中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

パワハラ自殺訴訟、認定根拠は手帳

2014年12月04日 | 情報
同じようなことをアップしたばかりの出来事です。
今回は、パワハラが原因ですが、加害者の発言が詳細に記録されていたようです。
因みに、加害者の発言を、正確、詳細に記録し、かつそれが証拠として採用されるのは、とても難しいことなのです。
しかも既に労災認定されている事案です。被告会社側は、なぜ争ったのでしょうか?
結果として、社名が大きく新聞報道されてしまいました。しかも敗訴です。

新人社員自殺は「パワハラ」 福井地裁判決、未成年者で初認定  
2014/11/29 日経

福井市の消火器販売会社「暁産業」に入社後、1年もたたずに男性(当時19)が自殺したのは、
上司のパワーハラスメントが原因だとして、男性の父親が会社と当時の上司に計約1億1千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、
福井地裁は28日、「上司が人格否定を繰り返した」とし、計約7200万円の支払いを命じた。 
原告代理人によると、未成年へのパワハラ訴訟で自殺との因果関係が認定されるのは全国初。
原告代理人は「社会経験も十分でない新入社員を指導する上司のパワハラを認定した意義は大きい」と判決を評価した。 
判決理由で樋口英明裁判官は「人格を否定する言動を繰り返し、精神障害を発症させた」と指摘。
「発言は指導の域を超えており、典型的なパワハラだ」と断じた。原告代理人は裁判所が、
上司による「うそを平気でつく」「死ねばいい」などの具体的な発言を列挙したことに触れ
「今後、同様の発言があればパワハラに当たるという指標になるのでは」と話した。
男性の父親は「当然の結果だと思います」とのコメントを出した。
暁産業は「担当者不在でコメントできない」としている。
男性は自身の手帳に上司の発言を記録しており、2012年7月、福井労働基準監督署が自殺の原因はパワハラと労災認定していた。
判決によると、男性は高校卒業後の10年4月、正社員として入社。仕事の失敗が多いことを理由に、
上司から「会社をやめろ」などの言動を繰り返し受けたことで鬱状態となり、同12月に自宅で首をつり自殺した。

パワハラ自殺訴訟、認定根拠は手帳 上司の数々の発言書き記す
2014年11月29日 福井新聞

消火器販売などの「暁産業」(福井県福井市)に勤めていた男性社員=当時(19)=が自殺したのは
上司の暴言によるパワーハラスメント(パワハラ)が原因として、男性の父親が会社と当時の上司2人に対し、
慰謝料など約1億1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決言い渡しが28日、福井地裁であった。
樋口英明裁判官は「典型的なパワハラ」として、同社と直属の上司に対し約7200万円の支払いを命じた。管理職の上司に対する請求は棄却した。
原告側代理人によると、自殺の原因をパワハラと訴えた訴訟は県内で例はなく、未成年に対する認定は「全国でもおそらく初めて」としている。
樋口裁判官は判決理由で、男性がメモに残した直属の上司の暴言について「仕事上のミスに対する叱責(しっせき)の域を超え、
男性の人格を否定、威迫するもの」と認定。さらに自殺した本人の過失はない、として賠償額の過失相殺をしなかった。
会社についても、直属の上司に対する管理責任を認めた。管理職の上司については「パワハラの実態を把握するのは困難」として
責任は問えないとした。
判決文などによると、男性は2010年4月に正社員として入社。直属の上司から「死んでしまえばいい」「辞めればいい」などと
言葉によるパワハラを受け、同年12月に自殺した。福井労基署は12年7月、男性は上司からのパワハラが原因で自殺したとして労災認定した。
男性の父親は「当然の結果だと思っている。この判決を受け、社長はどう責任を取るのか」とコメントを寄せた。
同社は「担当者不在のためコメントできない」とし、被告代理人は「パワハラはなかったと確信しており、控訴する」とした。
■手帳に記された上司発言が根拠に
「学ぶ気持ちはあるのか、いつまで新人気分」「毎日同じことを言う身にもなれ」「今日使った無駄な時間を返してくれ」
「いつまでも甘甘、学生気分はさっさと捨てろ」(原文まま)―。
判決の「典型的なパワハラ」の根拠となったのは、自殺した男性が手帳に記した、上司の発言23カ所だった。
この手帳には、上司の指導の一環で、注意を受けたことなどが書き記されていたという。
判決で、数々の言葉は高卒新入社員の男性への心理的負荷は「極めて強度である」と認めた。
原告代理人は「言葉を具体的に取り上げた認定は珍しい。今後、同様の発言をすればパワハラになるという指標になるのではないか」と話した。
全国では、昨年6月の仙台地裁判決、今月の東京地裁判決で自殺原因が、会社や上司のパワハラと認定されている。
原告代理人は「パワハラをしたら個人も責任を負う時代にきている」とした。
男性の父親は「会社の代表者や当事者はまったく謝りません。判決は当然の結果。
謝らないなら許さない」とコメントを発表、会社への怒りや憤り、息子を亡くした悲しみの言葉が並んだ。
コメントは「息子が亡くなってすぐに会社は求人募集をしておりました。
福井は全国でも住みよいところ、といわれております。より良い故郷になるよう願ってなりません」と締められていた。

(参考)最近の報道より(続編)
2014年11月11日
長時間労働⇒うつ病の発症⇒自殺、最悪の典型的なパターンです。
長時間労働が問題であることを、経営サイドはなぜ意識しないのでしょうか?
「うちの社員に限ってとか、わが社は大丈夫とか」と思っているのでしょうか。
それとも労災認定されるだけの証拠を集められないだろうと、高をくくっていたのでしょうか。
いじめ・ハラスメントは関係者が口をつぐめば証拠集めは困難になりますが、
長時間労働を証明する手立ては、会社側が隠しても、実は以下の記事のようにいろいろとあるのです。
さて、労災が認められれば、次は民亊損害賠償責任を会社側は問われることになります。
会社の規模によって情状を酌量されますが、過去の判例では、最高1億6800万円の判決が出ています。
会社側には、せめて、リスク管理はしっかりと対応していただきたいものです。
(以下、省略)

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