医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

潰瘍性大腸炎とプロバイオティクスについて その二 栄養医学ブログ

2011-10-14 16:57:23 | 健康・病気

アルバーター大学の研究では、伝統的治療法に反応しない中程度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)の32名の患者で調査しました。研究者は、UC患者にUSL-3と呼ばれているプロバイオティクスを、6週間、総計3600兆個投与しました。研究の終わりに、18名(53%)は、S状結腸内視鏡による観察で寛解が認められました。さらに、8名(24%)では、かなり良い反応が見られました。

Pundee大学の研究者達は、活動性UC患者と健康な対照の直腸生検により、細菌を分析しました。活動性UC患者の生検では、ビフィズス菌数が著しく少なかったです。そのことは、これらプロバイオティクス菌がUCに対し、防御作用を有することを示していました。更なる研究では、活動性UCの18名の患者は、一ケ月間、ビフィズス菌のサプリメントもしくはプラセボを与えられました。S状結腸内視鏡、生検、そして血液検査では、プラセボグループに比べてプロバイオティクスグループで著しい改善が見られました。

イタリアの研究では、サッカロミセス菌が、以前に他の炎症性腸管疾患であるクーロン病の修復に有益であることがわかりました。研究者は、中程度の再燃潰瘍性大腸炎の25名に、250mgのサッカロミセス菌を一日三回、維持療法の間、mesalazineと一緒に投与しました。これらの患者はステロイド療法が適さないのです。研究を終えた24名の患者の内、17名は臨床的に寛解を得ました。そのことは内視鏡で確認されました。

オハイオ大学のKaiser Permanente博士とMacCann博士の研究では、UC患者20名の内16名で急速な寛解をもたらしました。彼らは炎症性腸管疾患の実験的治療法の開発者でした。腸管を洗浄するため複数の広範囲抗菌スぺクトルの抗生物質を二日間投与し、続いてE.coli菌株の投与を行い、結腸の"善玉菌叢の再び住む所"を作るため、Lactobaciiius acidophillus菌の投与を行いました。16名では急速な寛解を得ましたが、4名では同じ程度の寛解ではありませんでした。これらのことから乳酸菌が食べる、特別な炭水化物と組み合わせて投与することが、必要です。日本では、ビフィズス菌入りのヨーグルトにオリゴ糖を入れているので、効果が高まる、と考えられます。

腸管高付着性乳酸菌とビフィズス菌は、潰瘍性大腸炎の炎症部位から単離された原因菌候補であるバリウム菌を競合阻害したり、排除することが可能であった。

Osaka大学の竹田博士らの研究では、悪玉菌や常在嫌気性菌などの腸内細菌が、ATPを過剰に放出した結果、腸管の樹状細胞が活性化し、その結果、17型ヘルパー細胞という免疫細胞が増大し、そして、それがインターロイキン17という炎症物質を大量に作り出したことが、UC発症の原因であると考えられる、と述べています。また、私見ですが、プロバイオティクスの摂取などでUCの原因の一つと考えられる腸内細菌やウイルスの活動を抑えることが大切と、考えられます。

References

Ulcerative Colitis: WebMD

Food Supplement for Ulcerative Colitis, Colitis UK