従業員50人未満の企業でも、産業医を委嘱しましょう。
〇 ただし、50人未満の企業・事業場は努力義務(安衛法第13条の2)ですから、下記の法定の業務をすべて委嘱する必要はありません。
安衛則第14条(産業医及び産業歯科医の職務等)
安衛法第13条第1項の厚生労働省令で定める事項は、次に掲げる事項で医学に関する専門的知識を必要とするものとする。
一 健康診断の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
二 法第六十六条の八第一項、第六十六条の八の二第一項及び第六十六条の八の四第一項に規定する
面接指導並びに法第六十六条の九に規定する必要な措置の実施並びにこれらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
三 法第六十六条の十第一項に規定する心理的な負担の程度を把握するための検査の実施
並びに同条第三項に規定する面接指導の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
四 作業環境の維持管理に関すること。
五 作業の管理に関すること。
六 前各号に掲げるもののほか、労働者の健康管理に関すること。
七 健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。
八 衛生教育に関すること。
九 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること。
〇多くの従業員50人未満の事業場・企業では、産業医を選任する資金力がありません。
しかし、50人未満の事業場の場合は努力義務ですから、
安衛則第14条に規定されたすべての職務を依頼する必要はないはずです。
従って、必要とする職務、例えば、健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること(安衛則第14条の7)のみに
することもできますし、ストレスチェックの実施結果の精査と、要面接者との面接・指導というように限定することも可能ですから、
安価で効果の最大化を目指すこともできるはずです。
〇参考までに、少々古くなりますが、最も報酬額が高いと推測できる東京地区での情報です。これを参考にして、妥当と考える委嘱金額を決めてください。
公益社団法人日本橋医師会 産業医報酬基準額の調査結果
〇次善策として、保健師を採用する方策もあります。
産業医報酬に比べ安価にすみます。
できれば産業保健師を採用できればよいでしょう。
努力義務を怠ると、無用のトラブルに見舞われます。
なお、現在、具体的に「産業保健師」という国家資格はありません。
企業という組織を理解し、そこで発生する問題点に対処した経験のある保健師を、一般的に「産業保健師」と呼びます。
参照;日本産業保健師会
〇「人事労務管理上のポイント」シリーズは、いったん終了します。
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