日経ビジネスに、エコノミストの特約記事「ウォルマート、大型店からシフト」が載っていた。
ウォルマートは、世界最大のスーパーマーケットチェーンだが、最近、業績が低迷気味で、進行国での事業の縮小が相次ぎ、米国主要小売業の既存店売上高の伸び率で、唯一実績を割る結果となるなど、経営戦略の見直しを迫られていると言う。
ウォルマートの米国事業の中核となるのは、3275店あるSCで、買い物客は、そこへ行けば、何処よりも安い値段で何でも買えると言うことで人気を博している。
ところが、最近では、このウォルマートの牙城を、アマゾン・ドット・コムや「1ドルショップ」が、脅かし始めていると言うのである。
アマゾンは、ウォルマートが扱うような商品をより簡単に買えるようになり、特に、電子機器やオムツ、洗剤などと言った消費財などは、そうだと言うのだが、宅配の魅力もあるのであろう。
それに、日本での100均ショップが繁盛しているのを見れば、格差拡大で貧困層が益々増加しているアメリカで、1ドルショップが、ウォルマートを食うのも分かろう。
先日、「ネットショッピングだけが流通革命か」で流通革命について書いたので、今回のブログでは、アマゾンのビジネスについて、もう一度、考えてみたいと思っている。
尤も、ウォルマートも、オンライン事業を行っており、「市場エコシステム」と言う独自の自社事業の推進中だが、現実には、アマゾンの8分の1くらいの規模で、配送コストが、その2倍だと言うから足元にも及ばないのだが、リアル・ショップも、必死になって、ネットショッピングを導入し始めているのが、興味深い。
しかし、逸早くアマゾンに対抗して、米国最大の書店バーンズ&ノーブルが、ネットショップを併設して、一敗地に塗れているのを見ても、リアル・ショップが、ネットショップで成功することは難しいようで、先行したアマゾンのノウハウや経営革新主導のマネジメントが、如何に、進んでいるか驚異的でさえある。
まず、その配送コストの問題だが、2003年にミック・マウンツが創設したキヴァ・システムズを、2012年にアマゾンが7億7500万ドルで買収した新技術、ロボット技術がアマゾンの競争力を背後からサポートしていることである。(東洋経済:瀧口 範子 「アマゾンの超速配送を支える“逆転の発想”」)
キヴァ・システムズは、本来、作業員が、倉庫内を歩き回って方々の棚から商品を集めてパッキングするのだが、これを逆転させて、作業員の元へ商品がやって来るシステムで、それを運んでくるのがロボットだと言うことである。
ロボットは、低い箱のようなかたちをしていて、商品の入った棚をそのまま持ち上げて、棚ごと作業員の元へ持って来るので、作業員はその棚から商品を抜き取り、目の前に準備された箱に詰めるだけである。複数の商品が注文されていれば、複数のロボットが複数の棚を順々に持って来るので、それを順々に詰めるだけで、用事が済んだ棚は、ロボットがまた元へ戻す。
キヴァ・システムズのロボットがうまく作動するには、優れたソフトウエアが必要だが、ロボットが読める信号を配したシールが床にグリッド状に張られておりコンピューター制御されているので、倉庫の中では、何十台、何百台というロボットが走行しながらも、決して互いにぶつかることはなく、このロボット・システムで、2~4倍の処理が可能になったと言うのであるから、正に、ロジスティック・イノベーションである。
また、テレビでも放映されていたが、興味深いのは、配送センターから自宅まで無人の輸送機(Dron)で商品を届ける「アマゾン・プライム・エア」システムで、無人飛行機が、顧客の玄関先に、段ボール箱を置けば配送完了と言う訳である。
その他、アマゾンは、デジタル化、クラウド化など、ICT革命をフルに活用した近代的なロジスティック・システムを開発して、配送料を無料にして、最短時間最短距離で顧客に商品を届けようと最善の努力をしており、この面でのダイナミックなイノベーション志向の経営は、多くの流通革命推進の核となっている。
しかし、そんなアマゾンでも、最近は、配送コストの増勢に悩んでいると言うのであるから、とかく、経営はままならないと言うことであろう。
