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ぽかぽか春庭「留学生さよならパーティ」

2014-03-22 00:00:01 | エッセイ、コラム
2014/3/22
ぽかぽか春庭にっぽにあにっぽん語教師日誌>ありがとうさよなら(4)留学生さよならパーティ

 春3月は卒業シーズン。袴姿で卒業式に向かうの大学生も駅や町に見かけます。留学生にとっても、春は出入りの多い季節です。
 3月9日、留学生の寮で行われたフェアウェルパーティに参加しました。2012年の秋に来日したクラス。教師5人と、帰国予定留学生6名、結婚や大学院研究で日本に残る留学生2名、これから1年の教員研修コースでの学習を始める学生2名の「さよならパーティ」です

 各国から選抜されて日本で教科教授法を研究する「教員研修生」。国では優秀な教師ですが、日本では異文化生活にとまどい、日本語文法や漢字の難しさにネをあげたこともありました。それぞれが困難にもあいながらも、メンバーがとてもなかよく、寮でもクラスでも助け合って2014年の修了式にこぎつきました。

留学生寮B棟(A,B,Cは学部生と大学院生、D棟は研究者棟)


 この日本語力では教員研修の最終発表までたどり着くだろうか、と懸念された学生も、教育学部での授業では「私の専門は英語教授法だから、英語で発表。最終レポートも英語だから大丈夫でした」と、にこにこ発表内容を語っていました。
 フィリピン女性=数学教育、マレーシア女性とラオス男性=英語教育、タイ男性=小学校体育教育、フィジー女性=理科教育、中国男性=家庭科教育、という発表を行ったと報告がありました。

 タイの小学校体育教師として来日し、「日本の体育教育のすぐれている点をタイにとりいれたい」という発表をしていたクリさんは、小学校の体育教師になる前は、タイのプロサッカー選手でした。怪我をして選手としてはチームに残留できなくなり、一時は人生に絶望。しかし、奥さんの励ましもあって小学校体育教師に転身しました。
 タイの体育教育はまだまだこれから、というクリさん。帰国後はきっと自国の教育のためにいっしょうけんめい働くことでしょう。さらなる研究のために、進学もしたいと話していました。

 ときに、英語を混ぜながらも、いっしょうけんめい日本語で発表したドンさん。「日本では小学校から顕微鏡を使った生物学教育ができるけれど、私の国では予算がないから、顕微鏡の使用は中学生からです」と、自国の理科教育がまだまだ発展途上であることを語っていました。
 「中国では男性が女性と平等に家庭の仕事を手伝うのは当然で、家庭科教育というのは教科としては行われてこなかった。でも、これからさらに男性も女性も同じように家庭の仕事を担うために、家庭科教育を充実する必要がある」と熱く語っていたチョーさん。

 ソンさんは、一旦自国に戻って報告を済ませるとすぐに奥さんが教員研修に出かけているオーストラリアに向かうのだそうです。夫婦とも大学教員で、将来母国のの大学教育を背負っていくことになるでしょう。

 教員研修のほか、大学院修士課程で生物学の研究を続けているホセさんもパーティに参加。「そてつLove」の話をしました。研究対象のそてつは、世界に300種くらい存在していて、ホセさんは、遺伝子によってその比較をしているのだそうです。そてつが大好きでとてもすばらしい植物なんだ、と熱心に語ります。「そてつは、恐竜の時代から地球にあった」と、言います。日本には、関東圏には大規模自生地がないので、そてつ採集は九州などに行かなければなりません。研究室ではもっぱら遺伝子研究に励んでいるけれど、実際のそてつの木が好きなんだ、といいます。

 環境研究をしていたシーさんは、永住権を持つ在日中国人と結婚。6月に出産を控えています。マニラに恋人が待っているテルさんは、数学教育が専門でしたが、日本の英語教育会社への就職が決まったとのこと。とても人当たりのいい、明るくて積極的な人柄なので、日本の幼児英語教育という新しい分野でもきっとよい成果を上げることでしょう。一度マニラに帰り、6月から名古屋で研修。夏以後にどこかの幼児英語教室に配属されるそうです。

 日本にいるあいだに旅行した先でどこがよかったかを後輩に披露する「日本語で発表」の時間。それぞれ、富士山、日光、京都、北海道、沖縄など、出かけた先のおもしろかったところを、パーティに参加していた現在の学生に教えていました。
 テルさんの観光地紹介「大阪、たこ焼きを食べました。おいしかったです。広島、お好み焼きを食べました。おいしかったです。北海道、じゃがいもを食べました。おいしかったです、、、、」と、延々「おいしかった」シリーズがつづき、みな大笑い。

 パーティにはそれぞれが手作りの「国の料理」をひとり一品もちよりで、テーブルの上には、いっぱいのごちそうが並びました。
 おなかいっぱいさまざまな料理を食べました。

それぞれのお国自慢料理が並びました。


 最後に、「HAL先生の授業でやったゲームがとても楽しかったから、もういちどやりたい」という学生のリクエストで、フルーツバスケットをやりました。
 初級のいちばんはじめには、「持っていますゲーム」として行います。めがね、とけい、辞書、漢字の本、などの単語を言い、それを持っている人は、丸く並べた椅子を交代します。腕に時計をしているのに、椅子を動かない学生は反則。単語の聞き取りができるかどうか確認するためのゲームとして行います。
 初級後半には、習った文型を発話するための「正直ゲーム」。「今朝、コーヒーを飲みました」「宿題を忘れたことがあります」などの発話に、正直に椅子を移動します。

 今回も「富士山を見たことがあります」「結婚しています」「料理が上手です」などの文を聞いて、キャーキャー言いながら、椅子をとりかえっこしていました。
 ドンさんのお題は「私は太っています」。HAL先生は正直に立ちました。ひとりしか立たないときは、キャンセルですが、私が立ったすきにリナさんがさっと私の椅子に入れ替わってしまい、ゲーム成立。

 HAL先生が教えた日本語を帰国後もどれだけ覚えていてくれるかわかりませんが、留学生の心に「先生が授業でやったゲームがとても楽しかった」という思い出になって心に残っているなら、私がこの大学で25年間続けた授業も、なんらかの積み重ねにはなっているのでしょう。

 それぞれの旅立ち、日本留学をよい経験として旅立ってほしいと願いました。

<おわり>
コメント (2)
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