中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

いつもと違ったら(続編)

2014年03月07日 | 情報
昨日のいつもと違ったら、の続編です。

「いつもと違い」様子・態度を注意深く観察すことが、早期発見・早期治療につながることを述べました。
ここで、大切なことは、「疾病性」には全く触れていないことに、気づいてください。

気が付いていただけましたか?
これなら、事例性に則って対応していることになります。疾病性には全く触れてはいませんよね。
ところが、上司や人事労務担当は、ある程度まで教育が行き届いていて、「にわか」知識がありますから、
どうしても、「これは、うつだ、いや、違う精神疾患かも」と疾病性に囚われてしまうことが、多々あります。

さらに、「どうも、ある種の精神疾患が疑われる、うつ病?そうではない?」と
迷っているうちに、事態はどんどん悪化する、悪化させてしまい、どうしたらよいのか分らないと、
自身の悩みを深めている、人事労務担当の方が散見されます。

中小企業、とりわけ50人未満の事業所では、産業医はもとより、保健師・看護師もいないのが当たり前ですから、
誰に、どこに、相談したらよいのかわからない。

上司・管理職、人事労務担当のみなさま、このような場合、まず、別室で当事者と面接してください。
そして、業務の現状、仕事の悩み、人間関係、なんでもよいですから会話を持ちましょう。
そうすると、当事者から、悩みや体調不良など、ヒントになるような会話が引き出せます。

うつ病等のり患者は、特長として「病識」がないか、極めて弱い、のです。
自分が精神疾患にり患している、り患しそうになっているという、自覚症状がありません。
このギャップを埋めることが、まず必要になります。

当事者から、頭痛がする、めまいがする、手が震える、腹痛がする、食欲がない、等の話しがあったなら、
内科医でもよいので、当事者に受診を勧めてください。
いつも、風邪やインフルエンザの治療でお世話になっている、内科医でよいのです。
内科医やその他の専門医が診察すれば、これは自分の専門領域ではない、精神疾患が疑われる、等の所見が出ますので、
そこで、はじめて精神科専門医を受診することに繋がるのです。

人事労務担当のみなさんが、「あなたは、うつ病かもしれない、精神科を受診しなさい」と言っても、
当事者から拒否されるのが関の山です。
むしろ心を閉ざしてしまい、当事者本人の病状を一層悪化させることになってしまいます。

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