私は、ネットショッピングの場合には、まず、価格コムのデータを参考にするが、アマゾンの商品の価格が、それ程、遜色がなければ、アマゾンで買うことにしている。
尤も、アマゾンに出店している販売者から直送される商品については、これは、楽天やヤフーの場合と殆ど変らないので、送料も必要だし、信頼関係もあるので、すんなりとは利用していない。
しかし、品揃えなども、楽天やヤフーにも遜色はないし、何でも、アマゾンから直送されてくるシステムでは、アマゾンさえ信用しておれば、しっかりとした商品が、間違いなく安い価格で、実に早く、手元まで配送されてくるのであるから、まず、安心である。
アマゾンは、アマゾンプライムを通じて、普段の買い物の配送を便利にするだけではなく、デジタルの「オマケ」を付けていると、松村 太郎 氏が、「アマゾン、まだまだ進化する巨人の将来 次々飛び出す奇想天外なアイディア」で紹介している。
アマゾンプライムのユーザーには、テレビ番組や映画のストリーミングを無料で見ることができ、しかも、4K映像の配信や、アマゾンのオリジナルドラマを4Kで制作するなど、オマケから新たな魅力へと成長させようとしている。また、アマゾンプライムには、Kindle Owners' Lending Libraryという書籍レンタルサービスがあり、キンドルから本を借りて読むことができ、こちらも無料で利用する事ができるのだと言う。
また、ネットショッピングで、高度なノウハウや仕組みを急速に構築したアマゾンが、クレジットカードリーダー付きキンドルタブレットを店に置き、アマゾンのシステムを活用してカード決済ができる仕組みを提供することによって、多くの小売店を巻き込んで事業を展開するなど、更に、流通革命のイノベーションに果敢に挑戦し続けている。
アマゾンは、インターネットを活用して快進撃を続けていると言うだけではなく、ロジスティック・システムの最適化を武器にしながら、流通システムを根本的に合理化近代化しようと、流通イノベーションに果敢に挑戦しているのであるから、追われる身のウォルマートが、脅威と感じて身構えるのも、当然かもしれないと思う。
ウォルマートは、世界最大のスーパーマーケットチェーンだが、最近、業績が低迷気味で、進行国での事業の縮小が相次ぎ、米国主要小売業の既存店売上高の伸び率で、唯一実績を割る結果となるなど、経営戦略の見直しを迫られていると言う。
ウォルマートの米国事業の中核となるのは、3275店あるSCで、買い物客は、そこへ行けば、何処よりも安い値段で何でも買えると言うことで人気を博している。
ところが、最近では、このウォルマートの牙城を、アマゾン・ドット・コムや「1ドルショップ」が、脅かし始めていると言うのである。
アマゾンは、ウォルマートが扱うような商品をより簡単に買えるようになり、特に、電子機器やオムツ、洗剤などと言った消費財などは、そうだと言うのだが、宅配の魅力もあるのであろう。
それに、日本での100均ショップが繁盛しているのを見れば、格差拡大で貧困層が益々増加しているアメリカで、1ドルショップが、ウォルマートを食うのも分かろう。
先日、「ネットショッピングだけが流通革命か」で流通革命について書いたので、今回のブログでは、アマゾンのビジネスについて、もう一度、考えてみたいと思っている。
尤も、ウォルマートも、オンライン事業を行っており、「市場エコシステム」と言う独自の自社事業の推進中だが、現実には、アマゾンの8分の1くらいの規模で、配送コストが、その2倍だと言うから足元にも及ばないのだが、リアル・ショップも、必死になって、ネットショッピングを導入し始めているのが、興味深い。
しかし、逸早くアマゾンに対抗して、米国最大の書店バーンズ&ノーブルが、ネットショップを併設して、一敗地に塗れているのを見ても、リアル・ショップが、ネットショップで成功することは難しいようで、先行したアマゾンのノウハウや経営革新主導のマネジメントが、如何に、進んでいるか驚異的でさえある。
まず、その配送コストの問題だが、2003年にミック・マウンツが創設したキヴァ・システムズを、2012年にアマゾンが7億7500万ドルで買収した新技術、ロボット技術がアマゾンの競争力を背後からサポートしていることである。(東洋経済:瀧口 範子 「アマゾンの超速配送を支える“逆転の発想”」)
