超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

試験の落とし穴

2012-12-21 22:49:52 | 出来事
年月を経てこれまでサボっていたことの反動からか、私はこの職場に来て意外にも学習欲が旺盛になった。単身生活では飲む機会や運動する時間を除いても通勤がほとんどない分有り余るほど時間がある。色んなことに手を出したが、我ながら感心なことに「勉学」にこの時間をたくさんあてたのである。この職場になって仕事に直接関連する社内資格や情報系の公的資格を受験しまくった。普段、あんまり使わないから何かにかこつけて勉強でもしないと頭が錆びつくのと、以前も書いたが「試験」というものの独特な雰囲気と久しぶりに足を運ぶ「キャンパス」というものが新鮮だったからだ。ありがたいことに公的資格の中には企業が取得を推進し受験費用や「奨励金」なるお小遣いももらえるものもあるから、私には打ってつけだ。実はこのお小遣いでスケートボードを買った。

試験といっても別に落ちると困るものでもないが、あんまりハードに勉強しなければならないのも困る。ここ数年で一番手ごわかったのは「エコ検定」だった。(まあ、そんなレベルの趣味の世界である)。1ヶ月くらいのコース(それ以上は覚えていられない)で、「これをひたすら勉強すればOK」というシンプルな内容、かつすっかり「記述すること」から離れているのでマークシート方式であること、もちろんせっかくやるなら仕事に役立つ分野ということで、「超兵器R1号」の実験場のように慎重に選定したのが、「情報セキュリティ分野」である。最初に糸口を教えてくれたのは退職して行った八兵衛である。彼は「個人情報保護士」という資格を持っていて、「これね、公式テキストだけやってればバッチリですよ。しかも奨励金付き!おいしいでしょ?」なるほど、我が社は情報漏洩など決して起こしてはいけない会社と言われるので推進してるのね。

ちなみに法令その他、関連知識などで類型化すると個人情報関連が2つ、情報セキュリティ関連が3つある。微妙に学習分野は違うのだが、ダブる部分もたくさんあり、どれも似たようなテキストが出ているようだ。(実施団体も同じようなのだ)介護保険士や何とか書士のようにこれを持っておれば、職業としても立派に通用するモノでもないが、社内でも公的資格取得は強く推奨して社員の啓発に努めているからここは自分も率先して先遣隊になろうと、申し込むことにした。今はインターネットで受験を申し込むことができるから実に簡単である。一番面倒なのは「これを受けるから奨励してねー」と会社に申請・承認を得るところだ。何せ「おこずかい」に絡むところだから、いい加減にはできない。(ってそのための取得でもあるし)

「個人情報は慎重に取り扱われるべきである」なーんて、当たり前じゃないか・・・常識で考えれば何とかいけるだろうと考えていたらやはりそう甘くはなかった。結構厚めのテキストだったが、大半は「個人情報保護法」という法律の理解で、周辺の関連法令や省庁ガイドラインなど結構多岐にわたり、完全にメモリ領域をオーバーフローしてしまった。事業に関係する法規は頭に一応入っているが、それ以外の法律の条文など読んだこともないし・・・何しろあの独特な言い回しと「●条▲項2に定める事由ほにゃらら〜」なんて一々C言語のようにポインティングしてリンク読みしなければならないのが、気が遠くなるほど煩わしい。。。
法令そのものの他に個人情報保護法制定の背景やグローバルな動向、企業不祥事の状況や関連するJIS規格など手当たり次第に詰め込み、当日はたぶん容量オーバーとなった耳や鼻の穴から漏れ出る法律用語を撒き散らしながら会場に向かった。

「『磯辺さんなら楽勝ですよ』と周囲に言い放ってしまった八兵衛の手前、不覚をとるのはどうにもカッコ悪い」中学生の時にクラスの女子に「ここ分からないんだけど、ちょっと教えてくれない?」と言われた快感を原動力にひたすら難問をマスターしようとした数学のノリで夜な夜な単身マンションで勉強し、合格率40%の検定に見事パス、ぎりぎり面目を果たした。使用率100%で加熱気味だったCPUを冷やすために少し療養時間をおいていたら、2ヶ月くらいして忘れた頃に「おこずかい」が振り込まれていた。
こっ、これはおいしいぞ。。。!八兵衛の言う通り、勉強して錆付いた脳が活性化し、仕事に役立つしなんと「おこずかい」ももらえる。私の学習意欲(ちょっと目が$になっているが)奨励対象になっている残り4つの公的資格を全て1年間で取得してしまうことにした。

