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YNWC的な日常

街の中でも季節を感じて暮らしたい。生き物や自然のの話を中心に美味しい食べ物、散歩のことなど綴っていきます

8 ツンドラハイキング(その1)

2011-09-11 15:00:00 | アラスカ2011秋
今回の記事はすでにリアルタイムで更新済みですが、きれいな写真とともに再更新したいと思います。



ホワイトマウンテンの入り口です。左側が河内氏の奥様の真樹子さん。8歳の息子さんのお母さんです。小柄ながら北極圏を一人でテントしょって歩いたという強者です。彼女の冒険談も実に魅力的です。人は見かけによりません。ハイキングは彼女に案内をしていただきました。





車道からすぐにトレイルがひかれていて、タイガの森をほんの少し登っただけで、あっという間にツンドラ地帯が足元に広がります。赤く色づいた灌木が美しすぎます。



この広大なツンドラ地帯で、ブルーベリーを摘んでは食べるわたしたち。道なき大地を自由気ままに歩き回ります。極寒の地に生きる植物たちの成長は遅く1cm育つのにも何十年という年月を要します。そんな中をずかずかと踏み込んでいくことにほんの少し罪悪感を覚えつつ、あまりの雄大さに自分の存在がちっぽけに思えたりします。ツンドラを歩くときの約束は人と同じ道を踏まないこと。そうすることで、自然へのダメージを減らすのだそうです。







ツンドラの紅葉は本当に見事です。絵の具箱をひっくり返したようなカラフルさ。真っ白な植物はライケンという地衣類です。極地へ近づけば近づくほど、灌木は減り、ライケンのような地衣類だけが地表を覆うようになるそうです。極北を旅するカリブーだけが、このライケンを消化することができるのだそうです。だからこそ彼らは極北の地を旅することができるのだともいえます。なぜ彼らは極寒の土地をさまようように大移動し続けるのか。まだ、その謎は解き明かされていません。ライケンを触ってみました。もっと水分を含んでいるのかと思ったら、かさかさと乾いていているように感じました。モゾモゾとしてあまりおいしくはなさそうです。



一方こちらはワイルドベリーたち。ピントがずれていますが、ブルーベリーとクランベリー(コケモモ)です。小さいけれどおいしいんです。小さな実の中に自然の恵みがぎゅっと凝縮されているんですね。デナリで出逢ったグリズリーやムースたちが夢中になって食べていたのにも納得です。こんなにおいしいものが目の前にあったら、周りにかまっている余裕なんてなくなっちゃうのも無理ありません。




いつの間にか手に持っていた小袋いっぱい摘み集めていました。地面において、ちょっと撮影。きれいな葉っぱも添えてみたり…(笑)色合いも美しいですよね。つやつやです。食べきれない分を河内家でジャムにするという案もあったのですが、結局翌朝のデザートになりました。希望をすればジャム作りまでさせていただけるなんて楽しすぎですよね。


→ アラスカ旅行記9「ツンドラハイキング(その2)」へ続く

7 アラスカに住む

2011-09-11 14:00:00 | アラスカ2011秋


フェアバンクスに到着です。この街も基本的に深緑と黄色でできています。このツートンカラーがわたしにとってのアラスカの色となりました。
この電気も水道もないタイガの森を買って、ログハウスを建て、暮らしている日本人家族がいます。





今回の旅でお会いするのを楽しみにしていた、写真家兼ネイチャーガイド業を営む河内牧栄氏の手作りログハウスです。





これがご本人。ガイド業、執筆業、そして撮影の合間に、家を建てたり、まきを切ったりと、なんでも自分の手でこなすスーパーマンです。冬の間にかかせないまきストーブのまきも、自分の森から自分で切り出し、乾燥させ、自分でまき割りをするのです。すごい重労働です。家からその後ろに建設中のオーロラキャビンへ続く道の一部もスコップ一本で120cmほどの斜面を幅3mほど掘り出して作ったのだとか。土をほることがどれだけ大変か、去年の田んぼ作りで経験しているだけに、腰が抜けるほど驚きました

森の中の一軒家に暮らすというのは、想像以上に生易しいものではないのです!!!



