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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 756 週間リポート 阪急ブレーブス

2022年09月07日 | 1977 年 



あっぱれ初先発初完投勝利
ドラフト1位ルーキー・佐藤義投手が対日ハム8回戦(西宮)で快投を披露した。被安打7・失点1・奪三振6・与四球4でパ・リーグの新人投手で完投勝利は一番乗り。ピンチが再三あり、投球数も152球と苦しんだが要所を締めて見事勝利した。3回表一死一・三塁、4回表無死一・三塁、9回表は無死満塁とピンチを招いたがキャンプで磨きをかけたパームボールを駆使してピンチを切り抜けた。「たいしたモンや。本人にもチームにも大きな1勝や(上田監督)」、「もっと早く投げさせていればよかったわ(梶本投手コーチ)」と首脳陣も大喜び。エース・山田投手が右足首捻挫で離脱し投手陣の遣り繰りに頭を悩ませていただけに佐藤義の快投はチームを救った。

山田の抜けた穴を埋めるにはベテランの足立投手や白石投手では登板間隔が短か過ぎ、山口投手や稲葉投手に中3日登板を強いるのは酷な話だ。最近の今井投手は調子を崩したままで山田の代役が務まる状態ではない。実は佐藤義の登板は " 一か八か " の苦渋の選択だったのが真相だ。「上田監督に5回まで2~3点くらいでと言われて少し気が楽になりました。真っすぐが思った所に投げられたのが良かったのだと思います」と佐藤義は今回の登板を振り返った。

孤軍奮闘のルーキーをバックも盛り立てた。加藤秀選手が初回に阪急が苦手とする高橋直投手から先制2ランを放ち、8回裏にもマルカーノ選手が2ラン、高井選手がダメ押し2点タイムリーと佐藤義を援護した。守りでも3回表二死二・三塁の場面で投ゴロを佐藤義がトンネルしたが、大橋選手が横っ飛びで捕球し見事にカバーし佐藤義を救った。関西3強が凌ぎを削るペナントレースのド真ん中でルーキーを中心にチーム全体が一つになって手にしたこの日の1勝の意義は大きい。「これや、これが阪急ブレーブスや。この勢いを落とさず突っ走るで」と上田監督が腹の底から声を絞り出したのも無理はなかったようである。


強~い出雲の神様に守られて
出雲を舞台にした首位攻防の対近鉄2連戦は阪急にとってありがたい御利益の結果となった。昭和30年5月以来、22年ぶりのプロ野球公式戦となった第1戦は初回の攻防で勝負が決まった。2週間ぶりの登板となった近鉄・神部投手から先頭の福本選手が四球で出塁すると、続く大熊選手は三遊間内野安打で無死一・二塁。加藤秀選手が中前適時打、高井選手が四球となったところで神部は20球で降板となった。準備不足が明らかな交代した柳田投手からマルカーノ選手、島谷選手が連続適時打で初回で4得点して早々に試合を決めた。「近鉄相手だとウチの打線は飲んでかかる。ボクら投手陣は大助かりですよ」と先発した山口投手は大喜び。

こうなれば勝負の流れは阪急のモノ。翌日の試合も先発の白石投手が立ち上がりに乱れて初回に1点を失うもチームは微動だにしない。その裏すぐさま福本と大熊の長短打と島谷、長池選手、河村選手の適時打などで瞬く間に4点であっさり逆転し、そのまま近鉄に流れを許さず連勝。連戦前まで首位近鉄に1.5差の2位だった阪急が逆に1.5差の首位に立った。開幕から45試合目にしてようやく王者がトップの位置に。だが初戦で先制点をあげた加藤秀は右脇腹を痛めていて、試合前に上田監督から「無理はするな。休んでも構わない」と言われていたが強行出場した為に翌日の試合から欠場となる痛手もあった。


不注意だぜ!マルカーノ
マルカーノ選手が前期出場が危ぶまれる不測の事故に遭った。去る11日、西宮第2球場での練習中の事。一塁側ブルペン付近をウロウロしているところへ、打撃練習中の河村選手が放った打球がマルカーノ選手の顔面を直撃した。周囲が「危ない!!」と叫んだが時すでに遅し。不幸中の幸いで眼球直撃は免れたものの、今季から使用しているメガネのフレームが折れて左目下の裂傷を負った。球場近くの外科医の診断を受け、傷自体は軽症だが眼科の専門医の診察を受けた方がよいと言われそのまま大学病院へ向かい精密検査を受けた。結果は「左外傷性虹彩炎」で2週間の休養加療が必要と診断され入院した。

事故の瞬間をバッティングゲージの後ろから目撃した上田監督は「全くの不注意や。あれだけ打球の行方には気を付けろと言っていたのに」と怒りを抑えられない。末次選手(巨人)の例を挙げるまでもなく常日頃から打撃練習中の事故には注意を促してきた。2か所のゲージでは加藤秀選手と河村選手がフリー打撃中だった。左打ちの強打者である加藤秀選手が練習しているのだからライト方向に打球が飛ぶのは想定できる筈だが、マルカーノ選手はブルペン脇でボンヤリとしかも本塁方向に背を向けて立っていた。実際には右打者の河村選手が放った打球が当たったのだが、マルカーノ選手の不注意さは弁解の余地はない。

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