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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 660 初春に誓う ②

2020年11月04日 | 1977 年 



近鉄バファローズ:20勝約束の鈴木を筆頭に日本一を合言葉にする精鋭
昨年は期待を裏切った西本近鉄。心機一転、優勝に燃えるナインの中でエース・鈴木投手は「昨年は18勝と今一つの成績だった。今年は何が何でも20勝。野球をやっている者にとって夢は日本一。自分が1つでも多く勝つことでその夢に近づける」と。近鉄は1960年代の三原監督時代に一大旋風を起こし、一昨年は後期優勝を果たしたが阪急とのプレーオフに敗れて日本シリーズの檜舞台は未だに踏んでいない。「今年はチャンスだと思う(鈴木)」と悲願達成に燃えている。

もう一人の柱が神部投手。だが昨年は故障がちで本領発揮できず、挙句にはトレード話が沸き起こり騒がしいオフを過ごした。「ここ数年同じような怪我をしていたのでオフの間に徹底的に治しました。すっかり良くなったので今年は大丈夫だと思います(神部)」と神部としては珍しく雄弁に。神部は7年のプロ生活で最高は昭和47年の13勝。「自己最高となる15勝を目指します。もういい歳だしノンビリしてはいられません。日本シリーズを制して日本一になりたいです」と夢を膨らませる。

今年から選手会長になった太田投手はグラウンドでは副主将で今やすっかり中堅選手だ。前選手会長の鈴木投手の推薦で選手会長に推された太田は選手全員の賛成で選手会長に就任した。その裏にはチームが優勝する為には太田に頑張ってもらわねばならないという願いも込められている。その声に応えるように「リーグ優勝、日本一を目指して頑張りたい。個人的な目標は15勝だが勝利の為なら勝ち星がつかなくてもいい。とにかく勝ちたい(太田)」と甲子園のアイドル " コーちゃん " からの脱皮を目指す。

その投手陣からの信頼が厚いのが梨田選手。今やリーグを代表する捕手でダイヤモンドグラブ賞の常連だ。昨年暮れには結婚し「もう僕一人の生活じゃないので責任をズッシリと感じています。リードや盗塁阻止は勿論、打つ方も打率2割8分はいきたい。でも個人の記録よりも先ずはリーグ優勝をして日本シリーズに出たいです」と抱負を語る。また期待される若手の一人が石渡選手。「何とか一軍でやれる目途が立った程度なので抱負を聞かれても…」と尻込みしながらも「打率2割8分はクリアしたい。全力を尽くします」と謙虚だ。

近鉄打線の中軸を務める佐々木選手。クリーンアップを張る以上、打率3割は至上命令だ。「そうなんですよ、僕の頭の中でも打率3割は既定路線。そこからどれくらい上積みできるか、それが個人的にもチームとしても日本一という最大の目標達成の為に不可欠だと思っています(佐々木)」と。佐々木だけに留まらず数多くの近鉄ナインの口から日本一という言葉が発せられた。リーグ優勝だけではなく日本一が今年の近鉄の合言葉になっている。


日本ハムファイターズ:チビッ子ファンの夢に応える闘志の男たちの大きな約束
昨年はチビッ子ファンの拡大で一大ブームとなった日本ハム。今年はその子供たちの声援に応えなければならない年になる。エースの高橋直投手は「今年はフォークボールに磨きをかける。下手投げはどうしても左打者を苦手にする。でも阪急の山田投手がシンカーで左打者を封じているのが参考になった。シンカーも試してみたけど僕はフォークの方がしっくりいった。ウチの野村さん、一三さん(高橋一)、杉山君などフォークを武器にしている投手に色々聞いてモノにしたい」と新球のマスターに余念がない。

その野村投手は「先発だったり救援だったり起用法によって勝ち星は変わるので今は何勝という目標は考えていない。いずれにせよ昨年のオールスター戦で投げた時のような力強い投球を心がけたい。今年は広島から佐伯、宮本が移籍して来てローテーションが楽になりそうで連投するケースも減りそうなので助かる。昨年は勝負どころで一発を喰らうポカが出る悪い癖が出てしまったが、今年は気をつけたい。一昨年の勝率1位のタイトルに続いて今年も何かタイトルが獲れるように頑張りたい」と話す。

新加入の佐伯投手は「パ・リーグの打者はオープン戦で対戦したくらいで殆どデータはないので実際に対戦してみないと対策は立てられない。でもそれは打者もお互い様です。具体的な勝ち星は言えないけど大沢監督には15勝を期待していると言われているので何とか期待に応えたい。最近は変化球中心の投球内容で自分でも納得していないので、パ・リーグ移籍を契機にストレートを軸にした投球に原点回帰したいと考えています。キャンプからストレート主体で投げ込みたい。日ハム移籍は初心に帰るには良い機会だと思っています」と。

