中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

(参考)テレワーク実施率は17.2%と低調に推移

2022年11月02日 | 情報

第11回 働く人の意識調査 日本生産性本部 22.10.28

感染不安は薄れる傾向が続く、テレワーク実施率は17.2%と低調に推移

https://www.jpc-net.jp/research/detail/006105.html

【第11回「働く人の意識調査」主な特徴】(詳細や図表は別添「調査結果レポート」参照)

1.現況:景況感は「悪い」が引き続き7割超、感染不安は薄れる傾向(図2~6)

・現在の景気について、「悪い」「やや悪い」の合計は71.1%と前回7月調査に引き続き7割超え。原材料価格の高騰、急激な円安等が影を落としている(図2)。

・公共に対する信頼性について、政府(国)を「大いに信頼している」「まずまず信頼している」の合計は、2022年1月調査では33.1%と過去最大を記録したが、前回27.4%、今回26.5%と信頼性は低下。一方「全く信頼していない」は26.7%と、前回7月調査とほぼ同程度(図4)。

・2022年1月調査以降、感染への不安は薄れ、「かなり不安を感じている」の割合は前回の14.9%から13.8%へと減少し、過去最小(図5)。年代別に見ると、20代、60代、70代以上で不安を感じている者(「かなり不安を感じている」「やや不安を感じている」の合計)の割合が減少。「かなり不安を感じている」は、70代は8.3%、その他の年代で10%台となった(図6)。

2.勤め先への信頼感:業績・雇用への不安は改善続く、収入は「かなり不安」が微増(図12~15)

・勤め先の業績について、「不安を感じる」(「かなり不安を感じる」「どちらかと言えば不安を感じる」の計)は47.8%と、過去最小。前回7月調査に引き続き5割を下回った(図13)。

・今後の自身の雇用について、「不安を感じない」(「全く不安を感じない」「どちらかと言えば不安を感じない」の計)が53.1%にのぼり、5回連続して5割を上回った(図14)。雇用不安は第3回調査(2020年10月)で最多となって以来、改善傾向にある。

・今後の自身の収入について、「不安を感じる」(「かなり不安を感じる」「どちらかと言えば不安を感じる」の計)は61.6%と、前回7月調査の64.6%から減少した(図15)。前回までの過去3回と比べ、不安感は減少傾向にある一方、「かなり不安を感じる」に限ると微増が続く。

3.給与と勤め先の業績との連動:連動を「望む」「望まない」はほぼ二分(図19)

・勤め先の業績と自身の給与はどの程度連動すべきかについて、「給与は勤め先の業績にかかわらず、一定であるべきだ」と回答する雇用者が51.5%と、わずかに半数を上回った。ただし、「給与は勤め先の業績に合わせて、変化させるべきだ」と意見がほぼ二分している(図19)。

4.キャリア形成と人材育成:自己啓発の実施意向が低下し、Off-JTやOJTは横ばい(図20~33)

・「現在、兼業・副業を行っている」は9.2%と、前回調査から微減(図20)。「雇用不安を感じる」雇用者(「かなり不安を感じる」と「どちらかと言えば不安を感じる」の合計)の44.2%が将来的に兼業・副業を行ってみたいと回答しているのに対し、「雇用不安を感じない」雇用者(「どちらかと言えば不安を感じない」と「全く不安は感じない」の合計)は27.9%にとどまる(図21)。

・「仕事内容や勤務条件を優先し、同じ勤め先にはこだわらない働き方」(ジョブ型雇用)を希望する雇用者は66.0%で前回7月調査から微増(図22)。

・Off-JTの実施状況について、勤め先からの「案内により受講した」雇用者の割合は7.2%に微増。勤め先からOff-JTの「案内があった」割合は16.1%と2021年4月の調査開始以来最大(図23)。OJTを行う機会が「あった」割合は15.5%で、前回7月調査と同水準(図25)。

・自己啓発を「行っている」割合は14.1%に微減。「特に取り組む意向は無い」との回答の割合が59.3%と、2020年10月の調査以降、過去最大となった(図31)。

5.働き方の変化:テレワーク実施率は微増、年代による実施率の差はほぼ見られず(図34~44)

・テレワークの実施率は17.2%と、過去最低を記録した前回から1.0%増加(図35)。

・従業員規模別に見ると、いずれの従業員規模でもテレワーク実施率が微増したものの、テレワークを牽引してきた中・大企業の実施率は2022年4月調査以前よりも低く、テレワーク退潮の流れが反転したとまではいえない(図36)。

・年代別のテレワーク実施率は、20代は前回の12.0%から18.6 %に増加した一方で、30代の実施率は16.0%、40代以上は17.2%と、前回と大きな変化は見られなかった。年代による実施率の差はほとんど見られなくなった(図37)。

・テレワーカーの週当たり出勤日数は前回7月調査より微増。テレワーカーで週3日以上出勤する者は前回の50.5%から52.9%に微増(図38)。「5日以上」は前回20.2%から25.9%へと増加。

・自宅での勤務で「効率が上がった」「やや上がった」と回答した割合は60.8%で前回7月調査から減少(図39)。自宅での勤務に「満足している」「どちらかと言えば満足している」の合計は79.7%で前回7月調査から増加(図40)。

・テレワークの課題について、複数回答で聞いたところ、第1回調査から上位に挙がっていた「部屋、机、椅子、照明など物理的環境の整備」「Wi-Fiなど、通信環境の整備」などの自宅の環境整備に係る項目は、減少傾向だったが、今回はどちらも増加。また、「Web会議などのテレワーク用ツールの使い勝手改善」「押印の廃止や決裁手続きのデジタル化」「仕事のオン・オフを切り分けがしやすい制度や仕組み」も、減少傾向から反転。一方、「情報セキュリティ対策」「職場に行かないと閲覧できない資料・データのネット上での共有化」は減少(図41)。

6.まとめ

第 11 回調査は、過去最多の新規感染者数を記録した第 7 波後の初の調査となったが、全体を通して、第 7 波の影響と思われるような劇的な変化は見られなかった。ワクチン接種をはじめとした感染対策が広くいきわたったことや、行動制限の全面解除が継続されたこともあり、コロナ感染への不安感の急増や不要不急の外出の制限など、経済活動大きく妨げるような動きは発生しなかった。2 年以上続くコロナ禍の中で、雇用者の新型コロナウイルス感染症に対する考え方や意識が当初とは変化してきている。

雇用者に占めるテレワーク実施率は 17.2%と、過去最低の水準であった前回と大きな差はない。

加えて、コロナ禍収束後の未来におけるテレワーク普及の可能性についてはやや悲観的であり、雇用者がコロナ禍前の働き方に回帰するとの見通しを強めていることがわかる。一方で、テレワーカーにおいては自宅勤務の効率および満足度も高く、今後のテレワーク継続を希望する声が多い。働き方のオプションとして、是非とも継続的な活用をしていただきたい。

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