医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

対内時計の破綻による双極性障害、統合失調症の発症について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2018-08-28 14:48:52 | 健康・病気

ヒトを始め動物は、体内時計と呼ばれるリズムで生活し、健康を保っています。毎日の覚せいー睡眠のサイクルは、体内にある24時間時計(生体時計)により制御されていますが、日々の活動は、24時間時計より、もっと短いリズムにより、影響を受けることはよくありますが、気付かないこともあります。この例として、午前中は体調がいまいちで、ぼーっとしていますが、午後には快調になることがよくあります。この現象は、ウルトラディアンリズム(ヒトの持つ数十分から数時間のリズムのこと)として知られ、4時間サイクルで起こると、言われています。

ウルトラディアンリズムは、毎日の覚せい時間に一定間隔で食事をすることから説明されます。また、幼児においては寝る前にもっともよく観察されます。なお、犬においても4時間ごとに寝ることから、説明されます。これら4時間ウルトラディアンリズムは、脳でカギとなる化学物質のドーパミンによって活性化されます。健康な状態では、ドーパミン代謝は正常にコントロールされていますが、そうでない場合は、ウルトラディアンリズムの4時間リズムは、双極性障害と統合失調症では、48時間まで延びると、考えられています。犬ではそれが見られません。なお、犬は統合失調症には罹りません。

Douglass Mental Health 大学のLan D Blum博士らの研究によると、遺伝的に修飾したマウスでの研究では、睡眠の異常(不眠症など)は,過去においてサ―カディアンリズム(睡眠が24時間の周期を持つこと)の破綻を伴っており、ドーパミンによるウルトラディアンリズムの発生のアンバランスをもたらします。このことは、ある双極性障害の症例での躁状態とうつ状態の間の2日のサイクルに対する説明となります。これは、48時間サイクルのト-パミン発生によります。なお、統合失調症の症状として睡眠障害も報告されています。

この仮説は、ドーパミンによるこのリズムの発生という新しい発見ではなく、精神病理学との関連により独創的な考えとなっています。この新しい研究デ―タでは、ウルトラディアンリズム覚せい発動因子が働くなった時、睡眠は妨げら、そして、躁状態が双極性障害患者で見られたり、統合失調症の発症を伴ったりします。なお、この発見は、ドーパミンの制御の破綻と結びついた双極性障害と統合失調症に対する治療法のヒントになると、Lan D Blum博士は考えています。さらなる研究により、この仮説が証明されることを望んでいます。

References

Lan D Blum, et al. A highly tunable dopaminergic oscilltor generates ultradian rhythims of behavioral arousal. eLIFE.2014

Deconstructing mental illness through ultradian rhythms. ScienceDaily.Feb21,2015