医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

腸管性炎症と腸管バリア機能障害に対するプロバイオティクスの効果について 栄養医学ブログ 藤井毅彦

2015-09-03 14:07:30 | 健康・病気

"腸を制する者はガンを制する"と言われているように腸は、健康・長寿のために極めて重要な臓器です。現在、腸管の健康のため、プロバイオティクスやプレバイオティクス、ポリアミンなどが盛んに研究され、希望のある研究結果が、国内外で報告されています。

米国での研究によると、プロバイオティクスを急性の下痢患者に摂取してもらい、臨床上の効果を得ているようです。また、腸管の炎症の軽減、腸管粘膜機能の改善、それに腸管粘膜の過剰反応の調整など、その効果が報告されています。これらの臨床研究データでは、プロバイオティクスが内因性宿主防御メカニズムを高めることが報告されています。このように、プロバイオティクスによる腸管細菌叢の改善は、腸管バリアーの機能障害と炎症反応に伴う臨床症状の改善の可能性をもたらします。

プロバイオティクスの治療上の標的は、腸管バリアー機能障害の改善です。まず最初の宿主の防御の標的は、抗原の排除(腸管粘膜に拡がった、外からの病原微生物などの排除)と抗原に特異な免疫反応の調整に向けられています。このために、現在、プロバイオティクスやポリアミンなどの腸管バリアー機能障害改善効果が、いろんな研究で報告されており、希望の持てる結果が出ているようです。なお、ポリアミンは、納豆やみそなど発酵食品に含まれ、また、プロバイオティクスの中には、ポリアミンを産生するものもいるようです。また、日常の食生活に、プロバイオティクスやポリアミンを含む納豆など発酵食品を取り入れ、大腸ガンや潰瘍性大腸炎、糖尿病などを寄せ付けない体にしましょう。これらに関して、更なるロングスパンの研究が期待されます。

References
Erika Isolauri: Probiotics in human disease. The American Journal of Clinical Nutrition. Vol73 June 2001
Zhu Y et al: Competition between yogurt probiotics and periodontal pathogens in vitro. Acta Odontol Scand.2010 Sep;68(5):261-8