中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

安全衛生委員会の設置事業所とは

2014年07月15日 | 情報
昨日と関連するテーマです。
安衛法で、50人以上の事業所においては、衛生委員会の設置が義務付けられています(法18条)。
また、50人以上(100人以上)の事業所においては、業種によって、安全委員会の設置が義務付けられています(法17条)。

それでは、事業所とは何か?よく聞かれる質問です。

昭和47年9月18日発基第91号では、
「工場、鉱山、事務所、店舗のごとく、一定の場所において相関連する組織のもとに継続的に行われる作業の一体をいう。
従って、一の事業場であるか否かは主として場所的観念(同一の場所か離れた場所かということ)によって決定すべきであり、
同一の場所にあるものは原則として一の事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とする」
とされています。

また、昭和63年9月16日発基601号の2では、
「規模が著しく小さく、組織的関連、事務能力等を勘案して一の事業場という程度の独立性がないものについては、
直近上位の機構と一括して一の事業場として扱うものとすること」
とされています。

一方で、「同一の場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門がある場合には、
その部門を主たる部門と切り離して別個の事業場として捉えることによりこの法律(労働安全衛生法)がより適切に運用できる場合には、
その部門は別個の事業場としてとらえるもの」
とされています。

即ち、「場所的に分散しているものは原則として別個の事業所」として、取り扱います。
例えば、東京と大阪の場合は当然でしょうが、隣の町、さらには、数百メートル離れた事業場も原則、別個の事業所です。
また、同じ場所にあっても、独立した一つの事業所として扱うこともあります。
例えば、工場内にある診療所、食堂、自動車の販売会社に附属する整備工場、学校に附置された給食場等が該当します。

しかし「、一の事業場という程度の独立性がないものについては,直近上位の事業場と一括して扱うものとすること」、
つまり、このような場合には一つの事業所として良いことになります。
例えば、現場事務所のない建設現場、従業員がひとり、ふたりで、判断・指示できる従業員がいない出張所、支所等が該当します。

実務の話しです。
現在の労基署は、「場所的に分散しているものは原則として別個の事業場」として、指導しているようです。
ですから、この指導を逆用している企業もあるようです。しかし、詳細は当ブログに相応しくないので省略しますね。

一方で、面倒だ、簡単に処理したい、という思惑で、本来別個にしなければならない衛生委員会を、
二つの事業所で合同で実施しているようなことが、労基署に知られた場合は、
労基署の改善勧告が出て、修復に多くのエネルギーが必要になります。
最近の場合、突然に労基署の監督官が訪社された場合の第一声は、「衛生委員会は実施していますか」だそうです。
法令順守は、企業活動の基本の基本です。
コメント
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