医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

糖尿病が原因の心臓病とビタミンB1の効果について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-06-28 21:39:12 | 健康・病気

糖尿病は心臓病や腎臓病を始め、いろんな疾患の基礎疾患となっています。ここでは、これらの疾患に対して、ビタミンB1が有効との結果が発表されているので、紹介します。ブリストル大学の研究では、合成ビタミンB1の食事性サプリメントは、糖尿病の人々の心臓病を防ぐのに有効であることが明らかになりました。ビタミンB1(VB!)は体から毒素(糖毒性)を取り除くことができるので、心臓の細胞がダメージを受けるのを防ぐことができます。ブリストル大学の研究より以前の、Warwick大学の研究では、一型糖尿病とニ型糖尿病の人は、糖尿病に罹っていない人より血中VB1値が75%程低い事がわかりました。この現象の根拠は、VB1が糖尿病患者の食事に含まれていないということではなく、体から排泄率が高いことによると、信じられています。

ニ型糖尿病患者での小規模の臨床試験のいくらかでは、VB1サプリメントを摂取する人と腎臓病の症状の減少との間の関係を、確認しました。最近のブリストル大学の研究では、VB1の合成誘導体のbenfotiamineを糖尿病とそうでないマウスに投与し、初期の一型糖尿病もしくはニ型糖尿病マウスにbenfotiamineを投与すると、心不全の進行が遅くなりました。また、生存率と治癒率を改善しました。一型糖尿病マウスの心臓発作後とそうでないマウスの心臓発作後でさえ、VB1誘導体は生存率と治癒率を改善しました。

VB1は、ビール酵母、玄米、小麦胚芽などに多く含まれていますが、マウスでのサプリメント摂取と同じ効果を得るには、食事を変えるだけでは十分なVB1の補給はできません。栄養所要量を満たすためには、玄米黄粉ご飯などで可能かもしれません。治療のための薬効を求めるためには、VB1栄養サプリメントの補給が必要と考えられます。

糖尿病の初期から、benfotiamineのような合成VB1誘導体をマウスに投与すると、心臓発作のあった糖尿病マウスの心臓病での治癒率と生存期間の改善が認められ、一型糖尿病とニ型糖尿病のマウスの心臓血管病を予防するのに有効であるようです。ヒトでの臨床研究が進められ、効果が人でも認められるか、希望をもって研究が進むことを、期待しています。

糖尿病は大変難しい病気で、その病気のため、心臓血管に入る大量のグルコースは、心臓にダメージを与え、老化のプロセスをスピードアップする毒素を産生します。しかし、ビタミンB1がAGEs(終末糖化産物)の産生を抑制するという研究も有りますので、その毒素の産生を抑制できる可能性も考えられます。糖尿病患者の約50%ぐらいが心臓病(心不全、心筋梗塞など)で死亡しますので、とりあえずは今までの英知を結集して、食事療法、運動療を実行し、、更に、VB1、アルファ―リポ酸、補酵素Q10、VC、ニンニクなどのサプリメントを摂取して、糖尿病による心不全など心臓病の進行を遅らせることが、肝要と考えています。なお、これらについては栄養医学に詳しい医師、臨床管理栄養士などに相談下さい。

References

Vitamin B1 could prevent heart problems caused by diabetes: SOFTPEDIA, December 6,2010

Congestive heart failure(CHF) and vitaminB1: Colien O, foundhealth

Vitamin B1 benefits in heart failure and diabetes: Health and Medical Solutions