超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

遠ざかるクリスマス

2012-12-26 22:13:02 | 食べ物
クリスマスというのは結構特別なイベントだと意識したのは中高生ぐらいの時だろうか?好きな女子などを意識し始め十分気になっていたのだが、その頃は部活やら受験やら他に忙しいことがたくさんあり、「それどころではない」(今となっては何とも勿体無い?!)時もあった。学生の頃だったろうか、「トヨタカップ(当時)をテレビで見たいので25日にしないか?」と尋ねて猛然と抗議されたときに「どうも24日とは大事な日らしい」と薄々気付いた始末である。遊び全盛の時にはグループでスキー場で「ホワイトクリスマス」、その後(今はあまり走りたくない)高速をすっ飛ばしてTDLスターライト、最後は湾岸からベイブリッジという「盆と正月がいっぺんに来た」グランドメニューなどもあった。

学生の時に一度だけ数人の悪友と共に、ちょっとしたきっかけ(合コンだったかな)で家の近所に住まわれる「音大」の女子にお呼ばれしたことがある。音大のお嬢様などお近づきになったことも無かったし、ホームパーティなど呼ばれたこともなかったので、皆わけのわからない(今ならスーツかな)スタイルをしていた。広〜いリビングにはグランドピアノがあり、すごいことにリクエストするとちゃんと弾いて下さるのである(音大だから当たり前か?!)ただリクエストするにも「おニャンコクラブ」というわけにもいかぬので、別にそんな「お高く染まった」人たちではなかったが気を使う必要があった。私がリクエストしたのはベートーベンのピアノソナタ23番「熱情」である。当時青年なら誰もがハマっていた「リングにかけろ」でジェットアッパーの河井武士のセリフ「ベートーベンの「熱情」という曲がある。高嶺くん・・・キミにピッタリの曲だよ」からパクった。少年ジャンプの漫画も時には役に立つものだ。

シャンパングラス片手にソファに腰掛け、悠々とグランドピアノの演奏を聴く。。。私が経験した中で最も「ブリリアントな」クリスマスだった。薄暗いリビングにはキャンドルが灯り、6人ほどのメンバーで優雅に過ごしていた。(曲自体は初めて聞くものだったので、さっぱり分からなかったが・・・)
テーブルには誰かがクリスマスアイテムとして持ち込んだ小さなキャンドルの袋があった。それは胡桃を割った半球形の平面にろうそくの芯があるもので、グラスに浮かべて雰囲気を楽しむものだった。私はふとそれに火を点け自分のシャンパングラスに浮かべてみた。なんという素晴らしい世界か!しばし私はこの世界に酔い痴れてしまった。そして何気なくそのままシャンパンを口に持って行き、鼻の頭を「炙って」転げまわることになるのである。。。いや、何となく分かっていたのだが、手が自然に動いてしまった。

大人数や4人のダブル、2人のときや実家で寂しくとか、数え切れないクリスマス(と言っても数十回)過ごしてきた。結婚してもしばらくは恋人ムードがあったような気がする。また息子が生まれ、小さい時はプレゼントにはしゃぐ子供と部屋を飾りケーキを作ったり・・・息子が「仮面ライダーアギト」のベルトを巻いて走り回っていた頃は懐かしい。いわゆる「おもちゃ」からハム太郎、オセロファミリーゲームセブン、モノポリー、そしてサッカーチェスなどとボードゲームを経て、いよいよ子供を狂わす「任天堂ゲームソフト」の世界へと突入して行った。
またその頃になると彼も高学年になってサンタの実在を自分なりに解釈するようになった。「サンタは家に来るわけではない。煙突もないし、鍵をかかっている家には入れない。父ちゃんが事前にプレゼントをサンタから受け取り、当日まで隠してるんだろ?」自身では分かったような分からないような論理展開だった。そのうちに学校でこれまでの事実だけは聞いてきて・・・・やがてプレゼントに欲しいモノは「ゲームソフト」としか言わなくなった。きりがないくらい欲しいゲームがあったらしく、数年先までもらう予定をたてていたようだ。
我が家ではまだ「サンタは実在」することになっている。前も書いたが「実在することを証明できていない」だけで、「実在しないことは」ほぼ証明不可能だからである。

どの家庭でも必ず1台はあると思われるプレイステーション、Wii、そしてDSなどに発展したが、高額なので本体は何かと合わせ技でプレゼントすることになっていた。いつの間にかプレゼントについて我々と交渉するようになったようだ。ただしゲームソフト類はあまりにはまり過ぎて目に余るひどさだったので、一度購入停止にしてある。そのせいか、ここ数年は特にクリスマスに○○が欲しいとは言わなくなってきた。何が欲しいと聞いても「別にねえなー・・・・ツケといてよ」と言われると親としては逆に寂しいものだ。
ところが今年あたりから新しい局面を迎えるようになった。「お洒落」を気にしだしたのである。元々体型はすらりとした妻に似ているようなので割と何を着ても似合うようなのだが、これまでサッカーに行くときのトレーニング仕様でしかなかったのが、色々と違うものを好んで着るようになった。

