中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

過重労働⇒精神疾患⇒自殺⇒労災認定(続編)

2015年03月16日 | 情報
過重労働⇒精神疾患⇒自殺⇒労災認定、こんなことは言われるまでもなく分っています、という声が聞こえます。
それでは、対策は万全ですか、とお尋ねします。
これまでに、これでもかというくらいに、労災認定や裁判例を紹介してきました。

みなさんは、御社内での「過重労働」の実態は、十分に分っているはずです。
タイムカードなどの事実を確認すれば、誰でもわかるはずですから。
こういった「現象」をまず、事実として受け止めることが大切です。
しかし、往々にして見て見ぬふりをする場合があります。
このようなことが原因で、何かトラブルを惹起させるようなことがあれば、
経営者ばかりではなく、担当部門の管理職、当該労働者の上司のみなさんが過失責任を問われることになります。

勤務実態は、組織の管理職や、人事労務部門の管理職、担当者は、パソコンからアウトプットすれば直ぐに分ることです。
こうした就労管理は、容易くできることなのですが、こんな簡単なこともできないのでしょうか?
それとも、管理する仕組みを作っただけで、安心しているんでしょうか。
それでも、管理職に同情する面は確かにあります。
会社の論理に逆らうことはできない、やはり「自分がかわいい」ということなのでしょうか。

労働時間には、「質」的な面と、「量」的な面があります。
「量」的な面は、簡単に掌握することができるはずです。
もし、そうでないならば時間外労働に対する賃金を正しく支払っていないのではないか、
サービス残業が常態化しているのではないか、それとも従業員全員を「名ばかり管理職」として処遇しているのではないのか?
因みに、例え、「名ばかり管理職」でも就労時間は正確に管理しなくてはなりません。
一方で、「質」的な面は、外部からはなかなか分りません。しかし、直属の管理職は分っているはずです。
実態として、どうしても出来る部下に業務は集中する傾向があります。
課長、部長として、部門の目標を達成するには、それが最も手っ取り早いからです。
自らの出世、あるいは保身、のために部下を出世のための「踏み台」にしてはいけません。
何事にも限度があります。その限度をコントロールするのが管理職の役割でしょう。

「安全配慮義務」は、直属の上司、管理職が、正しく管理しているかどうかが基本です。
「過重労働⇒精神疾患⇒自殺⇒労災認定」というステップで、指弾されるのは「会社」だけではありません。
直属の上司・管理職も、「会社」とともに責任を問われます。
「上」を見て仕事をするのか、「下」を見て仕事をするのか、直属の上司、管理職の資質を覚悟が問われます。
「両方をみろ」ですか?なかなか難しい指摘ですね。
管理職のみなさん、よほどの覚悟が必要ですよ。

コメント
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