医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

糖尿病と炎症の関係について その一 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-02-13 15:17:22 | 健康・病気

近年、糖尿病と炎症の関係に関する研究が増えていますが、これらの研究が糖尿病の根本原因に近づけるか、米国の臨床的観察を基に考察したいと考えます。

William Wong博士らは、糖尿病の根本的原因が膵臓の炎症であることを、実施した臨床研究から知ることができました。この炎症がどのようにして、なぜ始まるかはわかっていません。損傷の生理学から知るように、炎症は線維形成(線維症)と瘢痕組織を生じます。線維症と瘢痕組織は、それらの慢性的進行を伴います。

線維形成(フィブリン形成)は、末梢血管病の原因となります。この状態では、フィブリン(線維)のプラークは、血流の閉栓を微小循環系にもたらします。そして、フィブリンは動脈のプラークの基質となります。動脈内膜の炎症による障害は瘢痕組織であり、動脈内膜を支えるべく、障害を受けた、あるいは弱くなった部位にも生じます。瘢痕組織のクモの巣のようになった部位の上に、脂肪やカルシウム、重金属が動脈のプラークを生じさせます。一度、フィブリン形成が広範囲にわたって起こると、患者はPVDの症状を示します。なお、それらは四肢の冷え、歩行時の痛み、皮膚の潰瘍の不治、四肢の切断、壊疽による組織の死などです。

糖尿病が体の器官を傷つけている間、高血糖値が維持されます。傷つく最初の器官の一つは、足と腕の神経です。循環がもっとも悪い部位はどこでも神経のダメージが生じ、放射状に神経の痛みが生じます。損傷は痛みと共に始まり、フィブリン形成と共に進行します。糖尿病の再発と考えられるのは、フィブリン形成をもたらす炎症のことです。

酵素(systemic enzyme,serrapeptase,nattokinase,bromelain,pancreatin,papain,trypsin,chymotrypsinなど)は、ドイツ、中央ヨーロッパ、日本などで50年以上にわたって一億五千万人以上の患者に用いられています。それらの酵素の吸収、治療効果、毒性(no LD-50)の少なさ、などを証明する20以上の研究があります。その他、日本国では、野菜や果実を酵母菌などで発酵し、熟成して酵素を多く含む飲料になり、発売され、酵素の補給源として重宝がられています。また、パパイヤやマンゴなど生の果物も酵素の供給源となっています。

酵素の最も重要な作用は抗炎症作用です。酵素はフィブリン形成や瘢痕組織を溶解する作用があります。なお、摂取に際して、酵素は蛋白質なので、アレルギー症のある人は医師に相談して下さい。重篤な副作用がでる可能性があります。

ところで、話は変わりますが、"Diabetes Care"誌、2004年、4月号によると、抗酸化ビタミンが動脈硬化の予防に"吉"と出る人と"凶"と出る人がいるようです。原因として、遺伝上の違い、体質の違いが考えられますが、圧倒的に"吉"と出る人が、人口上、多いと考えられます。なお、遺伝上の違いは、"ハプトグロビン"という血清蛋白質には、Hp1とHp2の2種類の遺伝子変異型があり、Hp1遺伝子型を持つ人には、抗酸化ビタミンは動脈硬化の予防作用が有り、Hp2遺伝子型を持つ人には、抗酸化ビタミンは、動脈硬化をもたらし、動脈血管を狭める、と報告されていますが、Hp2遺伝子型を持つ人は、日本人には極めて少ないようです。一度、検査されれば、と考えます。なお、更なる研究が極めて重要です。

References

Treating diabetes with enzymes:William Wong, Dr. Wong's Essencials、Natural Health Website 

What is Diabetes. Inflammation