医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

糖尿病と腸内細菌叢、およびプロバイオティクスとの密接な関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2015-08-07 14:07:22 | 健康・病気

糖尿病の予防・治療にプロバイオティクスが密接に関係していることは、当方のブログ"糖尿病とプロバイオティクス"2011年11月23日で紹介しましたが、近年、腸内細菌叢の組成・構成が分子生物学的手法により解明され、疾患には特徴となる腸内細菌叢の組成・構成がわかってきました。糖尿病でも特有の腸内細菌叢組成・構成が、糞便などの検査で明らかになってきています。今後は、分子生物学的手法により、それらの全貌が明らかになり、糖尿病や大腸がん、潰瘍性大腸炎、その他の難病の予防・治療への道が開かれるものと期待されています。ここではプロバイオティクスの糖尿病予防・治療効果について、新しい研究のポイントを紹介したいと、考えています。

プロバイオティクス食品は、納豆、ヨーグルト、ケフィール、漬物などがあり、それらにはプロバイオティクスが含まれ、経験的に人々の健康に貢献してきました。内外の近年の研究では、プロバイオティクスによる腸内環境の改善が、一型糖尿病や二型糖尿病の寛解に重要であることがわかってきました、今までの薬物療法、食事療法などでは、効果が十分認められないことがありますが、それらの糖尿病患者でも、従来の治療法にプロバイオティクス療法を加えることは、腸内環境を整え、腸管上皮細胞や腸管バリアーの機能を高め、それに伴って体内の代謝を改善することにより、一型糖尿病や二型糖尿病を予防したり、寛解に持ち込めることがわかってきました。したがって、これからは、糖尿病の予防・治療のため腸内環境の改善が重要視されるようになる、と考えられます。

フロリダ大学の2011年の研究によると、プロバイオティクスは一型糖尿病の発症を予防したり、遅らせることがわかりました。体内の最大の免疫システムである腸管は、プロバイオティクスを摂取することにより、善玉菌が増え、悪玉菌が減少し、免疫システムの調整がうまくいき、ガンや潰瘍性大腸炎、クローン病などの疾患を撃退し、一型糖尿病のような自己免疫疾患も撃退できることになります。また、二型糖尿病では、そうでないヒトと腸内細菌叢の組成・構成が異なっていることが分かったと、報告されています。

2010年2月の"plus one"誌によると、腸内細菌構成と代謝性疾患の間には関係(link)があることが分かり、さらに、いくつかのバクテリアのバランスが、血糖値に強く関係していることがわかりました。したがって、プロバイオティクス(納豆菌、酪酸菌、乳酸菌、ビフィズス菌など)やプロバイオティクス食品、それに野菜や果物、海草、ビール酵母などプロバイオティクスの餌になるプレバイオティクス食品を食事に取り入れることが、糖尿病やガン、炎症性腸管疾患、心臓血管病、脳梗塞、自閉症、うつ病、睡眠障害など多岐にわたる疾患の予防・治療につながる、と期待されています。また、更なるロングスパンの研究が期待されます。

References
Probiotics & Diabetes: LIVESTRONG.COM. Feb18,2015
Take probiotics to prevent cancer: Natural News. June 1,2012