医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

アルツハイマー病のアミロイドβ蛋白質とビタミンDの関係について 栄養医学ブログ

2012-10-18 22:53:50 | 健康・病気

アルツハイマー病の原因と言われている、毒素物質であるアミロイドβ蛋白質の凝集を防ぐ栄養素は有るのでしょうか、そして、どのように栄養素を組み合わせれば、その凝集を防げるのでしようか。今回は、それについて考えていきたいと思います。

研究によると、米国の老人の大多数は、ビタミンD(VD)が欠乏状態にあり、このことは認識機能上の問題と認知症のリスクを増大さす可能性があります。ビタミンD(肝油、キノコ類などに含まれる)は、脳への血液供給を保護することにより、脳の健康にとって重要です。VDは脳から毒素(アミロイドβ蛋白質)を取り除くのに役立つ可能性が、L Iewellyn博士らの研究により、明らかになりました。アミロイドβ蛋白質を分解するのに、ビタミンDが役立つ、と博士は述べています。更なる研究により、この仮説が証明されることを期待しています。

脳に障害をもたらす因子を確認する試みにおいて、その他のデータを分析してみると、血中VD値が低い老人(男女)は、血中VD値が高い老人に比べて、推理力、学習能力、記憶力などのテストで劣っていました。被験者は、研究開始時と3年後、6年後に健康歴に関するインタビュー、医学上の検査、血液検査、それに思考力のテストを受けました。血中VD値が正常な被験者と比較すると、VD値が著しく欠乏した被験者では、思考力、考えをまとめる能力、決定する能力、それに計画する能力、それに行動力などの著しい低下が認められました。VDの欠乏と認知能力の低下との関連は、食事、健康状態、それに、その他の因子を調整した後でさえ続きました。

ハーバード大学のEdward Giovannucci博士によると、アルツハイマー病の予防、治療では、十分な血中VD値を維持することは有益である可能性があり、低い血中VD値は、体全体の健康に有害なので、認知症だけでなく、その欠乏を改善することは重要です。更なる研究が、脳の機能におけるビタミンDの役割を明らかにするため必要と考えられます。なお、ビタミンAと同様、副作用が出やすいので、大量摂取は向きません。自分に合った適正量を探して下さい。ガン患者は、最大、5,000国際単位/日ぐらい摂取しているようですが、アルツハイマー病では、安全性を考えて、1,000国際単位/日ぐらいがいいのではないか、と考えます。ビタミンに詳しい医師、薬剤師、管理栄養士などの専門家と相談して下さい。また、その他のビタミン、必須ミネラルの摂取量、食生活も認知症に関連しているので、それらがベストである場合は、VDの効果も高まると考えています。

Reference

Nissa Simon.VitaminD deficiency linked to Dementia:  AARP July 13, 2010