医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

発がん性過酸化水素の解毒化とビタミンCの作用について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-05-13 11:28:10 | 健康・病気
H2O2(過酸化水素)は体内で発がん性物質になる場合があり、その解毒のためのビタミンCが注目されています。自然界では、植物の葉緑体は、水と二酸化炭素と光のエネルギーでデンプンを作る光合成を行うが、日照過度になると水分を蒸発させないため、気孔が閉じ二酸化炭素不足になり、光合成が十分できなくなります。このため余分の光エネルギーが水を過酸化水素に変えます。この過酸化水素は発がん性があるため、植物の細胞の中で長い間存在するのはよくありません。

京都大学の浅田博士の研究によると、葉緑体の中には過酸化水素を分解する酵素のカタラーゼが存在しませんが、どのように過酸化水素を分解しているのであろうか。この答えとして、葉緑体の中には還元型ビタミンCがあり、そのビタミンCが過酸化水素を水に変えているのです。そうすることで植物は過酸化水素の毒性から自身を守っています。そして、還元型ビタミンCは酸化型ビタミンCに変化します。なお、酸化型ビタミンCは光合成が正常になった時、もとの還元型ビタミンCに戻ります。

人体の中でも化学反応がうまくいかなくなった場合、過酸化水素がよくできるが、カタラーゼだけでなく、ビタミンCもその分解に一役を担っていると考えられ、発がん性物質の過酸化水素の解毒にビタミンCが重要な役割を担っていることが、植物の葉緑体の実験から明らかになりました。更なる研究の積み重ねを期待しています。

References
Margelli San.. Science. Vol212, Number5,1126~1127、Jun,1981