私たちの目の前で、まきを割って見せてくれた時に出たスプルースの木端です。図々しくサインをもらいました(笑)

なぜ彼を訪ねることになったのかというと、フェアバンクス1日目のオーロラツアーはこの河内氏に案内をお願いしたのです。夜の10時過ぎにホテルでピックアップしてもらい、車で45分ほどの彼のログハウスに連れて行っていただきました。そこでオーロラを待つ間に家や建設中のオーロラキャビンを見せていただいたり、ここでの生活を一部実演付きで教えていただいたり、PCでアラスカのさまざまな画像を見せていただいたりしました。





サインをしてくれている河内氏。そしてPCを見ながらアラスカの話を聞いているところです。電気は通っていませんが、実際には自家発電で電気を使うことは可能です。この日は気分を出すためにランタンを灯していただきました。ランタンの明暖かくそして初対面である我々の緊張をあっという間にとりさってくれました。この日はわたしたちの他にもバンクーバに出向中の青年もツアーに参加していました。うるさいおばさんたちでゴメンナサイ(笑)



北極圏にある山でみつけたサンゴの化石だそうです。北極にサンゴ!! 「あれっこんなところにサンゴの化石が~♪」って歌いたくなりました。←超うちわネタですすみません(汗)

残念ながらこの日、オーロラは非常に微弱なうえ、天気もぱっとしませんでしたが、何とも貴重な時間を過ごすことができました。

本来なら湖面に映るオーロラをバックに記念撮影の予定だったのですが、願い叶わずです。しかし、その湖へと車で移動した際、水際で狩りをする1羽のキンメフクロウを目撃しました。なかなかレアなのだという話に嬉しくなります。フクロウはフロントガラス越しの目の前で、とらえた魚をつついたかと思うとあっという間に丸呑みして見せました。すごすぎっ!

オーロラの出現に後ろ髪をひかれつつ、ホテルへ帰る時間となりました。そして、その道中、これまで空一面を覆っていた雲が一気に消え去りました。あっという間の出来事でした。そして、微弱ながらオーロラ出現です!!肉眼では薄ぼんやりとした明るい白い雲にしか見えません。河内氏のかっこいいカメラで記念撮影をしていただきました。その写真は後日郵送されてくる予定です。オーロラをバックに我々がばっちりと写っているはずです。楽しみ~♪

河内氏のHPは「ネイチャーイメージ」で検索ください。素晴らしい写真がいっぱいです。

→ アラスカ旅行記8「ツンドラハイキング」へ続く

6 デナリバスツアー3

2011-09-11 13:00:00 | アラスカ2011秋


山の岩肌に白くぽつぽつと見える生き物がいます。ドールシープです。彼らは外敵から身を守るため見晴らしの良い場所で常に周囲を警戒しています。1頭でいるものもいれば、十数頭で群れをつくっているものもいました。いくら見晴らしがいいとはいえ、足場も悪く、風だって強いであろう崖の上をよく歩けるものです。ときどき岩肌に点在する木々を食べながら1日を過ごすのですからたいしたものです。



警戒心が強い生き物なので、わたしのカメラではこのあたりが限界ですが、立派な角が生えているのがお分かりでしょうか。くるりと巻いたかっこいい角を持っています。羊というよりはヤギのように見えます。アルプスの少女ジハイジに出てきた「大角のだんな」を一回り小さくしたような姿です。







ポリクロームパス(極彩色の峠)と呼ばれる峠からの展望です。あの広大な景色はとても写真では伝えられません。もうただただ圧巻です。赤、黄、緑、茶を基調とした無数の色がちりばめられた自然が織り上げたタペストリー。ひんやりしたデナリの大気を肌で感じながら、言葉もなくこの広大なツンドラの大地を眺めました。さえぎるもののない360度の展望。





デナリ国立公園には名もなき山が無数にあります。一つ一つ名前をつけていられないほどなんですね。3000m、4000mといった山にも名前がついていないものが多いというのですから驚きです。日本では見ることのないその山容。クレイ粘土で作ったような山もあれば、ごつごつの岩山もあります。



巨大な角をもったオスのムースです。日本語にするとヘラジカ。やはりブルーベリーを食べているようです。あごの下にタルタルンとたるんだ出っ張りがあるのですがなんなのでしょうか。現地のガイドさんに聞いても分かりませんでしたが、そのガイドさんはタルタルンのことを「髭」と呼んでいるそうです。「髭」はオスのほうが大きいですが、メスにもついているようです。



