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ぽかぽか春庭「奇才-江戸絵画の冒険者たち in 東京都江戸東京博物館」

2020-06-06 00:00:01 | エッセイ、コラム

葛飾北斎「上町祭屋台天井絵男波」

20200607
ぽかぽか春庭アート散歩>2020春のアート巡り(3)奇才-江戸絵画の冒険者たち in 東京都江戸東京博物館」

 東京の緊急事態解除。美術館博物館はステップ1でようやく再開が決まりました。
 庭園美術館は水曜日定休なので、6月1日から、月曜日定休の他の美術館博物館も6月2日から順次再開です。東京アラートも出て、いつどうなるかわからないので、2か月間アート散歩をひかえていた春庭、さっそく2日は、午前中、江戸東京博物館、午後、庭園美術館をはしごしました。

 江戸東京博物館の特別展「奇才 ―江戸絵画の冒険者たち―」は、2020年6月2日(火)から6月21日(日)まで。
 大阪や山口への巡回展スケジュールが決まっているので、東京の会期を延ばすことができず、予定の期間より大幅に短くなりました。ともあれ、決定していた展覧会が中止になったところも多いので、20日間でも開催されるだけありがたい。
 江戸東京博物館、入り口で体温チェック。私はいつもの低温、35.9°でした。



 会場ひとまわりして、全体的な印象は東京都美術館で開催された「奇想の系譜展」と似ていた感じ。活躍した地域別に画家をまとめて作品を並べていたのが、江戸東京の特徴でした。
 江戸時代を通じて、絵画表現の革新に取り組んだ画家たちの紹介です。
 すでに大人気となっている画家たち。奇想の系譜展で取り上げられた伊藤若冲、長澤蘆雪、曾我蕭白、歌川国芳らの有名どころのほか、伝統的な絵師とみられている俵屋宗達や尾形光琳、円山応挙もその表現の新しさにスポットを当てています。

 こんかいの展覧会で初めて見た江戸の絵師もたくさんいました。蝦夷から九州まで全国から35人の奇才絵師の作品が展示されています。

 蠣崎波響「御味方蝦夷之図 イコトイ」.函館市中央図書館所蔵


 蠣崎波響(1764-1826)は、蝦夷松前藩12代藩主・松前資広の五男だが、1歳で父に死なれ家老蠣崎家の養子となりました。家老として異母兄の13代藩主・道広に仕えました。幼いころから絵の才能を見せ、9歳で江戸に上り絵を学びます。20歳で松前に戻って以後、アイヌの酋長を描いた『夷酋列像』などを描き、光格天皇天覧の栄誉を得て京都画壇にも名を知られました。

 『夷酋列像』は、フランスに流出したものもありますが、模写本なども合わせると12人のアイヌ酋長がわかります。実写ではなく、蠣崎波響がアイヌの尊厳を残すために理想像として描いたのだと言われています。イコトイの姿をみても、とても人間的な品位のある像になっているいると思います。明治になると「忘れられた画家」になっており、函館の「地方画家」でしたが、中村真一郎『蠣崎波響の生涯』で全国に知られるようになりました。

 今回の「奇才-江戸絵画の冒険者たち 」が「奇想の系譜」と異なる点のひとつは、地方に在住した全国区ではなかった画家を取り上げた点でしょう。
 片山楊谷(かたやまようこく1760-1801)も、知りませんでした。
 いや、実は見ていたんです。2006年8月に息子といっしょに「プライスコレクション若冲と江戸絵画展」を東博で見たとき、江戸絵画のひとつとして片山楊谷の「猛虎図」が展示されていました。このときは、若冲のトラとの比較のひとつとしてさらりと眺めただけで、片山楊谷という名前を憶えていませんでした。

 楊谷は、長崎で生まれ、鳥取で長くすごしました。今回出展されていて、私が絵葉書を買った「竹虎図」も鳥取県の雲龍寺所蔵です。


 もう一枚絵葉書を買ったのは、葛飾北斎が長野県小布施町に残した「上町まつり屋台天井絵男波女波」
 1842(天保13)年、82歳のときはじめて小布施町に行きました。天保の改革によって絵師にもいろいろな制約があった江戸を出て、地元の豪商の招きに応じたのだと見なされています。
 まつり屋台の天井に描かれた波の絵。いつか小布施の北斎館に行って見てみたいと思っていた絵を見ることができました。 

 葛飾北斎「上町まつり屋台天井絵男波女波」


 絵はがきの種類が少なくて、買ったのは上記2枚だけ。本来の会期であったら、もう少しいろんな種類もあったかなと思いますが、江戸絵画の広がりを知ることができて、よい展覧会でした。

<つづく>
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