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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 659 初春に誓う ①

2020年10月28日 | 1977 年 



古くから " 一年の計は元旦にあり " と申しますが、こればかりは今も昔も変わりありません。正月になると何となく今年のプラン、決意などを新たにするものです。プロ野球のヒーローたちも例外ではありますまい。各球団の目玉選手たちがどんなプランを練っているのか、どんな夢を描いているのか、今年は王選手の世界新ホーマーに話題が集中しているようですが、ここに登場する男たちは " ワンちゃんばかりがプロ野球じゃない、今年は俺の年にするんだ " とまなじりを決しているのであります。

阪急ブレーブス:3割へ挑戦の福本と山田・山口で50勝のノルマ
3年連続日本一へ燃える勇者の中で特に気合が入っているのが7年連続盗塁王の福本選手。1億円の保険が福本の足にかけられているのは有名だが今年から2億円に増額される。怪我さえなければ今季も盗塁王は固い。そんな福本も今年で29歳とすっかり中堅の部類で「もう年間100盗塁は無理かも」と弱気発言の一方で今季の目標は打率3割の復活。ここ2年は3割を切っている。一番打者だけに打席数が多く、安打数を増やすのは勿論のこと見逃せないのが四球。「ヒット欲しさについつい早打ちしがちだけど、今年は選球眼を磨いて3割を達成したい」と福本。打率3割と8年連続盗塁王を達成すれば3連覇の可能性はより一層高まる。

福本と共に阪急打線を牽引するもう一人の雄が加藤選手だ。昨季まで4年連続で打率3割をキープし、過去に首位打者が1回、昨季は2年連続で打点王のタイトルを獲得している。ここ6年間は常に打撃ベスト10入りするパ・リーグを代表する強打者である。「自分では中距離タイプだと思っている(加藤)」と言うが一昨季は32本塁打、昨季は28本塁打と決して他球団の四番に引けを取らない。その加藤以上の長距離砲なのが長池選手。しかしここ数年は故障がちで昨季も自主トレ期間中に足を怪我して出遅れ、打率.238・12本塁打と往年の面影がないが「数字はあえて言いません。今年に僕の野球人生を賭けます(長池)」とプロ12年目の34歳は意気込む。

一方の投手陣は山田投手と山口投手が両輪だ。MVPに輝いた山田は「昨年の最多勝(26勝)がフロックと言われないよう今年も20勝が最低ライン」と話す。戸田投手を中日にトレードして投手陣に少々不安を持つ梶本投手コーチは「ヤマが20勝以上してくれると計算している。戸田の穴もヤマがいれば大丈夫でしょう」とエースに全幅の信頼を寄せる。山口は1年目、2年目ともに12勝。両リーグを代表する剛腕ながら今一つ勝ち星は伸びていない。昨季はオープン戦で打球を右ヒザに当てて負傷し大きく出遅れた。「今年は万全の体調で開幕を迎えたい。目標は20勝(山口)」と意気込む。山田と山口で50勝できれば上田監督には左団扇のシーズンとなるであろう。


南海ホークス:今年も陣頭指揮の野村、昨年のお返しを誓う江夏たち
今年も南海の浮沈のカギを握るのは野村監督の頭脳と打力。「数字は二の次で先ずはキャッチャーとしてフル出場できるように心がける。監督兼任となって8年目で何としても日本一になりたい。門田もようやく一人前になってきたし、四番から解放されて六番あたりで気楽にやれたらいいね」と今季の抱負を語る野村監督。その期待の門田選手は「打率3割は勿論、監督からは三冠王を獲れと言われてますけど、それはどうかな。でもタイトルは獲りたいですね。昨年も前半戦は良かったですが夏場にスタミナ切れになって失速してしまいました。だから先ずは夏場を乗り切る体力作りに重点を置こうと考えています」と意欲を見せる。

若手野手では昨年大活躍した藤原選手に大きな期待が寄せられている。「とにかく昨年は自分でも出来すぎた年でしたが自信にもなりました。その経験を大事に今年に繋げていきたいと思います。特に打率が3割をマークできて自分もプロの世界でやっていけるという気持ちになれました。今年は個人的には昨年以上の成績を収めてオールスター戦の出場やベストナイン、ダイヤモンドグラブ賞も狙います。勿論チームの優勝が絶対目標です(藤原)」と目を輝かす。