日ハムに移籍して成功した良い例が富田選手だ。「昨年の成績は自分ではまぁまぁで落第点ではないけれど満足はしていない。ここ3年ほどフル出場していなかったツケが怪我という形になって現れた。怪我で欠場してチームに迷惑をかけてしまい反省している。今年はフル出場してチームに貢献したい。昨年は足をあまり使えなかったが今年は名実ともにリードオフマンとして恥ずかしくない成績を残したい」と富田自身は反省するが、大沢監督はじめ首脳陣は富田の活躍に合格点を与えている。

来日2年目を迎えるミッチェル選手は「昨年は日本のピッチャーに慣れないせいもあってスタートからつまずいてしまったけど、ボスやコーチからライト打ちを指導されてからは自分本来の打撃が少しずつ出来たような気がします。今年は2年目だしホームランも30本以上は打ちたい。昨年は恥ずかしながら三振王になってしまったが、今年はホームランキングになって名誉を挽回したい」と意気込む。日ハムファンのみなさんどうですか、今年のファイターズの面々の力強い言葉は。


クラウンライターライオンズ:心機一転を期す獅子たち、守りも固くなって一躍優勝へ
またまたチーム名が変わり、" 新装開店 " も年中行事だがそれにもめげず選手たちは前を向いて再スタートに備えている。エースの東尾投手は「昨年は先発したり救援に投げたりしてリズムが狂ってしまい13勝に終わってしまった。お蔭で世間から色々な非難を浴びたが弁解せず甘んじて受け入れた。もうそんな思いはしたくない。体調も良く今年はエースの名に恥じないピッチングをしてチームに貢献したい」と意気軒昂。ベテランの石井投手は「年齢的な限界を言う人もいるがまだまだ若い連中には負けない。今年は内・外野ともに足や肩のある野手が揃ったので守りの面でも安心している。バリバリ投げるよ」と気持ちは若い。

大洋から新加入の山下投手も「まだひと花、ふた花咲かせる力は残っている。年上の石井さんが頑張っている姿を見ると勇気が湧いてくる。ライオンズのファンが良いトレードだったと満足してくれるような結果を出したい」と移籍で心機一転。 一方の若手投手の期待ナンバーワンは古賀投手。「新人王こそ逃したが昨年は出来すぎだった。今年は昨年以上の周囲の期待と責任を感じている。相手に研究されて楽には勝てないだろうけど昨年の成績(11勝13敗)に満足しないで1勝でも多く勝ちたい」と抱負を語る。

攻撃陣で注目は何といっても昨年彗星のごとく現れ首位打者に輝いた吉岡選手だ。「プロ入り9年目で初めてレギュラーになったと思ったら首位打者になれた昨年はハッピー過ぎる年でした。もし今年活躍出来なければ昨年はフロックだったと言われてしまう。なので今年は野球人生を賭けた勝負の年になると覚悟しています。2年連続首位打者なら最高ですけど欲張らず打率3割以上を目標に頑張ります。足にも自信があるので機動攻撃の先兵となって走塁技術にも磨きをかけたい」と打つだけでなく機動力向上も目指す。

もう一人期待されるのが鈴木選手。「規定打席に達しなかったのは残念だけど打率(.311)は満足できます。今年はハンセンやロッテから移籍した長谷川さんなど左打者が増えたのでボヤボヤしていたら出場機会を失ってしまう危機感があります。せっかく一軍に定着できたのでこのチャンスは逃したくない」とレギュラー獲得に燃えている。更に山村選手もホープの一人。「昨年は " 二十歳のレギュラー " などと煽てられて調子に乗ってしまいました。打つ方だけでなく守りも鍛えたい。送球に難ありと首脳陣からも言われているので改善したい」と張り切っている。

昨年のベスト指名打者の大田選手は「タイトルが獲れて自信がついた。今年はハンセンや長谷川さんなどライバルが増えたしDHだけでなく守りも頑張りたい」と言えば、主砲の土井選手も「今年は打点王のタイトルを狙う。色々考えたがやっぱり自分はパワーバッティングが持ち味。それを殺してまで打率の為にヒットを求めるのは違うと思う。今年は振り切る打法に徹するつもりだ。今年は自分の野球人生の全てを賭ける覚悟でシーズンに挑むつもりです」と。今年も暴れん坊の獅子たちが見られそうだ。

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