ムースがフレームに写りこんでいるだけで景色が違って見えます。この広大な土地は彼ら野生動物のものなのだと強く認識させられます。それにしても角が重そうです(^_^;)



公園の入り口に近くなるにしたがって、再びタイガの森が姿を現し始めました。黄葉はこのあたりがちょうど旬のようです。ポリクロームパスあたりでは、むしろ少し盛りを過ぎた頃のように感じました。ピークのときにはどれだけの色彩かと想像してみます。

6時間の予定だったバスツアーは、動物たちの出現や美しい風景の連続に気づけば7時間を超えていました。それにしてもあっという間です。昼食のレストランについたときに、時刻はすでに13:00を回っていました。この後はいよいよオーロラツアーです。デナリからフェアバンクスまでバスで2時間弱。その間の車内は、興奮冷めやらぬ思いを胸にしばしの熟睡タイムとなりました。



→ アラスカ旅行記7「アラスカに住む」へ続く

5 デナリバスツアー2

2011-09-11 12:00:00 | アラスカ2011秋


旅行記第5章は、グリズリーベア特集です。デナリ国立公園には体の大きなグリズリー(灰色熊)と少し小さめのブラックベア(黒熊)がいます。グリズリーは日本のヒグマと同じ種類、つまり付き合い方を間違えれば、とても危険な生き物です。背中の首のあたりがぼこっと膨らんでいるのが特徴です。

そのグリズリーがバスからかなり近い位置に姿を現しました。バスに気づいて走りだした一頭のグリズリー。時速60kmは出るという彼女の走りはなかなかのものです。巨体を揺らしながら一直線にかけていきます。



逃げていくのかと思いきや実は子どもたちと合流したのでした。グリズリーのメスは通常2頭の小熊を育てるそうですが、デナリ国立公園ではまれに3頭の小熊をつれた母熊が見られるそうです。私たちが出逢った母熊は2頭の小熊を連れていました。かなりの至近距離で、どうやらブルーベリーの実を盛んに食べている様子です。実を口に入れるところまでは見えませんが、赤く見えるのはブルーベリーの葉っぱで、何やら口をもごもご動かしています。



3頭のグリズリーは逃げるどころか悠々と食事を続けていました。彼らにとってバスは石ころなのだと長年の経験で教え込んでいるのがデナリ国立公園なのです。至近距離での観察にとても興奮したけれど、よくよく考えたら、野生動物の観察としては少し異常なことのように思います。



それにしても、なんともほのぼのとかわいらしい様子です。クマが恐ろしい生き物だなんて、この光景からは信じられません。星野氏の写真集に「アメリカの開拓史はグリズリーの虐殺史である」という言葉があったのですが、人とクマとの共存なんて、この恐ろしいほどの大自然を前にしては考えられない選択肢だったことでしょう。しかし、こうしてみているグリズリーはなんとも愛嬌があり、親子愛にあふれた愛らしい生き物なのです。文明社会の中にいると、人間はなぜもっと自然を大切にしてこなかったのだろうと考えがちです。しかし、これだけ巨大な自然を前にして初めて、この大自然に挑み、開拓してきた当時の人々の気持ちが分かるような気がします。自然は無尽蔵にあり、けして人の手で破壊することなどできないように感じるのです。



熊がこちらに向かってきました。やはり迫力です。デナリ国立公園では、申請をすれがバスツアー以外に、トレイルルートをハイキングしたり、車道をサイクリングしたりできるのですが、こんなに身近にクマが出没しているのかと思うとちょっと怖いです。熊が出没したすぐ近くで私たちのバスとすれ違った単独チャリダーが3人もいました。

バスの中から観察しているにもかかわらず、この大接近には緊張を覚えました。何を考えてか、彼女たちはバスのすぐ横までやってきたのです。



そしてバスの横を通り過ぎると、バスの目の前を悠々と歩き始めました。小熊たちは時折2頭でじゃれあったりしています。こうなってくると、気分はすでにクマ牧場見学です(^_^;)

同じバスにほぼ満席で乗っているツアー客の皆さんのうち、何人がそんな風に感じてくれているのか。ガイドさんにはぜひとも野生動物と人のかかわわりや歴史、自然保護についてしっかりレクチャーしてもらいたいと思いました。



