医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

アレルギー性喘息に対する栄養医学的対策(特にプロバイオティクス) 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦        

2016-01-13 19:57:08 | 健康・病気

免疫系システムの異常による腸の炎症が誘因となり、アレルギ―性喘息を起こすことが有りますが、それに気付かず、IgE抗体の上昇で、医師に指摘されることもあります。このように、アレルギー性喘息は、免疫機能の調整がうまくいかず、発症します。ここでは、免疫システムの異常を改善することによりアレルギー性喘息を改善できることについて、外国の研究を紹介しながら考えていきたい、と思います。

喘息は、免疫システムが適切に発現しない時、発症するという研究報告が有ります。このことは、生長しつつある乳児が、抗生物質などを与えられたりして、いろんな細菌に曝されないなら、発症する可能性があると報告している研究者もいます。また、回虫など寄生虫が腸内に寄生していない場合、アレルギ―性喘息になりやすい、という研究者もいます。このメカニズムについては、いろんな研究者が研究中です。これと関係して、腸内の善玉菌が悪玉菌より優位な場合、喘息の発症をストップさせる可能性が有ります。年をとると腸内は、悪玉菌が増え、悪玉菌優位の腸内環境になり、喘息や大腸がん、潰瘍性大腸炎の発症の素地を作ります。したがって、意識的にプロバイオティクスやプレバイオティクス、発酵食品を多く摂取し、食事療法の実行により腸内環境を改善する必要があります。

NHSによると、生まれて数ヶ月間、その子供の腸内の善玉菌の特別なタイプは、健康な免疫システムの発達に重要である、と報告しています。この研究では、善玉菌の違いが、喘息の寛解と関係が有るかどうかを証明していません。これらのことは重要であるが、良く研究されていない他の因子である可能性が有ります。いずれにせよ、母親がプロバイオティクスを多く含む食事をとるかどうかは、生まれてくる子供や乳児がアレルギ―性疾患になるか否かを左右します。サルモネラ菌に感染した子供は、喘息になりにくいという研究もあります。ちなみに、喘息は、サルモネラ菌によく似たプロバイオティクスで治療できました。また、12の無作為対照試験中9件では、アレルギー性鼻炎がプロバイオティクスの使用で改善された、と報告されています。

免疫システムの調整がうまくいかず、腸の機能や腸管バリアがうまく機能しないため、細菌類やタンパク質分解中間産物が血中に入り、アレルギー性疾患の原因になる可能性があります。プロバイオティクスの摂取により、それらの機能を改善し、免疫システムの調整がうまくいくことが重要です。プロバイオティクスにより免疫システムの機能を改善し喘息症状を緩和さすことを、エキスパートの研究者は推奨しています。しかし、子供の中には、ある種のプロバイオティクスの摂取で、浮腫、腸内ガス、腹痛、時たまプロバイオティクスへの感染が見られる子供もいる可能性が有りますので、プロバイオティクスに詳しい専門家への相談が必要です。喘息は、総合的対策が必要で、今回は、プロバイオティクスについて考えてみました。

References
Sam Malone : How does probiotics prevent asthma. Home Remedies
Mike Adams:Probiotics prevent asthma. Natural News.Oct18,2009
Viaqoftis H:Probiotics for the treatment of allergic rhinitis and asthma. PubMed. 2008 Dec;101(6):570-9