中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

治療は、医師の仕事

2014年07月25日 | 情報
多くの日本人は、仕事熱心です、一生懸命に取り組みます、そして仕事に必要な情報はまめに習得します。
日本人の特性のひとつで、通常は称賛されるものです。

一方で、これがデメリットとして働くことがあることも理解しましょう。
うつ病をはじめとする精神疾患に関わる業務に携わる、多くの人事労務部門、健康管理部門のみなさんが陥りやすい現象なので、
注意喚起の意味で以下に紹介します。

小生がお目にかかる多くの人事労務部門、健康管理部門のみなさんは、圧倒的に仕事熱心です、
高く強烈な問題意識も持ち合わせています。
ですから、医療・医学の分野にも高い関心を持っていますし、その結果豊富な知識も有していることは事実として認めます。
DSMⅣやICD10にも精通していますし、専門医や産業医のセミナーも熱心に聴講しています。
しかし、知識として、習得するのであれば問題はないのですが、専門医・主治医・産業医などの医学の分野に
深く介入することは、避けたほうが良いでしょう。いや、避けなければなりません。

治療は、主治医の専権事項でしょう。
いくら、主治医の診断書の診断名に疑義があっても、復職可の診断書を信用できなくとも。
また、事業所内においては、専任または嘱託の産業医が、医療の専門家として職務に携わっています。

一方で、人事労務部門、健康管理部門のみなさんには、主治医や産業医が関与できない、専門業務があります。
人事労務部門のみなさんには、労働法例や労務管理の実務に習熟していなければなりません。
健康管理部門のみなさんには、事業所に在籍する従業員一人一人の健康管理、
すなわち心身にわたる健康状態の維持管理に努めなければなりません。

うつ病をはじめとする精神疾患に関わる業務には、幅広い人たちが関与します。
精神科専門医、産業医、人事労務担当、看護師・保健師・臨床心理士などの健康管理スタッフ、
さらには、弁護士・社労士などの外部スタッフ、提携先のEAP等々です。
なぜなら、医学・法律・心理学・社会学など、多くの専門知識を総動員しなければ対応できない問題だからです。
しかし、現実は、精神科専門医、産業医は、医学の観点から、メンタルヘルス対策を考察しています。
弁護士・社労士などは、法律や社会学の観点から、メンタルヘルス対策を考察しています。
ですから、それぞれの専門分野における知識は十分なのでしょうが、「ついでに語る」他分野については、怪しい見解も散見されます。

結論です。人事労務部門、健康管理部門のみなさんは、専門家の専門分野の知識・見解を峻別して、
事業所のメンタルヘルス対策に反映していただくよう希望します。
なかなか、難しい問題です。
さらに、深い事象に関心がある場合は、橋本社会保険労務士事務所にお尋ねください。
s-hashi@ya2.so-net.ne.jpまで。
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