キヴァ・システムズは、本来、作業員が、倉庫内を歩き回って方々の棚から商品を集めてパッキングするのだが、これを逆転させて、作業員の元へ商品がやって来るシステムで、それを運んでくるのがロボットだと言うことである。
ロボットは、低い箱のようなかたちをしていて、商品の入った棚をそのまま持ち上げて、棚ごと作業員の元へ持って来るので、作業員はその棚から商品を抜き取り、目の前に準備された箱に詰めるだけである。複数の商品が注文されていれば、複数のロボットが複数の棚を順々に持って来るので、それを順々に詰めるだけで、用事が済んだ棚は、ロボットがまた元へ戻す。
キヴァ・システムズのロボットがうまく作動するには、優れたソフトウエアが必要だが、ロボットが読める信号を配したシールが床にグリッド状に張られておりコンピューター制御されているので、倉庫の中では、何十台、何百台というロボットが走行しながらも、決して互いにぶつかることはなく、このロボット・システムで、2~4倍の処理が可能になったと言うのであるから、正に、ロジスティック・イノベーションである。
また、テレビでも放映されていたが、興味深いのは、配送センターから自宅まで無人の輸送機(Dron)で商品を届ける「アマゾン・プライム・エア」システムで、無人飛行機が、顧客の玄関先に、段ボール箱を置けば配送完了と言う訳である。
その他、アマゾンは、デジタル化、クラウド化など、ICT革命をフルに活用した近代的なロジスティック・システムを開発して、配送料を無料にして、最短時間最短距離で顧客に商品を届けようと最善の努力をしており、この面でのダイナミックなイノベーション志向の経営は、多くの流通革命推進の核となっている。
しかし、そんなアマゾンでも、最近は、配送コストの増勢に悩んでいると言うのであるから、とかく、経営はままならないと言うことであろう。
私は、ネットショッピングの場合には、まず、価格コムのデータを参考にするが、アマゾンの商品の価格が、それ程、遜色がなければ、アマゾンで買うことにしている。
尤も、アマゾンに出店している販売者から直送される商品については、これは、楽天やヤフーの場合と殆ど変らないので、送料も必要だし、信頼関係もあるので、すんなりとは利用していない。
しかし、品揃えなども、楽天やヤフーにも遜色はないし、何でも、アマゾンから直送されてくるシステムでは、アマゾンさえ信用しておれば、しっかりとした商品が、間違いなく安い価格で、実に早く、手元まで配送されてくるのであるから、まず、安心である。
アマゾンは、アマゾンプライムを通じて、普段の買い物の配送を便利にするだけではなく、デジタルの「オマケ」を付けていると、松村 太郎 氏が、「アマゾン、まだまだ進化する巨人の将来 次々飛び出す奇想天外なアイディア」で紹介している。
アマゾンプライムのユーザーには、テレビ番組や映画のストリーミングを無料で見ることができ、しかも、4K映像の配信や、アマゾンのオリジナルドラマを4Kで制作するなど、オマケから新たな魅力へと成長させようとしている。また、アマゾンプライムには、Kindle Owners' Lending Libraryという書籍レンタルサービスがあり、キンドルから本を借りて読むことができ、こちらも無料で利用する事ができるのだと言う。
また、ネットショッピングで、高度なノウハウや仕組みを急速に構築したアマゾンが、クレジットカードリーダー付きキンドルタブレットを店に置き、アマゾンのシステムを活用してカード決済ができる仕組みを提供することによって、多くの小売店を巻き込んで事業を展開するなど、更に、流通革命のイノベーションに果敢に挑戦し続けている。
アマゾンは、インターネットを活用して快進撃を続けていると言うだけではなく、ロジスティック・システムの最適化を武器にしながら、流通システムを根本的に合理化近代化しようと、流通イノベーションに果敢に挑戦しているのであるから、追われる身のウォルマートが、脅威と感じて身構えるのも、当然かもしれないと思う。