次なるは情報セキュリティ系の初級認定である。個人情報の他に一般的に企業で扱う情報全般についてその取扱、安全管理措置、関連法令などもうちょっと広い分野になるが、法律の条文丸々覚えのようなところはあまりない。会場は文化・伝統、そして近寄りがたい聖域のようなものにも見える「上智大学」で、初めて足を運んだ私は色々キャンパスをうろつき回り、このサイトでも紹介した。河合塾の模擬試験とかち合い、ついでに受けちゃおうかとも思ったところだ。かのお洒落なキャンパスの食堂には必ず「ガレット」があるに違いない。次に受験に来る時はもっと念入りに偵察し記念グッズでも買ってこようと思っていたが、残念ながらその後の試験会場は全て横浜にある「八州学園大学」という通信制中心の建物になってしまい、キャンパスと呼べるものがなくなってしまった。。。ちなみにこの検定は周囲の若手管理職群にも「受けるべし!」と触書を出し、めいめい勉強していた結果さすがに若くて優秀なヤツが多く全員難なく合格した。

1ヵ月後、私も合格を確認すると同じ分野の今度は「管理士」なる資格受験を申し込んだ。初級を受けたら中級、上級と続きそうだが、不思議なことに異なる名称となってしまう。事情通に聞くと、上に2級とか1級とかあったのだが、内容刷新、統合されて「管理士」になってしまったようだ。やはり内容としては広く濃くなっていて、中々に手強いものがあったが、たまたま初級を勉強していた古いテキストが上位の試験準備も兼ねた高度なものだった(全然知らずにやっていた)ので、ほぼ同じことをおさらいするだけで事足り、なおかつ同じ協会が管轄しているので試験問題の出し方に一定のパターンがあるので結構慣れてきたものだが、注意しなければならないのは4つある分野の各々で70%以上正答しなければならず、これが災いして八兵衛なども1度不合格になってしまいめげたそうだ。合格率は30%台というが、触書を出した手前自分だけ落ちることは許されず、また先の「勘違い」で元々この試験用の勉強を一通り済ませてしまった私も無事合格した。

ここまで来るとノッてくるものである。一番手強いとされる企業情報全般を管理するための試験に乗り込むことにした。数々の法令や省庁のガイドライン、最近のグローバル動向に加え、IT技術やシステム管理などまで分野が及び、これまでよたよた蓄積してきた知識を総動員してもかなり不足するほどのテキストで、「こりゃー調子に乗りすぎたな」と大汗をかいていた。これまではクラスに何人かは必ずいるテスト前になると「やべえ、全然テスト勉やってねえや。」と頭を抱えながらちゃっかり高得点をとるヤなヤツ(因みに私はダメという時はホントにダメだった)のように、内心ベロを出しながら試験に臨んでいたのだが、そうはいかなかった。しかし夏休みに入り仕事も余裕があって何をやるにも時間が有り余っていたのが幸いし、夜に早朝に机に向かい続けた結果、こちらは合計で80%以上ということもあり、見事通過!しかし地球に帰還したヤマトのようにかなりボロボロになっていたので、しばらく休養期間をとることにした。

デビューしてから負けなしの4連勝、五冠馬を狙って最後に残ったのはたまたま日程が12月しかなかった個人情報系検定だが、これは八兵衛に教えてもらった個人情報保護士よりも簡易なもので、試験も同時開催されるものだった。最初に受験してから約1年以上たっているが、どの試験にも登場している内容でさすがに頭に染み付いていたので、正直楽勝のはずだった。昔の専用テキストも残っていて、一通り読み終えると大体詰め込んだ記憶が戻ってきた。経験上「こういう時って、なめてかかると思わぬ落とし穴があるんだよなー」と油断なく準備は進めていた。有終の美を飾り一連の資格検定にピリオドを打つためである。

