医科栄養学・栄養医学ブログ

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心臓血管病対策と食事性Mgの効果について 栄養医学ブログ

2012-06-09 22:11:51 | 健康・病気

食事におけるMg(マグネシウム)の摂取量を増やすと、約50%程、心臓血管病の死亡率のリスクを減らす可能性があることを、日本のある研究は示唆しています。

40歳から79歳の年齢層の健康な日本人、58615名の14.7年にわたる経過データが集められ、心臓発作、冠状動脈性心臓疾患などの個々の冠状動脈性疾患のリスクにおいて、よく似た減少を示しました。

Atherosclerosis誌に載った論文において、Mgの心臓に対する利点は、生化学的に妥当であり、ミネラルと血圧の改善の間には、よく知られた相関関係が有り、European Journal of Clinical Nutrition誌に載った、最近のメター分析でも同じ結果でした。

Mgは不規則な心拍数を正常化することにより、心臓の健康に寄与する可能性があります。

Mgの食事での供給源は、緑色野菜、豆、全粒穀物、雑穀、ナッツ類それにミルクなどです。初期の食事調査では、成人の大部分は、Mgの推奨摂取量(RDA)である、320mg/日(女性)、420mg/日(男性)を摂取していません。

次に、Mgのサプリメントは、心臓疾患を予防する役割をします。心臓血管病のリスクは、血清Mg濃度と相関関係があります。そこで、うっ血性心不全におけるMgの重要性が言われています。毎日、Mgサプリメントを摂取すると、病んでいる心臓に有益です。CaとMgは、心臓の機能を適切に保つため、正確な比率で協働的に働きます。2型糖尿病患者は、血中Mg濃度が低い傾向にあります。食事にもっと多くのMgを摂取すると、2型糖尿病の進行を遅らせる可能性があります。また、Mgサプリメントの摂取は、2型糖尿病、境界型糖尿病における血糖値とインスリン感受性のコントロールに有益な可能性が有ります。

最近、カロリンスカ研究所の研究によると、7つの研究からのデータでは、Mgの摂取量を100mg/日増やすと、心臓発作のリスクが約9%ほど減少することを、示しました。日本のコホート研究によると、15年にわたって、食事性Mgを最大量まで増やすにつれて心臓疾患による死亡リスクが50%減少し、また、心臓血管病による2690名の死亡についての記録があります。

研究者達は、CaとKを要因とした研究者らは、その関連に自信がありませんでしたが、このことは、多くのMgが豊富な食品は、CaとKの豊富な供給源でもあるからです。この研究で観察された冠状動脈保護作用が食事性Mg、CaあるいはKの摂取を繰り返すことによるかどうか、決めることは難しい問題です。しかしながら、現在の研究では、食事によるMgの摂取と結び付いた冠状動脈疾患、心不全、それに心臓血管病の死亡率の減少は、食事によるCaの摂取が考慮された後に維持されました。

なお、CaとMgの摂取比は、栄養学では約2対1です、両方ミネラルなので、上限許容量を守ることが、重要です。腎臓障害のある人は、摂取量を減らす必要があります。腎臓に負担をかけます。また、心臓疾患は、いろんな栄養素が関係していますが、Mgが極めて関係していることは、病態栄養学でも認められています。栄養医学に詳しい、医師、薬剤師に相談して下さい。

ところで、話題は変わりますが、カフェインの毒性による心臓の不整脈が注目されていますが、日本の栄養ドリンクには50mg/本、米国のには80mg/本それぞれカフェインが含まれ、問題になっています。また、短時間に325mg/一時間、850mg/三時間の量のカフェインを摂取することは、不整脈を発症し、心臓発作による死亡の原因になるので、カフェインを含む健康・栄養ドリンクは、できるだけ摂取しない方が、心臓の健康に良いようです。なお、カフェインは劇薬です。心臓の悪いヒトや高齢者は特に気をつける必要があります(米国FDAの調査による)。

Reference

Dietary magunesium may lower risk of death from heart disease: Stephen Daniells, 29-May-2012, Breaking news on Supplements &Nutrition-North America, EU edition