私自身はファッションなどにあまり興味は無かったのだが、妻の方が我が子に着せるお洒落着を選ぶのにその気になってしまい、クリスマスイブの日は昨年駅前にできた巨大商業モールに出かけることとなった。私はサーフィンや磯釣りなどでは2,3時間浮かびっぱなし、岩場に立ちっ放しでも全然平気なのに、何故か私はショッピングで歩き回ると地球上のウルトラマンのように急激に体力が消耗し(3分とは言わないが)すぐにめげてしまう。。。最初はいつものように「●ニクロでいいだろ?湘風キッチンで親子丼セット食って速く帰ろうぜー」とつぶやいていたのだが、自分のことだとどうでもよいのに、他人が着るものを選ぶ時は不思議と似合うかどうかを想像したりして興味が沸き、目当てとしたジーンズを色々物色することになった。
「G●Pにはいいのがねえなあ。入り口の●ARAはどうだ?あの先にある『サンダーバード』(実はTimberland)という店はどうかな?」ついに店全体が暗がりの●ZULとかいう怪しい店にまで足を踏み込んだ。。。

「こんな細いのはけるのか?普通サッカーやってたら、ああはならんのだがなー」結構足も長いようだし、息子には似合うと妻は思っているようだ。店員は「ストレッチが入っていますが、かなりパツパツになってしまうかも・・・」と遠慮がちに私を眺めてつぶやいた。(オレがはくんじゃねえ!!)
「息子へのプレゼントなんですけど」妻は平気で色々と店員に聞き始めた。何店か往復してちょっと大人っぽいがカッコいい(私にはたぶんホントにはけない)ジーンズを購入し、さらにTシャツを合わせてプレゼント袋に詰めてもらった。
「さて今晩は何にするかなー。クリスマスらしくチキンでも焼くか?『世界の料理ショー』にもメニューあったよな」再び白衣を身に着ける姿を想像したが、「何か久々に『焼肉食いてえ』って言ってたよ。『さかい』でいいんじゃない?」妻は私の「世界のクッキング」に興味はないらしい・・・しかし焼肉なんてクリスマスから最も遠いじゃないか。。。

受験生だというのにまだサッカーの試合などに行っている息子甘辛が帰ってくるまで運動でもするかと、スケートボードを取り出して川沿いを走り出した。海岸まで行くと江ノ島の新灯台が見事にライトアップされている。シー・キャンドルとはよく言ったものだ。(何かクラゲに見えるんだが・・・)何せクリスマス・イブだから、周辺は恋人たちでえらい盛り上がっていることだろう。最近はLEDが主流だからか、街中のイルミネーションが素晴らしく豪華絢爛だ。どこへ行ってもエレクトリカルパレードみたいな光の渦が満ち溢れている。背中にしょっているリュックに超兵器203号を入れておいたので、暗いモノを撮る方法がよくわからず悪戦苦闘の末とりあえずクラゲのような姿は収められた。色んなHPなどで素晴らしく美しいイルミが紹介されているので、今更ショボ写真を入れてもという気がするがここは場所柄だけ買ってもらい一応載せておこう。

甘辛が帰ってきたので、そのままスケボーで134号の焼肉屋「さかい」へ。ファミリー客で混んでいるかと思ったらガラガラ・・・・やはり焼肉はクリスマスからはずいぶん遠いのか、女性店員は皆サンタの帽子をかぶっていたが、一抹の寂しさを感じてしまった。。。「今年最後の試合でカッコよく得点を決めた」と元気よく帰ってきた息子は、まったくクリスマスカラーを見せずに「あんまり高いモンばっか頼むな!」という親の心配を尻目に大盛り丼飯をがっついた。私は私で290円のホルモンと鳥ナン骨をつつきながらハイボールをガブ飲みし、帰りに家族でシーキャンドルでも行ってみようと思っていたのをすっかり忘れ、スケボーは危ないので帰りは甘辛の自転車と交換してもらい、今晩が何の日かもほぼ忘れて上機嫌で帰宅した。帰ると冷蔵庫に前晩の残りのスパークリングワインがあったので、何人かの人からもらったメッセージやらアップされているイルミネーションをFBで眺めていた。。。。

息子へのクリスマスプレゼントがアパレルとなり、妻とあれこれ想像しながら選ぶという新しい局面になった。この年頃は「自分で選ぶから金だけくれ」という少年も多いようだから、まだ少しは楽しみがあるというものだ。しかし私のイブの1日というと、早朝に母を連れて竜泉寺に行き、朝御飯は帰りに「すき家」で「3種のきのこ牛丼」、昼はテラスモールのフードコートで「そばカツ丼セット」、夕方スケボーで海岸を乗り回し、晩御飯は「さかい」で焼肉・・・これのどこがクリスマスなのか?!年々クリスマスが遠ざかっていくような気がするが、こういう時に外国在住のお友達のサイトなどを見ると羨ましくなるものだ。来年はブリリアントなクリスマスがやってこないものか・・・