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ぽかぽか春庭「母の日」

2013-05-16 00:00:01 | エッセイ、コラム
2013/05/16
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十三里半日記2013年5月(1)母の日2013も相変わらずで

 5月12日日曜日、娘息子と3人で姑宅へ。母の日プレゼントを届け、いっしょに夕食を食べる毎年のイベントですが、以前と変わったことは、ここ何年かは夫も参加する行事になってきたこと。

 自分の母親の老化を意識するまで、夫は「おふくろのことは奥様におまかせします」とか言って、母親の家に寄りつきもしてこなかったのです。夫に「奥様」と奉り上げられると、ろくなコトがない。「奥様、会社の運転資金がないから、カネ貸してください。当分返せないが」とか。

 おまかせしますって、どういうこと。私の母親じゃないのよ、あなたのお母さんでしょう、といつもブーブー言ってきましたが、姑の足下がおぼつかなくなり、要支援も受けるようになって、ようやく最近は一日おきくらいに姑の家に顔を出し、週末には泊まるようになりました。今までさんざん「いてもいなくてもいいような息子」で、気ままに過ごしてきたのですから、これからは大いに老親孝行をしてもらいましょう。
 母親が歩行困難などのハンデキャップを抱えるようになって、還暦過ぎた老息子、ようやく母親のために何かせねば、という気になりました。

 幸い、要支援で週一回きてくれるヘルパーさんがとてもいい人で、姑とも気が合っているようなので、ありがたいことだと思います。私は、たまに顔を出していっしょに夕食を食べてくる程度の親孝行。姑が調子よければ、「おばあちゃんのお世話は、娘におまかせ」で、「私が働かなければ、一家で飢えるのだから、仕事優先です」と言って、イベントだけ参加で済ませているヨメです。

 1月御年始、2月姑誕生日、3月舅命日、5月母の日など、一家で集まっていっしょに食事をします。「一人暮らしの気ままな生活に慣れて、毎日人といっしょだと疲れる」という姑のことばが、本気なのか、働き続けるヨメを気遣っての言葉なのか、どちらかなと思いつつも、「お義母さんが、ああ言っているのだから」と、たまに顔を出すだけで「よいヨメ」のふり。

 今年の母の日も、恒例のスキヤキ。材料準備までは私。調理しながら食べるのは娘の担当。(直箸を突っ込まれるのを私が嫌うので、娘は調理を一手にひきうけてくれます)
 息子はお茶碗を出したりする係。夫は、今回は「仕事が片付くまで行けるかどうかわからないから、先に食べていて」と、「食べるだけ」宣言。

 夫、お正月のスキヤキ肉を買う「初めてのおつかい」をまかされて、「お買い得なお肉」を買ってきました。姑は初めて家事を手伝った老息子に対して「じょうずに買い物できたね」と誉めたのですが、娘は、「お父さんの買った肉、まずくはないけれど、これじゃ、普段のおかずの肉と同じようなものだから、こういうときはもうちょっと高い肉選んでもよかったのに」と、「タカ氏、はじめてのおつかい」に注文をつけました。夫は「だって、お肉の良し悪しなんて、区別がわからないもん」と言い訳。「初めてのおつかい」に懲りて、もう「食べるだけ」に専念したいのです。

 結婚直後、夫が何も家事ができないことに驚きました。姑のシツケが悪かったのだと思いましたが、私も息子を持ってみて、姑がタカ氏に家事をさせられなかった理由がわかりました。超チョウ不器用。
 中学生のとき技術科の授業で作った作品、夫は、中1のときクラスでひとりだけ、電気がつかないスタンドを作り、中3のときはクラスでひとりだけ、音が鳴らないラジオを作ったという記録を持つ、超不器用な人なのです。

 それがそっくり遺伝して、我が息子も超チョウ不器用です。包丁を持たせても、ハサミを持たせても、たいてい怪我をする。くぎを打とうとすれば手を打つ。
 最近は、学習障害ということばも認知されるようになって、学習に障害がある子どもへの支援がはじまっていますが、夫や息子のように、「何かものを作る」とか「込み入った仕組みの機械を扱う」ということに特化して、まったく何も出来ない人もいるのだとわかりました。「もの作り障害」とでも言うのかしら。

 今、息子が家でやれるお手伝いは、「フロを洗って湯を張る」「古新聞をまとめて玄関先に出す」「ゴミを捨てる」ことくらいか。娘はたまに、スライサーで胡瓜を薄切りにするのなどを「弟クン、これやって」と頼むのですが、スライサーで指の皮を削ることくらい朝飯前。たぶん、脳のどこかの蝶番が外れているのでしょう。

 夫も息子も、数学やら社会科やらの座学は「非常に優秀」な生徒であったために、学校ではハンデキャップが目立たなかっただけで、社会に出てみれば、「普通の人があたりまえにできることが出来ない」ハンデを持つ人だったのです。

 私は、こういう事実に、息子が大きくなるまで気づかず「姑がタカ氏を甘やかして育てたからだろう」と思っていました。「娘には家事を手伝わせるけれど、息子には勉強だけさせる」方針だったのだろうと。
 私は、息子を甘やかさないぞ、娘と同じようにどんどん家事もさせるぞ、と思って息子を育てましたが、その過程で、「家事が出来ない人々」というハンデキャップドパーソナリティに気づきました。

 娘や息子が生まれたてのころ、「私が家事をしている間くらい、赤ちゃんを抱っこしていてよ」と言っても「抱き方が下手で落とすかも知れないから、いやだ」と言っていた夫。自分の子を抱きたくないなんてどういう人なんだろう、と腹が立ちましたが、息子もきっと赤ん坊など抱っこするのに不安を感じることでしょう。落とすんじゃないかと。

 イマドキ、家事ができない男は、結婚対象者にならないそうです。今時のお嬢さんの結婚の第一条件は「年収600万以上、家事育児を平等にやる人」だって。
 「貧乏研究者」志望の息子、年収600万クリアも難しいし、家事育児に至っては、まるでダメ。たぶん、結婚できないでしょう。キョウビ、博士号をとっても、ポストがないので、オーバードクター研究員あるいは万年非常勤講師のままで年取っていく人が、ワンサカといます。「ガリレオ」の中に、 渡辺いっけい演ずる万年助手がでてきますが、息子もそのクチでしょうから。

 夫は、食べ終わると早々に事務所へ帰っていきました。
 姑へは、私から「これで帽子を買って下さい」と言って、いつもの金一封。娘は、ゴールデンウイークに東急ハンズで作った帆布のバッグをおばあちゃんにプレゼント。
 娘から私には、東急ハンズで作った「草木染め、絞り染めハンカチ」と、「毎月作っている刺繍のポーチ、作るばっかりで、あげる人がいないから、母にあげるっきゃない」という巾着袋やポーチをまとめてもらいました。もらってあげた?

手作りポーチやら、絞り染めハンカチやら


 姑のヨメとして、娘の母親として、よい一日でした。
 自営業零細会社の運転資金として、なけなしの家計費から借りていって「カネは返せん」という夫の妻であることだけが、私の人生の「ドンビキ」条項です。う~返してもらわんと家賃が払えんぞ。

<つづく>
コメント (6)
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