おしっこをするグリズリー。くつろぎすぎでしょっ(笑)



この3頭のグリズリーに出逢ったすぐ先は、マッキンリーの展望ポイントでした。目の前にそびえる6000mを超える峰。南峰と北峰の2つのピークをもっています。最高地点の6194mがあるのは左側のなだらかに見える南峰です。公園の入り口から、ずいぶんと奥へ進み山が目の前に迫ってきました。大迫力です。ここではバスを降る予定だったのですが、熊の登場により車中からの展望になりました。こんな風に雲がほとんどない状態で見えることは、そうはないというありがたいお姿。なんてラッキーなわたしたち♪
公園を走る一本道(車道)はまだしばらく続きますが、わたしたちはここでUターンしてもと来た道を戻ることになりました。

→ アラスカ旅行記6「デナリバスツアー3」へ続く

4 デナリバスツアー1

2011-09-11 11:00:00 | アラスカ2011秋


朝5:30。デナリ国立公園はまだ夜の中です。眠い目をこすりながら支度をし、バスへと乗り込みます。



あたりはまだ暗く、周りの景色もよく見えません。車内の座席には朝ごはんのBOXがおいてありました。しかし暗くて何が何だかわかりません。どうやらパンが入っています。それからサラミの小袋、チーズ、マヨネーズ。自分でサンドイッチを作れということらしいです。小さなウィンナーがたくさん入っているのかと思った小袋はベビーキャロットでした。量多過ぎ!!ポテトチップとドライフルーツも入っています。暗闇でそれらの食料をかじっていると少しずつ夜が明けてきました。





マッキンリーです。6194mの峰が朝日に輝いていました。その姿はまだ遠く離れていますが、なんと気高く美しいのでしょうか。生クリームをパテでぬったような雪景色。エベレストをしのぐとも言われる過酷な山ですが、その厳しさはここからでは感じられません。北米最高峰、年間120名もの登山家が目指す頂です。冒険家の植村直己さんがこの山の単独登頂に成功し、世界で初めて五大陸最高峰単独制覇を成し遂げたのは1970年のことです。そして19年後、同じこの山で冬の単独登頂に成功したあと、帰らぬ人となりました。最低気温マイナス71度、最大風速240km/hの記録もあるという極北の大地にそびえたつマッキンリー山。現地の言葉で「偉大なもの=デナリ」と呼ばれるこの山は、610m付近の地盤が垂直に5600m隆起してできたのだそうです。大地のエネルギーがいかに巨大なものであるかを考えさせられます。



バスは途中2ヶ所の休憩所(簡易トイレ)と1ヶ所の展望所だけで停車しました。それ以外は車内からの見学です。デナリ国立公園は、年間の入場者数を厳しく管理しています。世界初の国立公園であるイエローストーンでの教訓を生かし、人間によるインパクトを極端に避けて原始的生態系を残そうというのがこの公園のコンセプトなのです。バスは無機物であり石ころと同じ存在というのが鉄則です。






テクラニカリバー。アサバスカンインディアンのことがで「たくさんの砂利と少しの水」と呼ばれる土地です。デナリ国立公園では川といってもこのような網目のように走る水路が多いです。これらの水は氷河が溶けてできたものです。





トクラットリバーの休憩所には、角の展示がありました。カリブーやムースの角はとても立派で、とても重いです。こんなものをつけて歩いていたらぜったいにムチウチになります。彼らはなぜこんなに重い角を付けて歩いているのか!しかもこの角は1年で生え変わるのだというからびっくりです。草食動物である彼らはどのようにしてこの角を作るためのエネルギーを作り出しているのか不思議でなりません。ムースはオスだけに角があり、繁殖期に他のオスと戦うための武器とします。角を突き合わせて、メスを奪う戦いを繰り広げるのです。中には角が絡んで身動きができず、そのまま息絶えてしまうものもいるとか!?憎しみ合った相手と向かい合ったまま、なすすべもなく死ぬなんて…、そんなの絶対に嫌です(^_^;)
カリブーの場合は同じようにオスにも角が生えますが、メスも子育てをする時期には子どもを守るために角が生えるのだそうです。



デナリ国立公園は行けども行けども尽きることない広大な土地がただただ広がっているのでした。


→ アラスカ旅行記5「デナリバスツアー2」へ続く