試験会場はいつもの八州学園大学、これまでは春から夏にかけての日程が多かったので、終了と同時に脱兎のごとく帰宅し海へドボンだったのだが、12月半ばにもなるともうシーズンも終わりなので、試験が終わったら久しぶりに横浜駅東口周辺を歩き回ることにした。(実は先週日曜日が試験日だったのだが、悔しいくらいに暖かく海に入りたくなるような陽気だった。)
さて、試験はというと同じ教室で八兵衛の「個人情報保護士」の試験が同時進行で行われることになっていた。あちらは試験時間が120分で問題は100問、こちらは90分の50問で完全に初心者向け・・・既に難しい方を取得している私がつまずくはずがない。昼御飯、待ち合わせた妻とどこで何を食べるかばかり考えていた。
「始め」の合図から問題用紙を開き余裕を持ってスタートしたが、3問目くらいで「むっ?」と鉛筆が止まってしまった。なるほど、これが落とし穴か・・・・?!
「政府による●●法案は2012年11月の衆議院解散によって廃案となった・・・」

実は私が使っていたテキストは八兵衛が使っていた?3年くらい前のものだったのだ。最近の「時事問題」はからっきしダメ・・・(新聞読んでんのかよ?!)しっかし、試験問題などかなり前に作成されると思っていたが、先月の話題が入っているとは驚きだ。八兵衛のテキストにはないリアルタイムな問題は合計5問くらい、消去法で4つの選択肢は二つに絞れるから正答率は50%、つまり3つくらい取りこぼすことは覚悟しなければならない。10個までは間違えてもOKだけど、盲点だったなー。
それでも90分で50問の問題は時間半分も費やさないうちにマークシートの最後の列に差し掛かった。41問目・・・問題数が多い試験(今回は少ないが)マークシートの塗りつぶしでつい「段ずれ1個飛ばし」をする時がある、TOEICなどは時間との戦いなので途中でこれを起こすとかなり致命的だから、時々「番号が合っていること」をチェックする習慣がついている。(それくらいできなきゃねー。だてに4連勝してないぜ・・・)
全部終わって時計を見たら40分経過、余裕を持って見直しを始めた。一度答えた問題50個くらい直後なら何となく覚えているので、さーっと流し読みし後で答え合わせできるように問題文に○をつけていく。 問題冊子はくれるので後から答え合わせできるようにである。

半分くらいまで進んで、「んっ?」と再び鉛筆が止まった。見たこともない問題が現れたのである。おかしいな、問題をすっ飛ばすことなど滅多にないのに、いかにも解いた覚えがない。。。しかし問題を一つ飛ばせば段ズレをおこして設問番号が合わなくなるはずだ。しかし最後の50問目までぴたりと番号は合っていた。いったい何が起きたのだろう?しかし「問題文ずれ」してしまっているから、その後の回答はすべてNGである。残りの25問分のマークを全部消すか?と躊躇していたが、突然電撃のように閃いた。もしかして「問題文ずれ」と「マーク段ずれ」を併発してるのではないか?どこかで1個飛ばしマークしてしまうと「上手い具合」に帳尻があって元に戻り最後は設問番号が合致することになる。もしそうだとすればマークずれ以降は正しいマークとなり消してしまうとすごいロスになってしまう。
さすがにこれはまずい。。。。一刻も早くそのマークずれを検出すべく、問題文とマークをもう一度チェックしながら解く破目になった。
35問目くらいにようやくマークの段ズレを発見、消しゴムだらけになったマークシートをきれいにしてその後の見直しを行い全部終わったのが終了5分前・・・やはりなめてかかると思わぬ落とし穴があるものだ。
もしかして今までで一番やばいかもしれないが、取りあえず無事に終わったので妻との待ち合わせ場所に向かった。そごうの「ハーメス」で修理を依頼していたHマークのネックレスを受け取り、初めて「ベイ・クォーター」というエリアに足を運んだ。ここで「グリル&オイスターバー」という店に入り、「牡蠣尽くし」メニューを注文し、まったり暖かい冬の昼時を過ごすのである。