻き上げるごとに竿がしなって重量が増してきた。うっかり掛かり具合を感じるために止めてすっぽ抜けるといけないので、ずーっとカワハギ釣りのようにずーっとそろそろ巻き上げ続けた。「(大きな藻でもひっかけたかな?今日はしょうがねえや・・・)」と苦笑していたら、水面に赤い大きな魚影が現れた。となりのオヤジが「おおーっ、すげえ!」と叫んだ赤い魚は大きな「ホウボウ」だったのである。確かに釣果情報では「メゴチ、ホウボウ混じる」と書いてあったが、本命ゼロで「混じり」1匹とは・・・天は我を見放さなかった。Mちゃんは「綺麗な魚だねえ」と興味深々のようだった。結局後にも先にもこの個性的な顔をした魚が1匹だけ!うねりが強くなってきたので少し早く帰港することとなった。釣果は散々だったが、諦めかけた最後に大物が1匹来たので記念写真を撮っておいたのだ。



「帰りに魚屋でも寄ってく?」「いや、今日はいっそのこと魚からは遠ざかって焼肉にしよう。そうだよ、元々焼肉パーティやる予定だったことにしようぜ」まったくお寒い会話だが、仲間がいると結果がよくなくとも色んな冗談を交わすことができ、楽しいものだ。Mちゃんだけでももう少し釣れてほしかったが、まあトップバッターの栄誉ということでまんざらではないようだし・・・しんさんは2匹釣ったので「オレが竿頭だ」と言い張っているし・・・焼肉をつつきながら、最悪コンディションでもあきらめずに粘り強く釣り続けたMちゃんを褒め称え妻が揚げたキスの天ぷらとイワシ刺身のおこぼれ、グロテスクな割にはねっとりした絶妙の甘い香りのホウボウを口にして次回リベンジを誓う我々だった。