悲願の日本一になるには投手力の充実、江夏投手・山内投手・藤田投手、そして広島から移籍して来た金城投手らの活躍が不可欠だ。特に期待されながら不振に終わった阪神から移籍した江夏の復活がカギとなる。「昨年は初めてのパ・リーグということもあって戸惑いがあったのは事実。肩痛もあって甘えがあったが今年は言い訳できない。今年でプロ11年目だけど1年生になったつもりで一からやり直す。狙うは20勝だが、それよりもチームの優勝を第一に考えたい(江夏)」

山内は「昨年20勝して球団から今年17勝すれば給料アップを約束してもらった。17勝といわず20勝が今年の目標です。ようやく自分も1000万円プレーヤーの仲間入りが出来たのでこれからも頑張って更に上を目指していきたい。その為にも先ずは1勝、次は5勝、10勝と段階を踏んで最終的には20勝以上をマークしたい」と話す。そして新人王の藤田は「2年目のジンクスの話は先輩から聞かされてます。他球団から研究されるのは覚悟しています。とにかく頑張ります」と浮かれてはいない。

今年の投手陣の目玉は金城だ。「初めてのパ・リーグでどうなるか不安でいっぱいですが、今年はやらなければならないという気持ちです。南海に移籍していきなり大先輩の杉浦さんが背負った『21』番を貰って感激しました。野村監督からも頑張れと激励されてやる気満々です。ここ2年間は怪我で不本意な成績でしたが今年はそのお返しをする覚悟です。僕を放出して損したと広島が後悔するくらい結果を出したいですね(金城)」と燃えている。


ロッテオリオンズ:ファミリーの結束を誓って日本一の夢よもう一度
シーズン中から話題には事欠かないカネやんロッテ。優勝という最大の話題作りにロッテファミリーが結束する。先ずエース・村田投手が投手陣を代表して「昨年はプロ入り9年目で初めて20勝投手(21勝11敗)になれて防御率も1位と出来すぎの1年でした。今年は10年目の区切りですし最多勝を狙います。そうすればチームの優勝も2000万円プレーヤーも手が届くんじゃないですかね」と意気込む。続いてベテランの成田投手は「とにかくもう一度優勝したい。優勝に貢献して自分自身の有終の美を飾りたいと考えています」と今年を自らの野球人生を締めくくるシーズンにする覚悟だ。

トレード問題で揺れた金田留投手は「昨年は背筋痛で惨めなシーズンだった。トレード話でゴタゴタして周囲にも心配をかけてしまった。このままでは終われない。監督やチームメイトに迷惑をかけたぶんも恩返しをしたい」と決意する。プロ5年目で更なる飛躍が期待される三井投手は「プロ3年目の一昨年は目標とした10勝をマークできましたが、20勝を目指した昨年は6勝に終わり悔しい思いをしました。今年こそ監督や仲間に信頼される投手になりたいです。20勝と欲張らず先ずは10勝を目標に頑張ります」と捲土重来を誓う。

打撃陣の中心は有藤選手。「新外人のレロン・リー選手には負けたくないですね。今年はプロ入りから9年連続20本塁打の日本記録更新がかかる年。是非とも記録を作りたい。昨年は三塁手のベストナインを藤原(南海)に奪われたので今年は取り返します。その為にも首位打者のタイトルを狙います」と例年以上に意欲的だ。山崎選手は「今年の目標は3割を打つこと。打順は六番がいいかなと自分では思っています。有藤や外人コンビが作ったチャンスを僕が還すことが出来ればチームの優勝もグッと近づくと思います」と。

そこでカギを握るのが外人だ。ジョン・ブリッグス選手は「昨年は監督との誤解や自分の病気でシーズン途中に帰国したけどもう大丈夫。昨年暮れにロスでラフィーバーコーチと納得いくまで話し合って解決した。今年は四番の責任を果たす」と誓った。新外人のレロン・リー選手は「ラフィーバーコーチからボスの性格や日本の野球について手ほどきを受けた。チームの優勝の為にガンガン打ちまくりたい。キャンプは初日から参加するよ」と抱負を語った。どうやらロッテファミリーの結束は固まったようだ。

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