医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

2型糖尿病の分子生化学的アプローチについて 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-11-05 21:39:49 | 健康・病気

2型糖尿病の複雑な分子生化学的メカニズムを解明することにより、その治療法へのアプローチに近づきます。Jin博士によると、2型糖尿病や糖尿病予備軍に見られるインスリン抵抗性が発症する主たる原因は、筋肉組織だけでなく、肝臓の細胞に法外な脂肪の蓄積(脂肪肝)によります。したがって、食生活や運動により、筋肉や肝臓に蓄積した脂肪を燃やし、インスリン抵抗性が発症するのを防ぐ事が肝要です。特に、昔と違って、現在は、食品工業の発達により加工度の高い食品を摂取する機会が増えています。加工度の高い食品は、筋肉や肝臓に余分の脂肪を蓄積する負の作用があります。

筋肉や肝臓に蓄積された脂肪は、インスリンが、正常にグルコースを吸収するよう体の組織に供給されるのを阻害します。そして、それらの脂肪は、このプロセスを崩壊させ、グルコースの行き場がなくなり、法外のグルコースの多くは、血液中に留まり、最悪の糖毒性をもたらします。そして、高濃度の糖は、体の組織にダメージをもたらし、失明、腎臓障害、心臓血管系疾患、それに多くの健康上の問題をもたらします。

ミトコンドリアの脱共役として知られているプロセスを通じて肝臓の法外な脂肪を燃焼さす、食事療法や栄養素、ハーブなどが研究され論文で発表されています。以前のこのブログでもそれらについて紹介しています。また、ミトコンドリアは、それぞれの細胞に対し、微小なエネルギー発生器官で、車のエンジンにたとえられます。ミトコンドリアでは、細胞の機能を保つため適正量の脂肪と糖を含む燃料を燃やします。細胞は車にたとえられます。2型糖尿病患者の細胞内で行われていることは、車のトランスミッションを切り離すことにより、ニュートラルにするのにたとえられます。アクセルを踏み、ガソリンが入り、エンジンがフルスロットルになりますが、ニュートラルのためのため車は動きません。脂肪が邪魔になって、糖は正常に細胞に入りません。したがって、車は空転して動きません。それと同じ現象が細胞で起こっています。

肝臓や筋肉組織の、脂肪によるインスリンの働きを阻害することを免れることは、インスリンに反応する細胞の能力の回復のカギとなります。このことは、細胞に取り込まれる糖の適正量を補給し、糖尿病の回復につながります。肝臓の法外な脂肪量は、肥満だけでなく、標準体重の人々でもみられ、脂肪肝と2型糖尿病の進行に繋がります。その脂肪を燃焼さす研究は、現在、いろんな研究者が行っています。また、それに関して今までも、ずいぶん多くのページをこのブログは、2型糖尿病の寛解に関してアップしました。参考になれば幸いです。更なる研究を期待しています。

Reference
Attacking type 2 diabetes from a new direction with encouraging results: ScienceDaily. October 5,2014