中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

心地よい眠りを得るための新常識5選

2023年08月01日 | 情報
繰り返しますが、精神疾患の入り口は、眠れない、とコミュニケーション不足です。

心地よい眠りを得るための新常識5選 ノーベル賞候補の睡眠研究者が解説 
NHK  2023年5月24日

成人の5人に1人が睡眠の悩みを抱えているという日本。平均睡眠時間は6時間18分と先進国で最低レベルの“寝不足大国”です。一体どうすれば快適な眠りを得ることができるのか。今回お話をうかがったのは睡眠研究の世界的権威、筑波大学教授の柳沢正史さん。柳沢さんはオレキシンという神経伝達物質を発見し、睡眠を制御する仕組みの解明に貢献、その成果を元に世界中で不眠症の治療薬の開発が進められました。ノーベル賞候補の呼び声も高い柳沢さんに、快眠のためのノウハウを教えてもらいました。

快眠を得るための5つの新常識

大切なのは寝室だけでなくリビングの明るさ 
必要な睡眠時間には個人差がありますが、さまざまな研究や調査を総合すると、平均で7時間前後です。さらに重要なのは睡眠の質。質の良い睡眠をとるためには、まず寝室の環境を整えることです。➀部屋を暗くすること ②静かな環境にすること ③温度湿度を快適に保つこと、この3つがとても重要です。中でも日本人の生活様式でポイントになるのは「部屋の明るさ」。日本の家は明る過ぎるんです。

これは寝室だけじゃなくて特にリビング・ダイニングに言える話です。海外のホテルに泊まると「照明が暗いな。」と感じる人は多いと思いますが、実はあれくらいがちょうどいいんです。催眠作用のあるメラトニンというホルモンは光の刺激が弱まると脳内で分泌される量が増えます。寝室を真っ暗にしても、その前にいる環境で明るすぎるとメラトニンの分泌が進まず、なかなか眠たくならない、ということになってしまいます。

眠くもないのにベッドに入るな

睡眠衛生の基本的な話ですが、寝室やベッドには眠くなってからいくものです。眠くもないのに「はい、この時間になったから寝なきゃいけない」と無理にベッドに行っても眠れないし、「寝なくちゃ・・・」というプレッシャーで逆に不眠になったりします。

眠れない場合は、無理に寝ようとせず1度ベッドから出て、眠気が来るまで待ってから横になるのがベターです。大切なのは「◎時間寝なきゃ」という気持ちではなく、自然に眠くなって自然に起きる習慣。それでも日中、眠気に襲われたり眠れないせいで体調が悪い場合は医療機関を受診するのも大切な選択肢だと思います。

―私はベッドから出るとスマホを見てしまうのですが、これは良くないでしょうか!?

私も見ちゃいます(笑)どうしてもスマホを見てしまう場合は、SNS等インタラクティブだったり、ショート動画を続けてみると脳が活性化してしまうので、どうせ見るなら映画など長時間で一方的なコンテンツが良いと思います。あとは「これをすると眠くなる」という自分なりのルーティーンを見つけられれば最高ですね。人によって違うので、何がよいか一概に言うことはできないですが、静かな音楽を聴いていると眠くなるという人もいます。ただ、睡眠中も脳は動いているので音楽をかけ続けると眠りが浅くなるなどの弊害があります。ですので、音楽の場合は途中でフェードアウトする設定にしておくことが大切です。私の場合は、つまらない論文を読んでいるとあっという間に眠くなるので(笑)それが私のルーティーンです。

昼寝は応急措置 ときに逆効果

ヒトは成人の場合、基本的に昼寝は不要で、夜の睡眠が不足している場合にのみ推奨されます。昼寝はあくまで応急措置で、夜しっかり眠ることが理想。特に高齢者では、昼間の活発な生活習慣をつけることが有用で、適度な運動を行い、昼寝をしないことも大切です。

現役世代の方で昼寝をする場合は14時ころまでにすること。そして20分間を少し過ぎた程度で切り上げることがポイントです。脳の疲労回復のためにはその程度で十分です。逆に20分を大きく超えてしまうと“深い”睡眠となってしまうため、脳が再び覚醒するのに時間がかかり、不快感が残ったりしてしまいます。

“寝過ぎてだるい”は勘違い 睡眠不足の証拠

「週末に寝過ぎちゃうから月曜日はいつもだるい」と言う人がいますが、そもそもヒトという生き物は「寝過ぎる」ことは出来ません。睡眠が足りていたら、それ以上眠ることは出来ず、必ず起きちゃいます。週末に昼まで寝られるということは、それまでの睡眠がいかに足りていなかったかの証拠です。

月曜日に体調が悪くなるのは、週末に昼まで眠っているせいで、睡眠中央時刻、これは就寝時刻と起床時刻のちょうど真ん中の時刻のことを言いますが、それが後ろにズレてしまい、それを月曜日に元に戻すことで、いわば時差ボケ状態になってしまうためです。これは「社会的時差ボケ」と呼ばれる状態です。

こうした「自覚なき睡眠不足」の方が日本ではとても多く危険です。繰り返しになりますが、成人に必要な睡眠時間は平均すると7時間前後で、それより少なくても大丈夫な人も確かにいます。しかし、多くの自称ショートスリーパーは、睡眠不足を自覚できていないだけです。そのまま生活を続けていくと、昼間の脳のパフォーマンスが低下して仕事に支障が出ますし、確実に健康も悪影響が出ます。

―どうすればいいでしょうか?

私はよく「とにかく1週間でいいから、毎日いつもより30分、もしくは1時間なり長く眠ってみて下さい」と話しています。それを実行した人からは「昼間の世界が変わった」「効率的に仕事が出来るようになった」と言われます。快活さを実感できれば、おのずと「自分の生活を見直そう」「1時間長く睡眠を確保しよう」というモチベーションが湧き、行動も変えられるのではと思います。

朝型・夜型は年齢によって変わる

今の世の中は朝型の人に有利にできています。早寝早起きを批判する人はいませんから。 でも生物学の側面からすると、どうしても朝が苦手な人、夜型の人はいるんです。そして実は朝型・夜型は個人の体質以外にも、年齢によって大きく変わることが研究で分かってきています。

ヒトは10歳前後までは平均すると朝型で、それを過ぎて思春期から20代、30代にかけては一気に夜型が進みます。それを過ぎると段々朝型に戻っていく。だからおじいちゃん、おばあちゃんになるとみんな早寝早起き。この変化の理由は社会的な要因ではないとされています。生物学的にヒトは、そういうものなんだとしか今は言えません。

―私は高校時代、授業中とても眠かったです。それはしかたなかったということですか?

あくまで平均値であって個人差もありますが、高校生が眠いといのは、睡眠研究の現場からすると、確かに「仕方ない」ということになります。米国ではコミュニティレベルで「Start School Later」運動、学校の始業時間を遅らせる取り組みが行われていて、生徒たちの学業成績が向上するなどの成果があがっています。

始業時間を変更することはすぐには難しいかも知れませんが、まずは校長先生・教育委員会をはじめ、教育行政を司るシニア世代が、若い人は平均的には夜型で、無理に朝早くに起きる生活を続ける場合、昼間眠いのは仕方ないことだと理解を示してあげることが必要です。

―自分が朝型か夜型かを知る方法はありますか?

国立精神・神経医療センターのHPなどで元の英語版を日本語に翻訳した「朝型・夜型質問紙」が公開されていて、19の簡単な質問に答えるだけで朝型か夜型かを推定することが可能です。気になる方は是非、活用してみて下さい。
朝型・夜型質問紙


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